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石井光太 ×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

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石井「僕は、純粋に自分が子どもの時の目で今の自分を見たらどう思うかな、という部分だけを信頼したいんです。自分が小学生くらいの時に、今の自分を見て何をやっていてほしいか。例えば、今、震災地に入ることによって、他の仕事を放棄していろんな人に迷惑をかけるし、行くことで文句を言う人もたくさんいるでしょう。でも自分が小学校3、4年生のとき社会を見つめたとして、自分が読んだことのある好きな作家の人が、東京にいて全く違う本を書いていたら、僕はその人のことを信用できないなと思うはずなんです。いくらお金にならなくても、かっこ悪くてもやらなきゃいけないときがあるだろうって、僕は思っています。演劇だって映画だって音楽だって同じだと思いますが、その世界で長くやっていたり、あるところまで成功してしまうとわからなくなるんです。ある程度上手くいくと、みんな煽ててくるし、それで社会の中での、ひとつのスタイルが出来上がってしまう。でもそれは自分を縛ってしまうことに繋がってしまう。僕は今、自分で自分のことを客観的に考えろと言われても無理なんです。読者がある程度ついたり、リスナーがたくさんついても、自分がどういうポジションにいて、どういう風に見られていて、何をしたらいいのかなんて、わかるはずがないですよ。わかるっていう人もいますけど、正直それは嘘じゃないかと思いますね。わかりようがないですよ。」

後藤「僕は、10代の多感な時期が指標になっていますね。ロックを聴き始めたころの気持ちっていうか。そういうことに照らし合わせていますね。今回の震災に関してのチャリティもいろんな考え方があって、例えば曲を作って発表してその売り上げを義援金にっていう考えもあるんですけど、だったらまずは自分のお金から出そうって思ったし。もちろん、そうしてる人もいるんでしょうけど。そういう距離感っていうのが、自分の中で難しくて。そういうこと言うと、“お前はお金を集められるんだから、今は曲を売って義援金を集めるべきだろ"っていうリスナーもいるし」

石井「金を集めてナルシズムだけを満たして終わりじゃ辛いですよね。悪いわけじゃないですけど、その上で、自分は何をしたいのか?って考えること、悩むことが大事だと思うんですね。結論として何もしないっていうのもあると思うんです」

後藤「人生相談みたいになってますね(笑)。みんな、そうやって引き裂かれて自分の中で答えを出せばいいと思うし。“こうあるべきだ"って考え方がある人もたくさんいるし」

石井「そうですね。それもあって成り立つわけですし」

後藤「一番気になるのは、時間が経つとみんな忘れてしまうことなんですよね。例えば、2008年にチベットの問題が起きて、オリンピック、北京と合わせて、日本中が話題にしてたのに、今は誰も話題にしない。ダライ・ラマは広島にいらっしゃったりとか、チベットの僧侶が来てチベット蜂起記念日に合わせて祈りを捧げたりされていますけど、あまり報道されていないし。震災もそうやって忘れさられていく側面があると思っていて。それが一番よくないと思って。僕は、そういうところでは鈍足っていうか。2001年9.11のときも全く事態が飲み込めなくて。なんだかわからなくて。すぐに歌詞とかに書ける人ってすごいなと思ったんです。僕は、置いてけぼりをくらったような感じだったんですけど、何年かかけてやっと詞にできたんですね。こうなんじゃないかっていう気持ちっていうか、どこに向かっていこうかってところに辿り着いたんです」

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