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石井光太 ×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

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石井「そういえば、震災の後にホームページで『砂の上』っていう詞を発表されていましたよね。あれはどういう経緯で?」

後藤「あれは、今の自分を赤裸々に書こうと思って。無力さとか不確かさとか、それで『砂の上』なんですけど。人のために曲を書くことって、今まではやりたくなかったんですよ、正直言って。そんなの思い上がりだと思って。僕は、歌っていうのは自分の中の感情に捧げてきているし、そういうものでしかないと思っていて。それが、どこかで誰かの助けになればいいと思うんですけど。今回は初めて、これを聴く人達を意識しようと思ったんです。でも多分、音楽家として鳴らす自分を肯定したかったんだと思います。はっきり言えば、僕が鳴らしているあの曲がすぐに被災地に届くとは思ってないですし。だって聴きたいと思ってもらえたとしても、術がきっとないですから。聴くことができる人達に向けて歌おう、立ち上がろうと思っている人達に届けばいいと思ったんです。あとは、同じミュージシャン達への思いもあるし。あの地震で歌う場所がなくなって、スタッフ達も働く場所もなくなって、収入がなくなっているに等しい人もいる。でも多分、そういうことは想像されずに、「節電」とか「不謹慎」っていう言葉が出てくる。だから、そういう仲間達を勇気付けたいっていう気持ちもあったし。ああいう曲を作って、怒られても「不謹慎だ」と言われてもいいと思ったんです。ミュージシャンも「お前ら不謹慎だ」と言われてナンボだってところもあるし。こんなに、アーティスト様みたいになっているのがおかしいと思うし。ミュージシャンって、神様みたいに扱われたりすることもあって。でも、僕は前からそういうことに否定的で、「僕は普通の人間だよ」って思っていますから。僕もできるなら被災地に行ってみたいって気持ちはありますけど、行ったら行ったで、「飯どうしよう?トイレどうしよう?帰りどうしよう?」ってオロオロするだけでしょうね。だから、自分の暮らしている街で、オロオロすればいいと思っているんです。雨が降ったら放射能のことにビクついて、そうやって生きるのが僕にとっての今回の震災との向き合い方っていうか」

石井「正直に体感する、実感するということですよね」

後藤「スーパーやコンビニに行って何にもないことに、僕はオロオロと困ればいいんだって思って。またそれを綴って行けばいいし」

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