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石井光太 ×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

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石井「多分、これからは今まで通りの目線でやっていくことに限界が来るでしょう。これまでは、二項対立で説明が出来て、それで何とか成り立ってきたことであっても、これからはそれでは成り立たなくなっていく。それなのに、今まで通りの視点で進んでいこうとしても上手くいくはずがないんです。やはりそれ以外の目線が必要だと思うんです。例えば、イスラームの人間がテロを起こした。その時にテロがいけないっていうだけの文脈ではなく、彼らがどういう暮らしをしていて、どういう状況の中で何故テロをせざるを得なかったのかを見つめていく。そうやって色々な目線から紐解いていかないと、説明も理解もできません。それをやっていくのは、働きざかりの僕達であって、僕たちが新しい価値観を作らなければいけない。今回の大地震は、日本の経済を更に低迷させるでしょう。現地の復興だってまだまだ非常に混乱した状態です。ならば、今、ここでリセットして次のものを組み立てていかなきゃいけない。少なくとも僕とか後藤さんくらいの世代は、この機会に組み立て直す意識を強く持たなければいけない。昭和の時代からの制度で成り立ってきた会社の多くは、今回の震災を機に無くなってしまうでしょう。経済システムも崩れていきます。だからこそ今、今までと違うものを、音楽にしても文芸にしても作って提示していくべきじゃないのか。だからこそ、今回の災害を真っ先に取材したいと思ったし、ゼロの中から生み出すべきだと強く思ったんです」

後藤「僕も同じことを思いますね。何か新しいものを作りなさいって言われている気がしますね、どこかから。僕らは、ずっと何にもなかった世代だから。何もなかったっていうのは、そういうことなのかなって。今こうして大きな事件に直面して、音楽にできることって何だろうって、すごく難しいですよ。例えば、僕が被災地に行ったとして、想像を絶しますけど、確実に僕の想像が追いついていないってことを自覚した上で話します。今、ミュージシャンで被災地に行って歌いたいって、言ってる人がいます。だけど行っても“来てくれるな"って思う人がいっぱいいると思うんですよ。僕が現地の人でも“何だよ"って思うと思うんです。そういう気持ちもあるし、僕らも創作者として「経済」に抗う気持ちもあるんですけど、でも社会の余剰っていうか、ゆとりのところで活動させてもらっている部分もあるので、すごくみんないろんな気持ちに引き裂かれているんですよ。本当に言葉にならないんです」

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