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五味岳久(LOSTAGE) ×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

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後藤「そうだよね。でも、だったらなんでCDだったのか、っていうことも聞いてみたいな」

五味「発売するメディアが、ってことですか?」

後藤「うん。たとえば七尾旅人くんがやってる『DIY STARS』とか、ものすごくよくできてるじゃない。マスタリングしたらすぐに販売できて、アーティストの取り分はものすごく多い。ジャケットにして流通させるっていうやり方は、今の話でいえば旧態依然としたレコード会社のシステムを襲踏するわけで。そりゃなんか、しがらみの中に自分から突っ込んでいくようなことが生まれると思うんだよね」

五味「わざわざCDっていうモノにする時点で」

後藤「そう。もう俺は常に迷ってるんだよ、最近。CDで出す意味なんだろう、なんでTシャツに曲がついてちゃいけないのかな、とか。逆に五味くんだったら絵が描けるんだから、自分で描いたアートワークに曲がついててもいいじゃない? Tシャツとかマグカップに曲がついててもいいし。俺、アニマル・コレクティヴの靴にテープがついててびっくりしたもん」

五味「あぁ……でも、やっぱり音楽に対して対価を支払ってほしい、っていうのは最後までなくしたくないというか。昨日僕Twitterで言ってたんですけど、今回特典をいろいろ作ってて。タワーはこれ、ユニオンでこれ、フレイクではこれ、みたいな。でもそれって音楽じゃないところがメインになってないかと。もちろん音楽に対価を支払ってもらってる、っていう感覚が得られるなら何でもいいんですよ。レコードで聴きたいっていう人に対してはレコード作るし、パッケージとかいらんっていう人には配信で売るし。ただ、その、靴にダウンロード・コードを付けるようなやり方だと靴を買ってるみたいな気がしてしまう。そう自分で思ってしまうから、たぶん作らないだろうし」

後藤「なるほどね。TシャツだったらTシャツ買うっていう」

五味「まぁ、CDっていうメディアにデータの入れ物以上の価値があんのかって言ったら、ないと思うんですよ。いくらアートワークがどうのって言ってもね。それはわかってるけど、なんで今回CDなんかって言ったら、僕がCD世代やから。自分がいろいろ吸収してきた時代がCDで、だからCDで出したかった。ただそれだけのことなんちゃうかなぁ」

──今回の『CONTEXT』は歌詞カードを読めば気付くことがあるし、やっぱりCDというパッケージにすることへの意地があるんじゃないですかね。後藤さんの場合は『マジックディスク』に同じ意地を込めたと思うんだけど。

後藤「うん、確かに」

五味「うん、意地みたいなのはありますね。もう意地でやってるとしか思えない(笑)。まぁCDだから問題はね、勝手に流出したりとかもありましたけど」

後藤「あの流出事件はショックで」

五味「もう思い出したくもないですけど(苦笑)。あれはでも……やっぱ悔しかった」

後藤「友達とかにしか配ってないわけでしょ?」

五味「そうっすね。バンドの友達と、あとは知ってるライターさんとか。直接自分で送ってたんで」

後藤「そこで流出するってすごいよね」

五味「だから故意にやられたとは思ってないです。うっかりどっかから出たんやろうなって……思うことにしたんですけど。これ誰がやった、とか言い出してもしゃあないし、そんなことしても全然生産的じゃないし」

後藤「でも、この問題って付き合っていかなきゃいけないよね。CDで出したら、もう次の日には誰かがアップする。そういう時代になってしまったっていう」

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