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TALKING ABOUT THE X
関和亮 ×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
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「本当に、PVですよね。『BEAT UK』とか見ていて、これはアーティストの作品なんだ、だから音楽を作るように作っているんだって思ってたんですけど、業界に入ったときにそういう要素が少なくってビックリしたんです。どうしても宣伝的な意味合いがすごく強くて、PVの制作費は宣伝費から出るっていうのを、若いときは知らなくて」

後藤「くくりは一緒ですけどね。制作費の中から宣伝費は出てるから。でも、なんだかなぁとか思いますよね。本当は、アジカンのPVとかTシャツとかアートワークとか、全部自分でコントロールしたかったんです。でも、プロジェクトが巨大過ぎて、スタッフにそれぞれ担当の人がいるから、どこまでそれを明け渡していくかっていうのが毎回戦いっていうか。例えば、タイアップが付きますって話があって、イントロをカットとか自分が作った曲をチョキチョキ切られたりすることに、“えっ!?信じられない"とか思って。最初のころは、スタッフが青ざめるくらいに大喧嘩してましたから(笑)。そういうのも、良いのか悪いのかだんだん大人になって受け入れたりしてきているけど。でもなんかなっていうのはありますよ。やっていることは、ポップス、ポピュラーミュージックだから、一方では何の興味もない人を引き込みたいって野心もある。本当は、そういうのが一致したPVっていうか、ミュージック・ビデオが作れたらいいなって。OK GOとかのミュージック・ビデオって、ルームランナーで走ってたり犬が出てきたり、音楽好きじゃない人が観ても楽しめるし。それで、この人たちのCDを聴いてみようかなって思う人もいると思うし。本当は、そういう在り方が正しい回転だと思うんですよね。テレビやweb上で流す意味とかも。今は、そこが分離しちゃっている気がしますよね」



「今、テレビ以外で観ることができるタイミングって増えていると思うし、音楽と映像が近寄っていて。以前海外のアーティストが言っていて名言だなと思ったんですけど“これからは音楽は観る時代だ"って。そういう風になっていくかはわからないけど、より密接になっていくのかなって感じますね」

後藤「僕らも大分前から、CDシングルってなくなるなって話をしていて。CDシングルは映像付きになるって、コピーコントロールが付くとか付かない以前に、そんな話をしていて。今、アルバムですら、そういう時代になってきてますよね。だって、パソコンで音楽を聴く人がたくさんいるし。僕だって、少女時代とか音源だけで聴くより映像付きで聴いちゃうしね(笑)」

──今、後藤さんがおっしゃったようなミュージシャンからのミュージック・ビデオの在り方を聞いてどう思われました?

「嬉しいですね。意外と考えていない方も多いんですよ」

──ミュージック・ビデオを制作する上で、ミュージシャンの方々と直でお話をされるんですか?

「基本は、毎回お話しますね。こうしたいっていう意見は伺います。超具体的な話っていうのは、あまりないです。キーワードだったりを聞いて、お任せしてもらう感じです」

後藤「ミュージシャンは、スケジュール的にそこまで回らないっていうのはありますね。できたらやりたいっていう思いはあるんだけど」

「音楽を作ったら、プロモーションやら他の仕事もありますもんね」

後藤「映像には映像のプロがいますしね。僕も1回やってみたくて、『ループ&ループ』っていう曲で絵コンテ書いたりしてやってみたんだけど、思うようにできなかった」

「そういう意味でも、ミュージック・ビデオの監督って職人的な感じなのかなって思います。こういう家を作る人なんだってことで、選んでもらってるのかなと思ってるんですけどね」

──ミュージック・ビデオが1本できるまでの工程を簡単に教えていただけますか?

「まず、音源と一緒にオファーがきます。それを聴いた上で、スタッフとミュージシャンと打ち合せをします。その打ち合せをもとに、企画書を作ります。3パターンくらいの企画を考えますね。お互いのイメージが合致することってそうないとは思うので。そのパターンの中から選んでいただいて、絵コンテを進めていきます。そこからまた細かいディテールの話などをしていきますね。もっと細かい工程を挙げたら、衣装合わせから撮影場所のプレゼンまでたくさんあります」

──オファーが来てから完成まではどの位かかるのですか?

「多いパターンは、1ヵ月くらいですよ。準備に2週間、仕上げに2週間くらいですね」

──結構、タイトなスケジュールですね。

「そうですね。最近は、曲がリリースされるタイミングから曲が完成するまでの期間が短くなっているんで、よりタイトです。プロモーション・ビデオっていうくらいなので、曲がリリースされる1ヵ月くらい前には完成しないといけないですし。場合によっては、ラフ音源やデモ段階で渡されるときもありますよ(笑)。だから、音が完成音源で変わっていることもあるんです。でも、そういうときにはコマーシャルと違って、ライブ感、ノリで作れる部分もある。そこが、ミュージック・ビデオも面白さだと思うんです」

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