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井上陽介(Turntable Films)×後藤正文

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後藤「大阪で俺が弾き語りしたことがあって、確か2010年だったかな、『FLAKE RECORDS』と『digmeout ART&DINNER』の共同開催のイベントで。その時に一緒だったのがTurntable Filmsだったんです。それまで僕は名前くらいしか知らなかったんだけど、周囲の知り合いが勧めてくれていたんですよ。そしたらライブ見て、“メチャクチャいいな、このバンド!"って。まだ自主制作のミニ・アルバムしか出てなかった頃だったと思うけど、音源もすごく良かったんだよね。そこからなんとなく薄いつきあいが始まっていきましたね(笑)」

井上「ほんと、最初は薄かったです(笑)」

後藤「演奏とかもうすごくうまくて、井上くんはギターうまいし、バンドのアンサンブルもまとまっていて、このバンドは確かにすごいなって驚きました」

井上「で、その後、『NANO-MUGEN CIRCUIT』に出させてもらって……」

後藤「でも、その時は卑怯な編成だったんだよね(笑)。サポート・メンバー大勢の7人組フル装備で」

井上「『NANO-MUGEN〜』に呼ばれたんだけどって言ったら、(サポート・メンバーの)みんないっせいに“出る出る!"って…(笑)」

後藤「もちろんそれでもライブ自体はすごく良くって。井上くんのギターを見て改めていいなあって思いましたね。オルタナっぽいギターを弾くし、アブストラクトだったりもするんだけど、ちゃんとオーセンティックなフレーズも弾ける。ディレイとかフィードバックもするけどカントリーっぽい要素をしっかり身につけてる、おまけに自分で歌えるギタリスト、そんなにいないから。ただ、それ以前にこのバンドは曲がいいなっていうのが第一印象でしたけどね」

━━井上くんはどこがギタリストとしての出発点だったのですか?

井上「ベンチャーズですね。知り合いのおじさんに教えてもらって、3年間くらいベンチャーズしか弾かないくらい基礎を叩き込まれたんです。その基礎っていうのは、丁寧に弾くこと、という基礎中の基礎で。そこから、ブルーズとかジャズとかのギターを色々聴いて、自分の中に取り込む作業をしていったんです。最初はカントリーとか全然知らなかったんですよ。でも、アメリカの昔の音楽を勉強するようになってカントリーやフォークに出会ってどんどん吸収していったんです。ベンチャーズっていうインスト・バンドの音楽が入り口だったからギタリストとしての成長につながったんだと思います。最初に聴いたものが歌がなかったわけですからね」

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━━同世代の仲間が聴くようなロックは聴いてこなかった?

井上「いや、もちろん知ってましたよ。オアシスなんかもカッコいいなって思ったんですけど、ギターだけ聴いて“うわ、カッコいい!"っていうほどには……」

後藤「そうだね、あれはボーカルがカッコいいというのが最初のインパクトだもんね」

井上「そうそう、あと、バンドとしてカッコいいとかね」

後藤「ノエル・ギャラガーは手癖で弾いてるもんね」

井上「でもテクニック重視かって言ったらそうでもなく、メタル系のギターはスポーツっぽいからあまり馴染めなくて。速さとか重さとかを競う感じで……」

後藤「俺もメタルは通ってないなあ」

井上「ネルス・クライン(ウィルコのギタリスト)とかも速弾きするんですけど、なんか違うんですよね」

後藤「そもそもカントリー・ギターを弾ける若いギタリストってそんなにいないんだよね。僕は大学で“ブルース研究会"ってサークルに一応入っていたからブルース・ギターについては結構叩き込まれて。朝から晩までずっとブルース・ギターを弾いている先輩とかをたくさん見てきたんだよね。でも、僕はその頃からもうバンドをやっていたし、歌を歌いながらギターを弾くスタイルなので、自分でブルースやカントリー・スタイルのギターを弾くことはあまりない。歌の伴奏としてギターを必要としているって感じだから。それよりも、この曲にはこういうギターが欲しいなとか、ここは音が重なってるからギターは1本要らないなとか、そういう聴き方をすることの方が多い。プロデューサー的な目線で聴いたり作ったり。で、自分で弾けないなら上手い人に頼むとか、今回だったら井上くんに頼むとか(山本)幹宗に頼むとか。ASIAN KUNG-FU GENERATIONだったら喜多くんと相談して、フレーズを預けたりもするし。そうやって考えて作り上げていくのが好きなんですよね」

井上「そっかあ。僕は最初はギタリストになりたかったからなあ」

後藤「だってギタリストっぽいもん、スタジオに来ても(笑)」

井上「(笑)」

後藤「佇まいからしてギタリスト。エフェクトの置き方とか使い方とか……。ちゃんとギタリストのチャンネルでスタジオに来たなって感じがすごくした」

井上「それはあるなあ。曲作ってる時はソングライターのチャンネルが働くけど、スタジオではギタリストのチャンネルが働く。でも、Gotchさんとは感覚が合うっていうか、こういうギターが欲しいのかな?っていうのがすぐ理解できたんですよね」

後藤「意志疎通がしやすかったね」

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