千葉真子
×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
後藤
「暗い歌が自分に必要だったっていうのはありますね。人に頑張ろうって歌われてもなっていう時期もありましたし。頑張ろうって歌も、世の中に必要としている人もいるだろうし。いろいろあっていいと思うんですよ」
千葉
「もちろん。自分の影の部分は、“頑張ろう"って言葉で、掻き消してしまう人も多いと思うんです。私自身も、オリンピックに行った経験もあるんですけど、2004年のアテネオリンピックのときは行けなくて補欠になってしまった経験もしていて。オリンピックに行くために全てを犠牲にして頑張ってきたのに・・・・・・って、自分のアスリート性を全て否定されたような気持ちになって、何も考えられなくて頭が真っ白になって、本当に悲しいときは涙も出ないんだなって。今までだったら挫折することがあっても、明るく前向きに頑張ろうって思えたけど、そのときだけは思えなくて。そのとき、いつものコースをジョギングしていて、“自分はオリンピックのときに何をしているんだろう?"と思い描いたら、初めて涙がポロリとこぼれて素直になれたんです。オリンピックでは補欠だったけど、自分の人生の主役は自分だから、自分の人生は大事にしたいなって心に決めました」
後藤
「僕らには想像もつかない経験ですね」
千葉
「私にとってみては、人生を賭けてやってきたことなんで重大なことでした。大きな挫折があったときほど、人として大事なことを学べる気がします」
後藤
「そういうことを言っていただけると、僕もそうですけど、これを読んでいる人とかも“頑張ろう"って思うと思います」
千葉
「私の世間のイメージとしては、明るく元気なキャラだと思うんですけど、それでも解説とかできなくて落ち込んだり、時には無理していることも正直あるんです。そういうときに、アジカンさんの曲を聴かせてもらうと安心するかもしれません」
後藤
「ありがとうございます。でもまさか、千葉さんがあんまりマラソン好きじゃないなんて、思ってもみませんでしたね。昔テレビで見ているときとか、“きっとマラソンが好きだから速く走れるんだろう"って思ってましたから」
千葉
「他の選手には好きな人もいますね」
後藤
「マラソン選手はみんな走るのだ大好きってだって、一括りにしてはいけないですね」
千葉
「そう思われがちですけど、趣味ではないんでね」
後藤
「ああ、なるほど。“趣味ではない"って、その言葉すごいわかります」
千葉
「後藤さんの音楽は、どうですか?」
後藤
「一時期、仕事をしながら音楽をやっていたんですけど、その当時“趣味でバンドをやっている人"って言われると、“畜生!"って。“気持ち込めてやってるんだけど"って思ったんですけど。今こうして仕事になってみると、趣味みたいなところはあるなって思いますね」
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