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THE RENTALS マット・シャープ インタビュー

タイトルが決まったことが、アルバムに取りかかる大きなきっかけになった

--今回のNANO-MUGEN FES.ではASHのTim Wheelerがサポートメンバーに参加していましたが、彼との交流はどんな風に育まれていったんでしょうか。

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「ASHが1996年にWeezerの前座を務めたんだ。彼は当時4歳くらいだったんじゃないかな(笑)。いつもニコニコ笑っている可愛い赤ん坊だったよ。今でも変わらないけどね。Timくらい常に笑顔を絶やさない人は他に見たことがない。音楽業界の歴史上最高と言えるくらい、彼は心底良い奴だよ。2011年に日本で震災があって、その年にNANO-MUGEN FES.に呼ばれた際、彼に電話をして『特別なことをやりたいと思っていて、ASHとして出演するなら、THE RENTALSにも参加して貰えないか』って聞いたんだ。彼は全く躊躇することなく『やるよ!』と即答してくれた。そういう仲間がいてくれるのは本当に嬉しいことだよね。Timは実はTHE RENTALSのセカンド・アルバムにも参加しているんだけど、2011年のNANO-MUGEN FES.の時に本当に久しぶりに話をしたんだよね。Timは96年の時と全く変わってなかった。熱意と興奮にあふれていた。だから今年も『NANO-MUGEN FES.を君なしてやるなんて考えられない』と言ったんだ。『Tim Wheelerならではのポジティヴ要素が欲しい』ってね。彼と一緒にやるのは楽しいし、できれば今後も何か機会があれば一緒にまたやりたいと思っている」

--『Lost in Alphaville』という今回のアルバムタイトルも、ASHの「A-Z」シリーズから刺激を受けたものという話を聞きました。

「う〜ん、それはYesでもあり、Noでもある」

--というと?

「何が起きたか簡単に説明すると、2009年に僕は大規模なアート・プロジェクトを企画したんだ。世界中のいろいろなアーティストを巻き込んでね。ゴッチにも手伝ってもらったよ。音楽に限らず、映像や写真のクリエイター達にも参加してもらって、彼らの作品を多くの人たちの目に止めてもらえればと思ってTHE RENTALS名義ではやったものの、THE RENTALSのイベントではなく、アートのイベントだった。ただ、内容があまりに多くて、期待したほど注目されなかった。ちょうど同じ時期にASHも「A-Z」シリーズをやっていた。次々と曲をリリースしてね。で、2011年に僕のほうのアート・イベントが終わった頃、Timが僕に「A-Z」の曲をまとめて送ってくれたんだ。それを聞いて僕はTimに言ったんだ。『この中には君の最高傑作もある。けど、曲が多過ぎて、その輝ける瞬間を人に聞かせるチャンスをみすみす逃してしまっている』って。で、『僕がこの中から特別だと思う曲を10曲選んで、曲順も考えて、必要ならリミックスもして、アートワークも付けて一枚の作品にするから、プロデュースさせてくれ』って提案したんだよね。で、実際10曲選んで曲順を考えてアートワークも考えたりして彼にまた連絡したんだ。『できたから送るよ。タイトルも付けた。『Lost in Alphaville』というんだ。どう思うか教えてくれ』ってね。それに対して彼は、『あのプロジェクトは自分たちの中で既に完結しているから、戻る気はないよ。でも、タイトルはすごくいいね』と言ったんだ。で、後になって、Timへのアドバイスはそのまま自分に当てはまることに気付いたんだ。つまり、その前に手がけた壮大なアート・プロジェクトも、その中から一番いいものを10曲選び出して「A-Z」でやったのと同じようにまとまりのある一つの作品にすれば良かったんだってね」

--そこからアルバムのタイトルが決まったんですね。

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「そう。人には客観的なアドバイスはできるけど、自分のこととなるとなかなかそうもいかないものだからね。僕は彼に宛てたアドバイスが自分にそっくりそのまま当てはまることに気付いた。と同時に、『Lost in Alphaville』というタイトルは、彼らにあげてしまうのではなく、自分の作品につけるべきだってことにも気付いたんだ。だからTimにまた連絡をして、タイトルを返上して貰わないといけないことを説明した。実際にアルバムに取りかかる前の話だったんだけど、でも新作のタイトルはこれ以外に考えられないという100%の確信があった。そして、タイトルが決まったことが、アルバムに取りかかる大きなきっかけになった。そこからどういう曲を入れるか、どの順番に並べるべきか、というのを考えて、作っていったんだ」

--アルバム制作の中で難航したところ、大変だったところは?

「『Lost In Alphaville』というタイトルが決まったところから、それまであった全ての音楽を排除してゼロから作っていった。自分たちが探しているものを一つずつ探して見つけていった。誰とやるか、誰に一番刺激を受けているか、といったことを考えながらね。まず最初に迎えたのがOZMAのRyen Slegrで、彼と二人で曲作りを始めた。それから、The Section QuartetのLauren Chipmanと一緒に作ったものの中からいいものを選りすぐって曲に仕上げた。それからシンセやドラムのサウンドで新しいことを幾つか試みてみた。その過程でThe Black Keysの Patrick Carneyと会い、彼が入ったことによってアルバムがぐんと激しくエネルギッシュになった。そして最後にLuciusのJess Wolfe と Holly Laessigとレコーディグをして完成させた」

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