INTERVIEW
MATT SHARP-マット・シャープ- (THE RENTALS) インタビュー
08. PLEASE LET THAT BE YOU / ASHマット : アッシュとはもう本当に昔からの付き合いで、僕がまだウィーザーにいて『ピンカートン』の時に一緒にツアーをした時に友達になった。彼等はまだ本当に若くてね。ティムなんかはきっとまだ17歳とかだったんじゃないかな。親同伴ではなかったはずだけど(笑)、いてもおかしくない歳だった。ティムだけでなく、バンド全員と仲良くなったんだけど、僕がレンタルズのセカンド・アルバムをロンドンでレコーディングしていた時、ティムがスタジオに立ち寄ってくれて「Hello Hello」で歌ってくれたんだ。それと「Overly」という曲でアコースティック・ギターを弾いてくれた。彼は最高だった。
あれをきっかけに、近所にいそうなミュージシャンに連絡して、気軽にアルバムに参加してもらうようになったんだ。彼のお陰でもある。アッシュはちょうどヨーロッパで大成功をしていた頃だったのに、スタジオにふらっと来て「何をやって欲しいから言ってくれればやるよ」と言う感じだった。 本当に気前が良いいんだ。曲について話をして、いくつか試しに弾いてくれてね。彼と仕事をしたことがある人だったら彼がどれだけ仕事がやりやすい楽な相手か知っているよ。
で、彼等がアルバム『Meltdown』を初めてカリフォルニアでレコーディングした時、僕達が「ピンカートン」をレコーディングしたのと同じスタジオでレコーディングしたんだ。で、ベースのマークがある曲で「ピンカートン」と同じベース・サウンドが欲しいと言ったんで、僕は当時使った機材を全部持ってきてその曲に使ってもらった。凄くクールだったよ。彼等とはこれまでそういう様々な交流があるんだ。
09. MOVE ON / HELIO SEQUENCEマット : 彼等のカヴァーがおそらく最もオリジナルからかけ離れているんじゃないかな。オリジナルにはないパートを書き加えているしね。最後のヴァースの歌詞は歌い手が思いついたままに歌っているんだと思う。それも含めて気に入っているよ。アコースティックな浮遊感がある。映画のサントラのような雰囲気で、凄く癒されるサウンドだしね。
レンタルズ僕もソロ・ツアーをやる時は、アコースティックに、こういう感じで曲を演奏するんだ。ここまで上手くできていないんだけど、彼等のように心が落ち着く、アンビエントなサウンドを出していたと思ってやっている。彼等のことはあまりよく知らないんだけど、きっとこの曲が彼等の音楽を表しているわけではない気がする。他のバンドのように、自分達のスタイルでカヴァーするんじゃなくて、「せっかくだから何か面白いことをやってみようか」といってやったんだと思う。でも美しい曲に仕上がったと思う。
10. CALIFORNIA / OZMA
マット : 彼等はこれを僕達と一緒にツアーに出る準備をしている最中にレコーディングしたんだと思う。オズマのメインのギタリストのライアン・スレイガーがツアーでは僕達のギタリストも兼任してくれたんだ。だからNANO-MUGENの時にギターを弾いていたのも彼なんだ。オズマのクリエイティヴの多くを担っているメンバーだよ。
で、彼等のこのヴァージョンは「ぶっ飛んでるな」と聞く度に思う。変なことをいろいろやってるよ。予期しない展開だったり、凄く抽象的だったり、途中壮大に盛り上がる箇所もあったりして、気に入っているよ。彼が活動を始めたのはちょうどレンタルズと同じ時期で、当時まだ13歳か14歳でバンドを結成したんだ。で、何年か経ってから仲良くなって、ツアーを一緒にやったり、NANO-MUGENにも一緒に出たりした。ちょうどその頃、このカヴァーを彼等はレコーディングしたんだ。
11. HELLO HELLO / ASIAN KUNG-FU GENERATION
マット : この「HELLO HELLO」のカヴァーで面白いのは、レイチェル・ヘイデンが参加していることかな。彼女は僕が初めて一緒にレコーディングした人でもある。
レンタルズで核となっているものの一つは、男女のボーカルの掛け合いなんだ。どんな曲であろうと、その男子と女子の間の掛け合いが上手くできていなければ、僕にとってはレンタルズの作品ではなくなるっていうくらい、凄くこだわっているんだ。
その理由がレイチェルなんだよね。ソングライターとしてまだ駆け出しだった頃、レイチェルはThat Dogというバンドにいたんだけれど、僕はそのバンド、特に彼女の歌声が大好きだったんだ。凄くピュアな歌声だった。で、恥ずかしいのを承知で僕は彼女のところにいって、「何曲か曲を書いたんだけど、手伝ってもらえないかな」と聞いたら彼女は「もちろん、喜んで」と言ってくれた。このことが僕にとってもの凄い自信に繋がったんだよね。なんてったって彼女のバンドが大好きだったわけだから、「やったー!もしかしたら僕もやっていけるかも知れない」って思わせてくれたんだ。
それからいろんな曲を彼女とレコーディングし、彼女の妹ともレコーディングをしたりしたんだけど、つまりは、彼女が最初に「貴方が書いたこれらの曲を一緒にレコーディングしたいわ」と言ってくれたことが大きかった。
それまでは男女の掛け合いじゃなきゃいけないなんて考えていなくて、単純に彼女の歌声が好きでお願いしたんだけども、そこから男女の掛け合いが生まれたんだよ。
このカヴァーを聞くと、彼女独特の声が直ぐに耳に入ってくる。そしてまた、レイチェルみたいな、自分が音楽を作り始めた頃の友達と、ゴッチのような新しい友達が共演しているってことがまた嬉しい。違う時代に知り合った2人が、生まれ育った背景も全く違う2人なのに、一つの曲で一緒に歌っているってことが感慨深いな、って思うんだ。
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