それは不思議な衝撃だった。太く厚みのある伸びやかなバンドアンサンブルに、どこか飄々としているようでと、しかし確実に聴く者の心に言葉の楔を打ち込んでいくボーカル・佐野史紀の歌。これが10数年もの間、活動を止めていたバンドの鳴らす音なのかとまるで錆び付いていない、むしろいっそう鮮やかな躍動感でもって全身を駆け巡る音楽に目をみはると同時に、感情が逸って昂って仕方がなかった。それが9月12日、11年ぶりにリリースされるソフトタッチのニューアルバム『リビルド』だ。
1998年に結成され、2003年に解散したソフトタッチ。当時の活動はわずか5年にも満たなかったが、根強く支持され、愛され続けた。彼らと同じ時代を生きたバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文もそのひとりだったろう。今回の活動再開に際し、“一緒にやりたい”と真っ先に声を上げたのも後藤であり、その結果、彼と井上陽介(Turntable Films / Subtle Control)をプロデュースに迎えて『リビルド』が制作された。
“再編”“再構築”の意志をタイトルに掲げた『リビルド』。インタビューの中で佐野本人も語っているように、それは狭義的にはソフトタッチの再構築を指す一方で、今の社会に対する希望であり、願いでもある。今作の歌詞に着目してもらえれば、それは充分に感じていただけるだろう。“社会”“世界”“未来”というワードが随所に散りばめられたこの『リビルド』への想いを佐野にたっぷりと語ってもらおう。
(インタビュー:本間夕子)