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8otto マエノソノマサキ&TORAインタビュー

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同じ4ピースのバンドでも、「このリズムとこのアレンジで鳴ってたら心細いなあ、もうちょっと音足そうか」みたいなことを思うバンドがほとんどだと思うんですよね。

TORA「それはでも、作ってる時にゴッチにも言われたかな。『これだけで行けるのはいいよね』って(笑)。『いや、でも要らんっしょ』っていう感じやったんで、いろんなところで」

マエノソノ「それでも、この曲は足したり省いたりとか、結構やりましたね。もうちょっと普通の曲やったんですけど、最初は。普通にドラムで始まって、ギターが入ってきて、みたいな。ちょうどできあがるかできあがらないかぐらいの頃に、デヴィッド・ボウイが亡くなって??やっぱり自分も好きやったから、“Space Oddity”とか聴いて『やっぱりすげえなあ』と思って。そういう気分もこの曲に入れられたし。曲名とかも、ただのインスピレーションっていうか……ギターのセイくん(セイエイ ヨシムラ)がスタジオでリフを弾いてる時に『ああ、それすごいカッコいいな』ってできあがった曲なんですけど、洋楽っぽいけど日本っぽいというか、寺社仏閣っぽい響きもあるし、すごいカッコいいなあと思って。で、曲にしてみると、なんでかわかんないですけど、ガンジス川のようなイメージで。それで“Ganges-Fox”って名付けたんですけど」

TORA「今の若い子らって、ほんまにパッと聴き『これ洋楽やん!』っていう子らっていっぱいいてるじゃないですか。そういうバンドも好きですけど、僕ら8ottoに関しては、どっか日本人っぽいっていう感じは、どうしたって日本人やから出るんで。そこは逆に出したいなあと思うんですよね。セイちゃんのリフの雰囲気とか、どっかちょっと和っぽいし、リズムも実はどっか和っぽいと思うんですよ。それも味なのかなあって」

マエノソノ「アイヌ民族の音楽とかもすごい好きなんですけど??」

TORA「そうなんや? 初めて聞いたけど、俺(笑)」

マエノソノ「いや、沖縄の音楽も好きやし、アイヌ民族の音楽も好きやねんけど、8ottoでそういうのってできてないなあって漠然と思ってたんですけど、初めて『っぽい』感じにできたかなあって。自己満足度の高い曲になってます」

TORA「『っぽい』のかどうかはわかれへんけど……(笑)。でも、ゴッチのアイデアで、今まで試してないこともいっぱい試せたので。自分らだけやったらたぶん、試そうともしてなかったと思うけど、やってみたら『めっちゃカッコええやん!』みたいなことがあって。結構いろんないい形に、さらになってるんじゃないかなって」

ゴッチからのアドバイスで印象的だったことは?

TORA「前作から5〜6年あって、改めてやっていく上で……僕はちょっと『直接的に伝えたい』みたいな方向になっていってたんですよ。なるべくわかりやすいアレンジに、みたいな方向性にばっかりなっていってて。でも、それを聴いてもらった時に、ゴッチが『いや、全然こっちのほうがクールじゃない?』って引き戻してくれたっていうか。『ああ、やっぱりアリだよね』みたいな(笑)、その作業が結構できた感じがしたんで。すげえいい作用がいっぱい生まれたなあと思うんですよね。それはヴォーカルとか歌詞の部分でもあると思うし」

マエノソノ「めっちゃありましたね。リズムにすごくシビアやったんですよ、ゴッチは。タイミングさえ合ってれば、ちょっとぐらい音程外れててもカッコいいんだよ、みたいなことを言ってくれて。自分の中でグルーヴみたいなものがあって、僕も自信があったんですけど、全然気づかないようなところをいろいろ教えてもらって、さすがだなあと思いました。歌詞も、自分では『抽象的すぎて意味わからんのじゃないかなあ』と思ってたんですけど??ゴッチっていう、すごくたくさんの人と共鳴してるような歌詞を書いてきた人が、僕の書く歌詞は独特というか、『そういう歌詞はなかなか書けないから、自信持っていいよ』って言ってくれて。それで吹っ切れられた部分もあったし」

ちなみに、洋楽邦楽問わず、リスナーとして最近いいと思った作品を挙げるとすれば?

マエノソノ「最近、音楽を全然聴いてないんで……『めっちゃいいなあ』と思ったのが、2年前に出てた作品やった、とかいうのが多くて(笑)。今すごく好きなのは、ケミカル・ブラザーズの一番新しいやつ(『Born In The Echoes』/2015年)の最後の曲(“Wide Open”)で。女の人がレオタードみたいな感じで踊ってて、遠目になって消えていく、みたいなMVのやつですね。あと、ベースメント・ジャックスのめっちゃカッコいいなあと思った曲をiTunesに入れて聴いてたら、TORAが『古っ!』って(笑)」

TORA「車でかかってて、『ラジオ聴いてんのかな?』と思ったら、『俺のiPhoneからや』って(笑)」

マエノソノ「『HYPER,HYP8R,HYPER』出した後ぐらいのアルバム(『Scars』)の1曲目の、“Raindrops”っていう曲が??ウィーザーみたいなリフを、ハウスアンサンブルに乗せてて、めちゃめちゃカッコいいなあって。あとは、ディアンジェロも好きですね。TORAが最近カッコいいと思ってる人なんて、全然知らないです(笑)」

TORA「俺もあんまり新譜にこだわって聴いてるわけじゃないけどな。でも、『この感じやっぱり好きやなあ』と思ったのは、ヴァフペック(Vulfpeck)かなあ。あの、サッカーのジャケットのやつ(2ndアルバム『The Beautiful Game』)。こういうダンスミュージックの感じカッコええなあって。LCDサウンドシステムも??この間新曲(シングル『Call the Police / American Dream』)出たじゃないですか。若干の思い出補正ありかもしれないですけど(笑)、やっぱりいいなあって思ったし……あと、CHAIもよかったですね。さっきも話した通り、今の日本人の若い子のバンドって、本当に洋楽・邦楽の垣根ない感じでやってて。でもまあ、あれはあの世代の子がやるからカッコいいと思ってるんで。あれを俺らの年代がやってても、正直俺はグッと来ないんですよね(笑)」

今回はあえて“Ganges-Fox”1曲だけの印象でインタビューさせていただいたんですけど、「6年間で変わった部分」と「変わらないもの」が確かに宿ってる楽曲だと思うし、若い世代の子にも響くサウンドだと思いますね。

TORA「確かに。8ottoの根本の部分がしっかりあって、そこにいろんな色がついてるような??僕のイメージですけど、そんな感じがあるんで。すごい自信作ですね。『年相応』って言うとほんまに年寄りのバンドみたいで嫌なんですけど(笑)、『今こういうのが流行ってて』っていうのを??聴くのはもちろん好きですけど、それを追っかけてやるっていうのは違うなっていうのがあるし。たとえば安室ちゃん(安室奈美恵)って、何をやっても安室ちゃんやし、どの時代の安室ちゃんもカッコいいじゃないですか。あんな感じにならんかなあ、みたいなのはあるんですよね」


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