マシューダイレクトには書いていないかもしれないけど、わりと触れているのは“直感を信じること"かな。自分と自分の直感との関係性ついてのことなんだけど。最近、それがちょっと変な感じで、何かを決断しなければいけないのに、直感では、はっきりわからないことが多いんだよ。2つの相反する直感が浮かんできてしまったりとか。「直感を信じろ」っていうタイプの人はよく「とにかくやればいいんだよ」とか「自分の思った通りにやってみろ」って言うけど、それが何だかわからないときだってあるよね。そういう場合はどうしたらいいんだろう? っていう想いがあって、歌詞の中でそうした葛藤に触れていたりもするんだ。『YOU KNOW WHO YOU ARE』っていうアルバムのタイトルもそう。自分が誰なのか、自分はどうしたいのか、どうしてこう感じるのか……もし、それがわからないときは、ちょっと落ち着いて、充分に睡眠を取って、おいしいものを食べて、そのへんを散歩したりして。そうすれば答えが見えてくるかもしれないよっていう。このアルバムにテーマがあるとしたら、そんな感じかな。
マシュー彼女はそういった造語を他にも書き留めていて、この曲の歌詞の“wild sadness new weakness"もそのひとつ。だから厳密にはこれは僕が書いた歌詞ではなく、ふたりで話していたことを彼女が書き留めていたものってことになるわけ。それはさておき、この同じブロックの最初の3行、“so much better that we're not together / 'cause i will not lose you / or be the blues to you(僕ら、一緒じゃない方が、ずっといい / だって、きみを失うことがないから / あるいはきみを失って憂鬱になることも)"の歌詞がまさしく僕たちの関係を物語っている気がしてるんだよ。きっと、ふたりがロマンチックな関係になってしまうと、この状態は壊れてしまうんだ。それは異性であっても同性であってもそうだと思うんだけど、もちろん友達だって喧嘩はするよ? でもロマンチックな感情が入っていると、よりいろんな問題が生じやすくなるものだよね。ここに書いてある通り、大切な相手を失いたくないから、この関係でいられて本当によかったって思うんだ。
──ある意味、ロマンチックな関係以上に特別な存在ですね。
マシュー逆に「Animal」の“'cause i need you like / a string needs a kite / to get to the sky(だって僕にはきみが必要 / 糸には凧が必要なように / そうじゃないと、空に届かない)"って3行は逆にちょっとロマンチックなことを書きたくて、書いてみた歌詞なんだよ。本来なら人間も独立していて、誰を必要とすることなくひとりの大人として生きていくべきなんだけど、本当に必要かどうかは別として、愛というものはやっぱり大事だなって思ったりもするから。ま、凧は糸がなくたって、空に舞い上がることはできるんだけど、それは置いておくとして(笑)。