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Radical Dads インタビュー

ーーでは、クリスとリンジーのアンチ・ビートルズという姿勢が、今のラディカル・ダッズの音楽のどういう部分を形成していると思いますか?

R「いい質問だね。それは結構大事なところだと思っていてね、全員がビートルズが好きなバンドだったらきっとつまらないものになっていたと思う、二人がもっと実験的なことやろうよ、もっと崩してみようよ!って言って暴走するのを、僕が“いやいや、ビートルズみたいなポップなものもいいよ"って感じで戻す。その引っ張り合いがこのバンドを刺激的なものにしているんじゃないかな」

C「なるほど、確かにそれはある」

ーービートルズの世代だと、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が出た頃にファースト・アルバムをこっそり出していたヴェルヴェット・アンダーグラウンドにもそういう側面がありますね。

L「そうね。ヴェルヴェットには同じバンドとしてシンパシーを感じるわ」

C「同感。でも、僕らはそういう具体的な目標を考えて曲を作ったりはしないんだ。確かにモデスト・マウスは好きだけど、彼らのようになりたいと思ったりしたことは一度もないよ。それよりも、その時々の自分達をいかにして越えていくか、新しいことにトライできるか、そういう姿勢が一番大事にしていることなんだよね」

L「今こういう音楽を聴いてるの、という話は3人でよく情報交換しているけど、こういうのをやりたいね、という話には不思議とならないのよ」


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R「僕だっていくらビートルズが好きだからってビートルズみたいになりたいと思ったことはないよ。彼らの曲のドラムを聴いて刺激を受けて新しいアイデアが生まれることはあっても、あくまで3人で音を出した時の雰囲気、空気を大切にしていきたいんだ」

ーーそもそもギター+ギター+ドラムという編成がかなり変則的ですよね。

L「そうね。まあ、この編成のきっかけの一つとしては、スリーター・キニーがすごく好きでね、2本のギターのかけあいに興味を持ったというのはあるの。最初の頃は低音が足りないってことでサンプラーとかを使って補っていたんだけど、今は2本のギターで低音と高音をうまくバランスをとるようになってきたわ」

C「せっかくメロディが弾ける楽器が2本あるんだから、それぞれ違う旋律を弾いてみるのも面白いだろう? そういうアイデアも最近はどんどん試しているよ。新作にはそんな小さなアイデアがたくさんこめられているんだ」

ーーこのバンドがスタートした時、既にロビーはクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーとしても活動していましたよね? しかもキーボードからドラムへとパート・チェンジをしています。そもそもクリスはなぜこのバンドではドラムをやることになったのですか?

R「クラップ〜で活動は忙しかったけど、その分、オフも長いんだ。そのオフの時に特にやることもないから他のバンドを……というところから、元々仲良しだったこの二人とやるようになったわけだけど、その時、既に二人はギターをやることが決まっていた。で、僕としては二人と一緒に何かやりたかったから、じゃあ、ドラムをやるよ!って立候補したというわけ。ちょうどドラムもやってみたいという気持ちがあったからね」

C「さっきザックリとした説明しかしなかったけど、ロビーと僕はもともとUninhabitable Mansionsというバンドをやっていたんだ。これは5人組だったんだけど、いつも5人集めるのを大変だったんで、じゃあ、できるだけ少人数でまとめようってことになって今のラディカル・ダッズのカタチになった。だから、ギター2本とドラムという変則的な編成を最初に想定していたんじゃないんだよ。コンパクトに動きたいということから自然とこうなったってだけでね」

R「3人だとギャラの一人頭の配分とかも増えるしね(笑)。というのは冗談だけど、でも、結果として、さっきの話の続きになるけど、モデスト・マウスは共通して好きだけど、ビートルズが嫌いな二人と好きな僕、というように好みも別れることになって、その距離感がかえって面白い作用をもたらしてくれることとなったんだ。それに、この二人とは気も合うし、一緒にやっててとにかくラクだし楽しいんだ」

ーークラップ〜のメンバーとは気が合わなかったみたいじゃないですか!

全員「(大爆笑)」

R「ま、あんまり合わなかったね(笑)。というのは半分冗談。でも、そこそこ売れてツアーとかに出ると、やっぱりギスギスしたりもするんだ。本当に理解し合えてないと難しいもんだよね……」

ーー音楽的にもクラップ〜とラディカル・ダッズとはサウンド指向面で根本から異なりますよね。クラップ〜はリズミックでハイブリッドなところが強いバンドですが、ラディカル・ダッズはギター・バンドとしてエナジェティックなところが武器になっている。

R「そうだね。でも、クラップ〜とは違うことをやろうとか、こういうギター・バンドでありたいと思ってやっているわけでもないんだ。もっと自然にこの3人が集まって音を出したらこうなった…と言ったらいいのかな…」


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C「日本ではブルックリンのバンドと言えば、ちょっとエクスペリメンタルなイメージがあるのかもしれないね。アニマル・コレクティヴとかさ。もちろん、彼らのようなバンドは素晴らしいよ。僕らも大好きだけど、他にもいろんなタイプの音楽があるんだ。弾き語りもいれば打ち込みをやってる人もいる。ストレートなパワー・ポップをやってるバンドも多いし、シューゲイザーみたいなのもいる。そのくらいいろんなバンドがいる中で、自分たちができることは、やっぱり自分達らしいものをやるってことだと思うんだ。何かアートをクリエイトする時に必要なのは、いかにして無意識でいられるかということだと思う。だから、正直言って、作品を作っている時は、僕らみんなどういう音楽なのかわかっていないところもある。ちゃんとキチンと説明できないものなんだ。でも、あとから振り返ってその作品に触れた時に、“こういうことだったのか!"ってことに気づく。その方が作業をしていてもスリリングだしね」

ーー曲を作る時も、具体的な予想図を想定せずに、まずは音を出すところからスタートするのですか?

L「基本はそうね。スタジオで3人でジャム・セッションしている中で、“そのリフ面白いからもっと広げよう"って感じで進めていくことが多いわ。あるいは、誰か一人がちょっとしたフレーズやメロディを持ってきて、そこから曲になっていくこともあるかな。いずれにせよ、“こういう曲を作ろう"って感じで始めることはないわね」

C「基本的には僕とリンジーが中心になって進めるかな。歌詞はリンジーが多くて時々僕。で、時々ロビーもビックリするような面白いアイデアをスタジオで出してくれるんだ」

ーー歌詞に対するヴィジョンは明確にあるのですか?

L「絶対に書かない!って決めてるわけじゃないけど、自分が歌詞を書く時はあまりポリティカルなメッセージに向かわない傾向にはあるわ。明確なテーマを避けてるわけじゃないんだけど、結構曖昧な表現の方が好きかな…」

C「そもそも、何かについて言及するような歌詞とか作品を作りたいんじゃないんだ。作家のジェイムス・ジョイスが何かで素晴らしいことを言ってたよ。“何かを言及するための作品もあれば、その作品自体が対象になる場合もある"ってね。で、僕らはどっちかと言えば、その後者でありたいと思っているんだ」

R「うん、僕らは何かを明確に伝えるために存在しているわけでもないからね。僕らの躍動感あるライヴを見て何かを感じ取ってくれる人もいると思うし」

C「うん、日本のオーディエンスなんてそうだよね。すごくマナーがあるのに、ちゃんと一緒になって乗ってくれるし理解しようとしてくれる。今回、『NANO-MUGEN CIRCUIT』に参加させてもらってつくづくそれを実感したよ」

R「室内だからいかにもロック・フェスティヴァルって感じでもないのに熱気はある。でも、ちゃんとオーガナイズされていてテーマも明確だ。面白いバンドにも出会えたよ」

C「NOKIES!とか良かったね」

R「Dr.DOWNERも気に入ったよ! アメイジングなギター・サウンドだったな。長いケーブルを使っていてこんがらがりそうなのに、ぜんぜんもつれずに演奏してるってだけでも十分感動的だったよ(笑)」

L「ブルックリンにもフェスティヴァルがあるのよ。『Blooklyn Northside Fetival』とかね。あまり好きじゃないけど(笑)」

R「あのフェスはとにかくたくさんのバンドが出過ぎなんだよ。その割にいいなと思えるバンドは少ないし……」


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L「そうなのよね。サーキット形式だったんだけど、満員でハコに入れなかったりしたしね。その点で『NANO-MUGEN CIRCUIT』はコンパクトでいいわ」

ーーでは、最後に、一緒にツアーしてみたいバンドはいますか?

L「やっぱりビルト・トゥ・スピルね」

C「僕はブラック・サバス(笑)」

R「スリーター・キニーのリユニオン・ツアーとかにお邪魔できたら最高だね!」

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