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ギターメイカー「ヤイリギター」工場見学
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「VIBRATION OF THE MUSIC」の岐阜CLUB-G公演の翌日、岐阜県可児市にあるに日本有数のギターメイカー「ヤイリギター」の工場見学に行って来ました!後藤正文が自身で使用するアコースティック・ギター探しも兼ねた念願だったこの企画に、アジカンのギタリストである喜多建介も参加。ヤイリギターで、リペア&アーティスト担当をする松尾浩さんの丁寧なアテンドの下、ギター制作の工程を勉強させていただきました!

創業75年、ひとつひとつ全てを職人さんの丁寧な手作業により弾き手に愛されるギターを生み出してきたヤイリギター。工場内では、どんな作業が行われているのだろう?

スタート!

後藤「ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤です」

喜多「喜多です」

後藤喜多「今日はよろしくお願いします!」

松尾さん「お待ちしておりました。今日は、ヤイリギターがどういったギター作りをしているのか見学していただければと思います。こちらこそ今日はよろしくお願いします」

ギターに使用する木材を寝かせています
写真[1,2]

松尾さん「積まれている木材は、白っぽいのが松。茶色いのは杉だと思ってください。ヤイリでは、カナダとかアラスカで採れる材料を使っています。これらの木材をここで、風が通るような状況にして5〜10年寝かせます。湿度はだいたい一桁にしています。今は、人工的に湿気を飛ばすこともできるのですが、そうすると木材の組織がバラバラになって、腰がなくなって音に全くいいことがないんです。だから、効率は悪いですがここでワインのように永く寝かせています。これが、ギター作りの最初の作業ですね。ギターの表に使用する木材は、だいたい5年くらい寝かせたもので大丈夫なのですが、サイドやバックで使用するマホガニーやローズウッドといった木材は10〜20年寝かせたものを使用しています。ヤイリは、30人の職人で1日20本のギターを作っています。このペースで何十年も作業しています。今こちらにある材料は、10年分くらいの量になります。社長の指示で、常時10年分の材料をストックするように言われているんです。ただ、近年なかなかいい材料がなくなっています。ワシントン条約などで、木材が入りづらい状況になっているんですね。これから10〜20年は、どのメーカーも材料に苦労すると思います。これからは、ある材料をいかに上手に使っていくかっていうことが大切になってきます。どれだけいい職人がいても、材料がなければ作れないし、いい材料があってもいい職人がいなければ成り立たないんです」

後藤「環境保全とかが影響してきているということですね? 木を切ってはいけないとか、そういうことですよね」

松尾さん「そうですね。例えば、アマゾン川流域の大森林などは切りつくされていて、破壊されていますよね。これからは、100〜200年かけて木を植え育てていく時代です。その状況を、しっかりと理解した上で、代わる材料を今手探りで見つけているところです。和楽器に使われている材料とか、日本国内で採れる材料で試作などもしています」

後藤「主に入りづらくなった材料は何ですか?」

松尾さん「一番は、ハカランダですね。ないっていうわけではないですけど、アマゾン川流域にあるブラジリアンローズウッドがハカランダなんです。ギターとしては、好みもありますけど一番華のある音を出しますね。だから、ギターとしては最高の音を出すと言われているんです。それが乱獲されてしまって、ヘリコプターを使って望遠鏡でその木を探しにいくような状況になっています。ハカランダを使ったギターは、シンプルなものでも100万円を超えるようになってしまいました。欧米社のように、木材は将来心配だということで樹脂を使ってグラファイト(炭素からなる元素鉱物)のようなもので作っているメーカーもあります。樹脂でネックを作ったりボディを作ったり、ヤイリでも試してみたんですが、やはりギターには手触りや木の温もりみたいなものが必要だと社長が判断して、木材がある限り木材でやっていこうということになったんです。そこが、ヤイリのこだわりでもあります」

後藤「先程おっしゃっていた、日本の楽器の木材って何を使ってたんですか?」

松尾さん「琴、大正琴、琵琶そういった楽器は、ケヤキや桐、東北地方のアカシアとかキハダとか、楢、ブナといった木材ですね。そういった木材をギターに使用すると、和楽器の匂いがするんですね。面白いものです。ギターは、西洋の楽器なのにね。今度は、日本からそういった楽器が発信できたらいいなと思っているんですね。やっと少しづつカタログに載せられるようになりました。ヤイリのオリジナルとして紹介していきたいんですね。基本的に、和楽器の材料を使用したギターはパワーはないんですね。ドーンという力強さはないですが、近くで心地好く鳴るような感じがあるので、もしかしたらレコーディングなどで活躍できるかもしれないですね」

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