RA RA RIOT インタビュー
ストリングスを用いた不思議なファンタジーと温かさがあるポップなサウンドで、NYインディーズ・シーンのなかで独特の存在感を放っているバンド、ラ・ラ・ライオット。
今年夏に行われた「ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN CIRCUIT 2010」でも、バンドの持ち味を生かした美しくポップ性のあるパフォーマンスで、数多くの観客を魅了した彼らが、2ndアルバム『ジ・オーチャード』を10月27日(水)にリリース。前作以上にバンドのアイデアを注入させ、緻密かつ自由な音楽の果実を作り上げた。2ndアルバム『ジ・オーチャード』を中心に、ウェスリー・マイルズ(vo&key)とレベッカ・ツェラー(vl)に話を訊いた。
text:松永尚久
──「NANO-MUGEN CIRCUIT 2010」への出演、おつかれさまでした。これが日本で初のツアーだったけど、感触はどうだった?どの会場でも、盛り上がったと聞いたけど。
ウェスリー・マイルズ(vo&key)「とても充実した、そして素晴らしいツアーだったよ。日本デビューしたばかりだったから、オーディエンスの反応はどうなんだろう?って心配していた部分もあったけど、みんな温かく迎えてくれた。大変感謝しているよ」
レベッカ・ツェラー(vl)「日本のオーディエンスは、みんな音楽を熱心に聴いてくれているという印象を受けたわ。その真剣な姿勢は、他の国にはないもの。とても素敵な音楽ラヴァーばかりだと思ったわ」
──最初に日本でライブを行ったアーティストの多くは、MCにおいてそのシーンとしているオーディエンスの反響に戸惑うことが多いんだけど、その洗礼は克服できた(笑)?
ウェスリー「確かに初体験の雰囲気だったね(笑)。でも、あれはあれで素晴らしいライブ空間であると思うよ。ボクらはとても楽しみながらパフォーマンスできたし」
レベッカ「私もあの雰囲気は大好き!自分の性にあっているわ。ある日本人の友達は『NYのザワザワしたムードのほうが好き』と言っていたけど、好き嫌いは人それぞれよね」
──さて、7月にはデビュー盤『ザ・ランバ・ライン』をリリースしたばかりですが、早くも2ndアルバム『ジ・オーチャード』が完成しました。1年の間に2枚のオリジナル・アルバムを発表するなんて、今の音楽シーンからしてみるとかなりハイ・スピードな気がするんだけど?
ウェスリー「(笑)うん、とってもユニークなリリース・タイミングになってしまったよね。バンドを結成して4年経つけど、まさか1年で2枚もアルバムをリリースするなんて、自分達でも想像がつかなかったよ。日本のリスナーに、ラ・ラ・ライオットはすごく早いペースで楽曲を発表できるバンドだなんて思われたら、どうしよう(笑)!?」
レベッカ「と言うのも、実は前作の『ザ・サンバ・ライン』って、アメリカでは2年前にリリースした作品なの。それが、『NANO-MUGEN CIRCUIT 2010』への出演をきっかけに日本でリリースすることができ、さらに次の作品を世界で同時に発表できるのだから、すごいわよね!バンドにとっては活動のハイライトというべき2010年なのかもしれないわね(笑)」
──となると前作と本作『ジ・オーチャード』では、楽曲制作やレコーディングのプロセス、モチベーションにおいて異なるものがあったのでは?
ウェスリー「そうだね。前作と本作は作るプロセスが全く異なるものになったよ。前作は、バンドを結成して以降に制作した楽曲のなかから、プロデューサーと共にどういう構成にしていったらいいのか?を相談しながら構成し、完成させていったものなんだ。でも今回は、基本的にはプロデューサーを介さずに、ツアー・エンジニアでもある友人のアンドリュー(・モーリー:アーケイド・ファイアなどのリミックスを手がける新進気鋭のエンジニア)とメンバーでアイデアを持ち込み合い、そこでどういう曲にすべきか? 全員が真剣に音と向き合いながら制作していった。本能に赴くがまま制作できたアルバムになったね」
レベッカ「自分達のやりたいサウンドを探求してアルバムを制作できたのは、このメンバーで音楽をやることに対する自信が持てたことが大きいと思うわ。私達は前作をリリースして以降、さまざまなライブ経験などを通じて、音楽的にはもちろん人間的にも結束力が強まってきたの。その結果、バンド自体が成熟してメンバー同士に信頼感が生まれ、今回のアルバムの完成にまで漕ぎ着けることができたと思うわ」
──では、レコーディングはジャム・セッションみたいなやり方で?
ウェスリー「いや、セッションみたいなことはなかったな。たいていドラムとベースのビートを決めて、そこからおのおのが自由にメロディや楽器を奏でて、まとめていくというプロセスが多かったね」
レベッカ「実は前作は、20日という限られた時間のなかでアルバムを完成しなくてはいけなかったの。だから、ちょっと急かされた部分もあったわ。でも、今回はその倍以上の時間を制作に費やすことができたの。プレッシャーとか緊張感のない状況で、よりよい音楽にするにはどうすればいいのかだけを考えればよかったから、アルバムではセッションはせずとも、そのムードが全面にわたってあらわれていると思うの」
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