Chris Staples『Golden Age』
この素朴なシンガーの唄は、聴き手に安らぎを与えてくれる。皮肉屋で人を笑わせてくれる彼の唄には、過去の哀しみを乗り越えて前に進んでいくっていうポジティヴなメッセージが込められているね。洗練されて、且つ、温もりを感じさせてくれるその音楽は、完璧なBGMになるよ。このアルバムを聴くと、何度もリピートボタンを押してしまうんだ。
Run the Jewels
『Run the Jewels 3』
Killer MikeとEL-Pの二人組のヒップホップユニット。同じ人生観や政治観を持ったこの二人が生み出すヴァースは、ユーモアもあり強烈なメッセージも込められている。自らの経験をもとに世の中の影の部分や、現在起こっている問題に対しての意見を訴えている。EL-Pのプロダクションも独創的で素晴らしい作品だね。
Fruit Bats
『Absolute Loser』
フロントマンのEric Johnsonは、本当に才能にあふれたアーティストだと思う。ニューイングランドを彼らと一緒にツアーで廻ることが出来た事は、良い思い出だね。最初はものすごく寡黙な人物だったけど、打ち解けていくと、話し好きの良い人だったよ。アメリカ人らしいアメリカ人だと思う。そんな彼の作り出す音楽は最近の流行も押さえつつ、彼の個性が光り輝く素晴らしいものだね。
Kevin Devine
『Instigator』
Kevin Devineの9枚目となるアルバム。どこか温もりのあるサウンドに、彼のパーソナルな部分と政治的価値観が表現された作品。ひとつひとつの楽曲に、彼の鋭い観察眼が見抜いた事実とそれに対する彼の受け止め方が描かれている。まるで物事のメカニズムをすべて見通したかのような、彼の考え方が明瞭になっているよ。
Mitski
『Puberty 2』
このアーティストに出会えて、本当に良かったと思う。素晴らしい声、そしてむき出しで危うさを感じさせる才能あるパフォーマーだね。真っすぐに怖れることなく心情を吐露している。Bob Dylanが前にソングライターは英雄のスピーチのような作品を創るべきって言ってたけど、Mitskiはまさに素晴らしいスピーチをしていると思う。それは誰とも比べることの出来ない唯一無二のものだね。彼女はこう歌っているんだ。“世界中を旅して廻りたいって思うけど、日々を暮らしていくことに精一杯なの”。
David Bazan
『Blanco』
Pedro the LionのControlというアルバムを、昔よく聴いていたんだ。このバンドの唄は、エモーショナルで世の中への皮肉が込められていた。そのバンドのシンガーのソロ作品。彼の作り出す音楽は、彼自身も含めて誰もが犯してしまう些細な罪とその影響、そしてそれらを冷静に受け止めることに関して歌っていることが多いんだ。
Laura Gibson
『Empire Builder』
どの音楽にもそれぞれに個性があるもの。中でも、このLaura Gibsonの作品には、強い個性があると思う。穏やかなメロディと、どこか自分を重ねてしまうような、そして何か映画を見ているような雰囲気が素晴らしい。彼女のヴォーカルは、まるで友達をいたわるかのような温もりに溢れているし、才能に溢れたシンガーだね。哀しみと希望、そして人間関係について歌った唄は本当に素敵だよ。
Amber Arcades
『Fading Lines』
今年一緒にツアーを廻った回数の一番多いバンド。彼らの浮遊感のあるメロディとヴォーカルは、夢心地のような感覚と心地よい目覚めをあわせたかのような感覚を聴き手に感じさせてくれるものだと思う。別の言い方をすれば、活性化しながら瞑想をするといった具合かな。シンガーのAnnelotte de Graafは、才能溢れるソングライターで、ドリームポップというジャンルに衝撃を与える存在だよ。
Lambchop
『Flotus』
時々、アルバムの収録曲を全部聴き終わるまでに時間がかかるってことあるよね。アルバム冒頭の楽曲をずっと繰り返し聴いてしまって、最後まで辿り着かないっていう。そのパターンが、この作品。冒頭のIn Care of 8675309という楽曲は、12分くらいの長さがあって、基本的に同じパートの繰り返しで構成されているんだけど、未だに僕の心を掴んで離さないんだ。穏やかさとファンキーさが共存しているというか、とにかく聴いた人を瞬く間に魅了する楽曲。シンガーであり作曲もしているKurt Wagnerが綴る唄は、聴けばすぐにその情景が心に浮かんでくるね。オーガニックなサウンドとオートチューンで微妙に処理されたKurtのヴォーカルとの絡み合いは、本当に心地よいサウンドだと思う。
William Tyler
『Modern Country』
昔から好きなギタリストの作品。William TylerはBert JanschとJimmy Pageの後継者だと言えると思う。Bert Janschのアコースティックスタイルは、Jimmy Pageにも影響を与えているだろうけど。歌詞はないインストゥルメンタルの作品だけど、充分に楽曲の情景や感情が伝わってくる。バックバンドにはWilcoやMegafaunのメンバーも参加しているよ。ぜひ、聴いて欲しい!
WEB
www.nadasurf.jp (JP)
www.nadasurf.com (US)
NADA SURF / only in dreams
Minor Alps / only in dreams
BIO
NYブルックリンの3ピース・パワーポップ・インディーバンド、ナダ・サーフのフロントマン(G/Vo)。
高校の同級生だったマシューとダニエル・ロルカを中心に93年頃活動をスタートさせたナダ・サーフ。96年デビュー・アルバム『High/Low』が大ヒット、切ないメロディを乗せた瑞々しいポップ・ロックで“ポストWeezer”と賞され一躍メディアを騒がせる存在に。その後、『The Proximity Effect』(98年)『Let Go』(02年)『The Weight Is a pngt』(05年)『Lucky』(08年)『If I Had A Hi-Fi』(2010年)、そして最新作となる『THE STARS ARE INDIFFERENT TO ASTRONOMY』(12年)、とコンスタントにアルバムをリリース。結成以来20余年、豊かな音楽性とセンス、実力を合わせ持った真のインディーとして活動を続け、パワーポップファンのみならず幅広く音楽ファンからリスペクトされる存在である。
日本では、NANO-MUGEN FES. 2009での待望の初来日を果たして以来、SUMMER SONICや単独公演などでも度々来日公演を行っている。
マシュー個人としては、ジュリアナ・ハットフィールドとのニュー・プロジェクト、MINOR ALPSも始動、アルバム『GET THERE』(2013年10月)をリリース。
そしてニュー・アルバム『You Know Who You Are』を3月にリリース予定!
オリジナル・アルバムとしては『Stars Are Indifferent to Astronomy』以来4年ぶりのリリースとなる本作には、
全10曲が収録。そのリリースに先駆けてリード・トラック「Believe You’re Mine」のストリーミングが公開中!