慧「はい。そういう話を持ってきてくれて、うれしかったですね」
『Brother & Sister』は、最初に愛さんが作詞作曲されたものを、慧さんに送ってというやりとりで作られたそうですが、最初のこの曲を聴いたときの印象は?慧「Aメロの部分だけ出来てるっていうので、それを聴かせてもらって。愛っぽい感じやなと思って。兄妹してそうなんですけど、ブルースの街・大阪で育っているので、ほっとくとすぐ土臭くなってしまうので、それは少し押さえつつこの曲を作ろうと」
口笛も相俟ってポップで弾む楽曲になりましたね。慧「そうですね。そういう感じで作ろうねって話しながら進めました」
『Eighteen Sister』『name』は、慧さんが作られた楽曲で、愛さんとの実話が描かれているようですね。慧「そうですね、まさに。僕の片思いみたいなもんですよ」
兄の見守る視線にジンときました。慧「完全に、星飛雄馬(漫画「巨人の星」)の姉さんみたいな立場ですね(笑)」
愛さんもこの『Eighteen Sister』を聴いたとき、うれしかったと、“ええやん!何も言うところがない"と、仰っていました。18歳の愛さんが自分と同じ音楽家という道を選らんだことについて綴られていますね。慧さんの2012年1月のブログに、愛さんについ書かれていた記事もありました。“今でもその気持ちをありありと思い出せる"と、ありました。慧「あー、ブログ書いてましたね。18歳ころのその気持ち、ある種“ひとり立ち"じゃないですか。雛鳥が巣立っていくような気分といいますか、愛ちゃんのその想いをそういう気持ちで聞いていましたね。自分も誰かにそう思われてたんかなと思いながら。当時、自分の子どものように、愛に接していたように思いますね」
“相当タフな出来事も ハイになって越えて"と歌詞の中にありますけど、愛さんが仰っていましたが、慧さんが音楽の道に進むときに、お父様から“人と違う道に進むには人の3倍以上努力しなきゃいけない"と言われていたと。慧「そうですね。親父は、結構真っ当な仕事に就いているんで、“大変な道だろうけど、大丈夫"って言ってくれて、ちょうどそれを妹も見ていて、自分の中に帰する想いもあったんじゃないですかね」
慧さんは、同じ道に進む愛さんをどうように思っていたのでしょうか?慧「僕の後に続くから大変やろうなと思ってたけど、大丈夫だろう、この子ならと。マイペースだから、自分のペースを崩さずやるんだろうなと思ってました」
『Eighteen Sister』は、メロディが切ないながらも、微かに光を差しているような空気感もあって、サウンドの世界観が詞の世界に臨場感をもたらせていますね。慧「ブルックリンの音楽っぽい空気感を出したいと思っていたんですけど、日本語を乗せるので日本人だよ俺達みたいな雰囲気も入れて、Bメロはそういうメロディの進行になっていると思います」
『name』は、慧さんのカウントと愛さんの声も頭に入って、“せーの!"で録った雰囲気がとても温かいですね。慧「このレコード、最初は2曲収録でって言われてたんですけど、もう1曲あってもいいんじゃないかと思って。“愛の話まだあるで、こんな話もあるんですよ"って気持ちで作って。愛と事務所の方に聴いてもらったら、“これもいいので入れましょう"ってことになって」
慧「他のことは忘れやすいんですけど、そのときのことは覚えていますね。とてもいい感じだったですよ、若かりしころではないとそういう発想はできないと思うんですね。そういうのを、自分もおそらく通っていたんだろうけど、久しぶりにその気持ちにさせてくれる瞬間だったというか。そのことをよく覚えていますね」
“兄妹"がテーマになった1枚ですが、聴き手は自分の大切な人を思い出し、思い出があふれてくるような普遍的な楽曲が並んだ1枚になりました。ずっとずっと聴いていきたい楽曲ですね。慧「そう言っていただけるとうれしいですね。ありがとうございます」
そして、5月からは北海道、仙台、東名阪を廻るリリースツアーもあります。兄妹で阿吽の呼吸で、その場その場でいろいろ起こりそうですね。慧「そうですね。昔から何でもセッションしまくれる感じやったんで、ホントにそのとき思いついたこととか、お客さんの感じとかを見ながらアドリブで何でも出来そうな感じがしています。楽しみですね」
今回の作品は、RECORD STORE DAYにレコードでリリースとなります。この日、たくさんのミュージシャンの方がレコードをリリースされますが、気になる作品はありましたか?慧「RECORD STORE DAYっていうことで、古き良きレコードをって気持ちもあって、マイルス・デイヴィスとかもいいなと思いましたが、 フレーミング・リップスが大好きなので、フレーミング・リップスを聴きたいなと思いました。自分の好きなバンドがRECORD STORE DAYに参加していて、そこに自分の作品を並べることがうれしいなと思います」
⇒ 詳細は 岩崎愛オフィシャルサイトにて