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木幡 太郎(avengers in sci-fi)が選ぶ2013年 ベストアルバム

1. MBV─My Bloody Valentine

2. Yeezus─Kanye West

3. Free Your Mind─Cut Copy

4. Holy Fire─Foals

5. Random Access Memories─Daft Punk

6. More Light─Primal Scream

7. Slow Focus─Fuck Buttons

8. Comedown Machine─The Strokes

9. Evil Friends─Portugal. The Man

10. Givin Em What They Love─Janelle Monae


1.散々待たされたあげく20年前から据え置き的なあまりにもっさりとした音作りにマスタリングしてないとか色んな憶測が飛んでましたが個人的にはむしろやっていないのはベーシック部のレコーディング…に幾らかペリカを賭けたいです。“Loveless"前夜の曲に近いものが多くて、さてこれからダビングしていくべという段階に聴こえなくもないことと、明らかに90年代に作っただろ!と突っ込みたくなるドラムンベースやらビッグビート的なエッセンスが散見されるのがその理由。アナログの機材でレコーディングしたとの本人談だが「(90年代に)レコーディングした」というのが本当のところではと疑っている。
あまりにも荒っぽい完成度から言っても本当に3rdアルバムという位置づけでいいのか大いに気になるところではあるが結局自分の一方的で歪んだ愛がこのアルバムを1位にしてしまった。

2.よりミニマルにシンプルにというコンセプトに基づいた見事な削ぎ落としっぷりで最初聴いた時は作りかけかと思った(笑)。いつも通り物議を醸す事を意図したような作りだけどこの人程毎回新鮮な驚きを与えてくれる人はいないなあと思います。

3. 90年代前半頃のダンスミュージック感が満載です。この手の音が古く感じないのは適度に汚しの利いたサウンドメイクによるものなのか、これが時代が回るという事なのか。Boy LondonのTシャツがその昔ジーンズメイトで売られていた事に誰も触れない感覚と似ている。

4. 先行シングルM1の90年代的クワイエット→ラウド→クワイエットな展開に久々にこういうの来たなあと咆哮してしまった。Aの静寂からサビの爆音はもちろんだが静寂に戻ってくる時の美しさに90年代オルタナティヴのカタルシスを思い出した。それもそのはずプロデュース&エンジニアリングはスタローン × シュワルツネッガーもビックリのブッチ・ヴィグ × アラン・モルダーのBack To 90'sコンビである。ここ何年かのインディーロックに多い80年代末風の滲んだサウンド感とはまた違ってかっこ良かった。

5. 大好きだったソウル、ディスコの偉人達を招いて一緒に往年風の曲やってみました的なベスト・オブ・オナニーアルバムなんだがこの気持ちいいことといったら。これが盛大に受け入れられた背景にはEDMが隆盛でひたすら過激にギンギンになっていくダンスミュージックへの反動があるような気がします。こういうのだって踊れるでしょ?という。これが気持ちよくフロアに響く様は痛快でもあったな〜。

6. デイビッド・ホルムズがプロデュースと聞いた時はまさかExterminator再現かと思ったが作風は違えど予想外の良作投下でした笑。個人的に Primal Screamはコラボレータータイプのプロデューサーと今後もやっていただきたいと思う次第。M2とかはコラボの好例だと思う。まあPの関与のほどは想像の範疇でしかないので「僕はコーヒーを飲んでマックのスペースキーをひたすら押していただけ」(ホルムズ)という証言が出てくるかもしれないです笑。

7.ロンドンオリンピックのセレモニーで前作のナンバーが流されたそうでその瞬間は見逃してしまったのだがこれが流れちゃうイギリスってすげえなと思うのと同時にNHKの画面の右隅にFxxKのテロップが数分とはいえ踊ったかと思うと感慨深い。
とはいえ狂ったヴァンゲリス(炎のランナーの作者です。)みたいな作風なのでオリンピックには実はベストマッチなのかもしれない。

8.Arctic Monkeysとどっちにしようか迷ったあげくこちらをいれました。同じにするのはどうかと言われるかもですがキャリア的にもどちらもソウルだのファンクだのへの傾倒がみられたりでなんだか対になる作品に思えたもので。

9.本作のプロデュースを務めるデンジャーマウス共々とあるバンドマンから薦められたバンド。去年のTame Impala × デイブ・フリッドマンしかりサイケロックと鬼畜系プロデューサーは相性が良いように思う。
エディットと打ち込みによってストイックにループを組まれたであろうドラムのリズムがどことなくヒップホップを感じさせる(いかにも黒人ぽいという意味ではない)。このあたりはデンジャーマウスの仕事なのだろう。もしくはドラマーがトイレに行っている間にアルバムが完成してしまったのかもしれない。

10. 女P-Funkという感じで毎度コンセプチュアルな作品を出してくる人。R&BとかHipHopのシーンでも多くのアーティストがEDM化していく中でジャスティン・ティンバーレイクとかこの人とか逆にソウルのルーツに接近するようなスタイルが反動として支持されているのかなと勝手に思ったりしています。


Profile
木幡 太郎(avengers in sci-fi)
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木幡太郎、稲見喜彦、長谷川正法により2002年に結成。最小限の3ピース編成でありながら、シンセサイザー/エフェクト類を駆使したコズミックで電撃的 なロックを響かせ、“スペース・ロック"とも表される独自の近未来的とも言うべきサウンドを大胆に展開。木村カエラの「BANZAI」(2009年)をプ ロデュースするなど、高い音楽的IQが話題を呼ぶ。昨年はNew Album 「Disc 4 The Seasons」をリリース。SHIBUYA-AXでのワンマンライブ、全国ワンマンツアーを行った。昨年6月に新曲&ライブプレイ率上位の楽曲を収録し た初のベストアルバム「Selected Ancient Works 2006-2013」をリリースした。
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