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石井光太 ×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

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後藤「なるほど。それは、光太さんの著書の中から感じ取れますね。僕らが考えているイスラームとは、全然違った世界が夜にあったり。例えば、日本人がアジアに旅行に行って物乞いに会ったら、かわいそうって思うかもしれないけど、その後ろにはいろいろなドラマがあって。まさか物乞いをしている人達の中にもマフィアみたいな組織があって、ある種商売、産業化しているなんて、僕には想像がつかないですから。今、光太さんがおっしゃったように世の中が記号化しているんですよね。なるべくそうしないようにとは、何かを書いたり作っている側は思っているんですけど。それがわかりやすいからっていうのもあるし、楽だからっていうのもあるんでしょうけど。そういうことの極みが、思考のデジタル化っていうか、1か0か、白か黒、敵か見方かを決めたがるっていうか。みんなが一神教みたいな考え方になっている。それは、すごい怖いなと思っていて。それが、本当にいろんなところにヒステリックに現れている。僕は大相撲が大好きなんですけど、そういうところにも出てきている。そういうところに、違和感がありますね。ミュージシャンの活動にも少しずつそういうところがあって。例えば、録音の仕方だったり、音の成り立ちですね。みんな、鍵盤にぴったり音を合わせることを望んでいたり、コンピューターのリズムに揃えたり」

石井「そうなんですか?」

後藤「J−POPで言ったら、そういう部分はあると思いますね。人間がやっていることだから、音程も外れることもあるしリズムも揺らぐこともある。でも、そういうところに魅力があるものだと思うんですよ。そういうところからも考えると、今の世の中って何かギスギスしているというか、真四角になっているっていうか。そういうイメージを僕も同じように持っていますね」

石井「そうではないところに向かって、スポットを当てることができるのって、本もそうだと思うし音楽もそうだと思うし、他の芸術の特権ですよね。だからこそ、作る人間は、フリーでいることを許されている部分があるし、その特権を精一杯使うべきです。そこを使わないなら、会社に属して社会の文脈に沿ってやればいいって話になってしまう。そして、多くの選択肢を持って、物語を見る、光を当てる方法を広げていけばいい」

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