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The Aquadolls 「We Are Free EP」

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The Aquadolls -LINK-

オフィシャルサイト(海外)
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ミノウラショウタ─2013.7.20─

もう、完ぺき!完ぺきに恋に落ちてしまった!
 
今回僕がレコメンドするThe Aquadollsは、Vox/Gtのメリッサ・ブルック、Gtのライアン(Frailichというファミリーネームが読めません。誰か分かる人がいたらこっそり教えて下さい)、Baのジョシュ・クローフォード、Drのコリン・ムーアの4人からなるカルフォルニアのバンドだ。

平均年齢は20歳と若く、メリッサに至ってはまだ19歳になったばかりだと言う。きっとほとんどの人が初めて耳にする名前だと思う。
 
初めて耳にする名前と言えば、自己紹介が遅れました。このレコメンドがOnly In Dreamsデビューとなるミノウラショウタです。東京で大学生をやっている23歳です。読者の皆さん、末長くよろしくお願いします。
 
そんなThe Aquadollsだが、まだリリースはデータのみということで(しかもEP)、やや暴走気味の記事であることは先にお詫びしておきたい。今回のレコメンドは、現在Amazonで購入が可能な唯一の音源である「We Are Free EP」についての話というよりも、バンドの紹介自体に力を入れたものとなっている。まずはThe Aquadollsがどういうバンドかを知ってもらって、一緒に盛り上がってくれる仲間を作ろうという僕の魂胆である(BandcampではWe Are Free EP以外の曲も購入可能)。

 

初めにバンドのバックグラウンドについて書くと、The Aquadollsの曲からは、主に50年代〜60年代のロックンロール向けポップスやオールディーズ、ドゥーワップ(メインボーカル以外のボーカルの人たちが、ドゥーワ、シュビドュバって歌っているようなボーカルグループを想像してみて)の影響がうかがえる。

Vox/Gtで、おそらく曲も書いているメリッサは、インタビューの中でConnie Francis、The Chiffons、Brenda Lee、The Ronettesをフェイバリットに挙げていたが、納得の音楽性である。



そういった昔の音楽からの影響をVivian GirlsやWavves、Black LipsやGirlsといった最近のUSインディーのメンタリティ、つまりDIY(Do It Yourself)の精神でもって鳴らしているのがThe Aquadollsだ。



USインディーからの影響はリリックの面にも現れている。代表的なのが「We Are Free EP」の7曲目に収められているRich Boys。ファンシーな車に乗ったお金持ちのボンボンが、酔っ払った女の子によって散々な目に合わせられるという内容。めちゃくちゃ笑えるから、各自で和訳することをお勧めするよ。下品すぎて、ここには書けない。笑

 

色々とバンド名を挙げて説明した訳だけど、一言で彼女たちを言い表すとしたら「Phil SpectorにプロデュースされたThe Shaggs」というのが僕の感想。The Shaggsというバンドは一般的に演奏のヘタクソさでよく知られているが(wikiには世界最悪のロックンロールバンドと書かれている笑)、その音楽からは「下手でもやりたいことをやる!私たちは音楽が好きで好きで仕方ないの!」という熱い想いがひしひしと伝わってくる。

動画を見てもらえば分かると思うけど、とにかくキュート。他のどのバンドにも取って代わることができないスペシャルな存在だ。

 

そもそも西海岸のUSインディーバンドの多くは、少なからず演奏面で雑なところがある。録音技術も含めて良い意味でラフだ。そんな彼らの演奏は、愛を込めて「ヘタウマ」と呼ばれたりするが、前述の通り「We Are Free EP」のThe Aquadollsの演奏は、ヘタウマと言うにはあまりにヘタクソだ。
 
でも、例えばさ、あなたは友だちや恋人の短所をラブリーだと思ったことはない?もしくは、自分の嫌いな部分を人から褒められた経験ってない?

そう、ウィークポイントなんてものは、少しの考え方、視点の違いで簡単にチャームポイントになり得る。繰り返しになるが、彼女たちの演奏力の低さ、言い換えると、下手でも表現することを恐れない勇気やポジティブな態度は、僕の目にはとても魅力的に映った。The ShaggsやThe Aquadollsの素晴らしい点は、僕たちに「これならおれでもバンドを始められるかも!」と思わせてくれるところだ。
 
また、演奏力の低さをカバーして余りある、優れたソングライティングもThe Aquadollsの強みだ。6曲目のMaybeという曲なんて、Pete DohertyのSheepskin Tearawayみたいで最高にかっこいい。メリッサの作曲能力のポテンシャルの高さを示す1曲である。



そして先月に発表された新しい音源「Stoked On You EP」では、The Aquadollsがいよいよすごいことになっている(今のところ、このEPはBandcampでしか買うことができない)。

まず、何と言っても演奏が格段に上達した。The Shaggsみたいだった演奏は、抑えるところを抑えた正統的なロックンロールバンドのそれ、つまりヘタウマに進化している。またメリッサのソングライティングも、フックを残しつつ全体的に洗練されたような、非の打ち所がないものになった。「We Are Free EP」から「Stoked On You EP」まで、1年にも満たない期間でよくこれだけ成長したなと思うと感慨深い。僕も負けていられないという気持ちにさせられる。ぜひとも、Bandcampにある彼女たちのページから聴いて比べてみてほしい。
 
最後に「Stoked On You EP」の個人的なハイライトを貼って、レコメンドを終わりにしたい。次にThe Aquadollsについて書く時が「Stoked On You EP」か、もしくはまだ見ぬフルアルバムのフィジカル化を記念したものになることを願って。



P.S. TwitterやFacebookをやってる人は、良かったらThe Aquadollsで検索してみて下さい。アカウントはメリッサ自身がやっているもので、結構本人からリプライきます。日本にもThe Aquadollsのファンがいるって知ったら、きっと彼女たち喜ぶと思うので。よろしくお願いします。


ミノウラショウタ

Web
https://twitter.com/Minononononono3

BIO
板橋区在住の大学生。アルバイトが夜勤帯のせいで、いつも具合の悪そうな顔をしていますが、割りと元気です。カロリーはグリーンラベルで取る主義。特技は徹夜。友だちと組んだバンドの名前を東洋リバティーンズにしてしまうくらい、The Libertinesが大好きです。