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Asobi Seksu 「Fluorescence」

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Asobi Seksu -LINK-

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古溪一道─2011.2.17─

 今回レコメンドさせてもらいたいのはAsobi Seksuというユニットです。バイオグラフィは日本公式HPにあります。まずはMVを。

 

Trails

 

 

Transparence


 

Me & Mary

 

 

 1曲目は最新作の『Fluorescence』から、23曲目は前作『Hush』から曲です。myspaceではリミックスや過去の曲も聴くことが出来ます。

 

先に挙げたバイオグラフィーにも公式HPのトップ画面にも「ドリーム・ポップ」という言葉があるように、浮遊感があって夢見心地にさせてくれるような音楽です。ドリーミーなサウンドと聞くといろんな解釈が出来ますが、僕自身は様々な音が色のレイヤーになって幾重にも重なっていって、聴く側の頭の中を見たことがないような世界に塗り替えてくれる音楽、想像力を拡げてくれるような音楽だと捉えています。そういった意味では、先日ライヴを観ながら感じたんですが、Ogre You Assholeのようなバンドにもその言葉は当てはまるのではないかと思います。

 Asobi Seksuの新作でもうひとつ注目して欲しいのはそのアートワークです。デザインはVaughan Oliverという人物が手がけています。このデザイナー、Joy DivisionNew Orderのジャケット等、Factoryレーベルの多くを手がけてきたPeter Saville(最近はサッカー・イングランド代表のユニフォームもデザインしてましたね)と並んで、英国インディ・ミュージックに大きな影響を与えてきたデザイン界の重鎮です。

 

 Vaughan Oliverの代表的な作品を数点挙げておきます(作品集はこちら)。


Cocteau TwinsTreasure

 

This mortal CoilIt'll End in Tears

 

His Name Is AliveLivonia

 

The PixiesSurfer Rosa
(個人的にはこのジャケが好きですが、Asobi Seksuのジャケにテイストが近いのはDeath to The Pixiesのほうかも)

 

 The BreedersLast Splash

 

 LushGala

 

 BellyKing

 

 ここに挙げた作品はすべて4ADという英国のレーベルのものばかりです。この4ADというのもAsobi Seksuの音楽を楽しむためのキーワードのひとつです。Cocteau TwinsLushといった、Asobi Seksuを聴くとすぐに頭に思い浮かべるようなアーティスト以外にも、This Mortal CoilBauhausDead Can Danceといった、ゴシック、耽美、退廃的という形容詞が似合うアーティストたちや、The Pixies(余談ですが、このバンドのTシャツを着ていると反応してくるミュージシャンはかなり多いです。最近ではねごとが「いいですね!」と言ってくれました)、Throwing MusesBellyといったグランジ/オルタナティヴの先駆者となったようなUSインディのバンドたちの作品をリリースしてきたレーベルです。8090年代に思春期を送った者にとっては、その作品群にーー恐ろしく暗いけれど、Vaughan Oliverのアートワークも含めて圧倒的に美しいその世界に憧れと畏敬の念を抱き、暴力的でありつつも繊細なギター・サウンドに熱狂しながら、悶々と膝を抱えて眠れない幾つもの夜を救われてきたのです。


 4ADのセンスの良さは、現在の所属アーティストであるDeerhunterIron&WineTwin ShadowBlonde RedheadThe National等々といったラインナップにも見て取れます。30年以上に渡って良いアーティスト良い音楽を生み出し続け、「ここ所属のアーティストなら間違いない!」と思わせてくれるレーベルの代表的な存在です。

 

Asobi Seksuに大きな影響を与えてきた4ADのアーティストの多くは、夜が似合う、夜に聴きたくなる音楽が多いのですが、Asobi Seksuの持つキラキラ感は昼間聴いても気持ちよいし、聴く時間帯を選ばない音楽だとも思います。シンガーが日本人ということもあって、日本盤には日本語詞ヴァージョンも収録されてるので馴染み易いかも。

 

と、ここまで書いておきながらAsobi Seksu自体は4ADのアーティストではないというオチ(?)もあるのですが、彼女らの音を聴いてみて気に入ったとしたら、彼女らに影響を与えてきたアーティストやレーベル、そこに強く結びついているデザインやアートワークそういう視点を持って遡っていくのも楽しいと思います。そうやってディグっていくと、Asobi Seksuそのものの音楽もより楽しめるようになりますよ。

古溪一道

Web
http://kazumichikokei.tumblr.com/

BIO
主に音楽関係の写真を撮っているフォトグラファーをやっています。音楽と同じくらいフットボールも大好きです。Twitterアカウントはhttp://twitter.com/k_kokeiです。