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INTERVIEW

2024年 ベストアルバム

2024年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。

(2024.12.25)

The Best Albums of 2024

井上 陽介
(Subtle Control)

ノスタルジア、超越をモチーフにしたさまざまな作品に触れた。
歴史的な視点で過去を現代や未来へと結びつけて語ることは、文脈を楽しむ手法として真っ当に面白く、魅力的である。
しかしそれだけでよいのだろうか?という問いも生まれ、あちらこちらへと彷徨うけれど、これといったものはなかなか見つからない。
身体が反応した曲は「Morning Star」というタイトルで、Emily D’angeloの素晴らしい歌声がピアノと共に美しいメロディを紡ぐ。
作曲家はW. C Handy、作曲された時期は不明だが、1958年にDavid Mackが映画「St. Louis Blues」のために詩を書いた。
Handyの秘書の机の上にあった楽譜を、プロデューサーのロバート・スミスが見つけたことが取り上げるきっかけだそうだ。
テーマは愛の眼差しで、讃美歌のようにも感じる。
古典的な曲に惹かれることがノスタルジアの夢から醒めきれない証明のようにも思えるし、このリストにもそういった面が多分に含まれている。
ノスタルジアに近いようで遠い、身体や含蓄のあるアイデアによる瞬発力を持った、いくつかの感動的な演奏を見ることが出来た。
これらにはユーモアが溢れていて、ディープ・ランニング的な頭でっかちの印象はなく、上澄みをすくったポーズでもない、天然性の不思議な体験を与えてくれる可能性のように思える。
しかし、それらも万人に効果はなく、効く人にだけ効果があるような部族的なモノのはずだ。
だからこそ、世界の外側への気づきになるような表現がより増えることを切望する。
社会が沈めば人は輝くことを信じて、ニューラル・ネットワークとは別のところからやってくる面白さに期待したい。

井上 陽介
(Subtle Control)
Subtle Control 井上 陽介
WEB
BIO

2011年からソロ名義”Subtle Control”として、音源制作、ライブ活動を展開。
演奏、録音、ミキシングなどを行う。
2013年1stアルバム『SUBTLE CONTROL VOL.01』を、2016年2ndアルバム『SUBTLE CONTROL VOL.02』を発表。
2021年に『NEOW』をデジタルリリース。2022、2023年には、立体音響を駆使した楽曲『Common Sense』をリリース。
ソロ活動の他に、2015年から岩城一彦とPeg & Awl を結成し、3枚のアルバムを発表。戦前のトラディショナル・ソングやフォーク、ジャズ、カントリーなどのアメリカ音楽を演奏する。
また、地元である京都にて結成されたバンド Turntable Filmsの作詞、作曲、プロデュース、ボーカル、ギターを務め、多数の作品を発表している。
その他、他アーティストの演奏、編曲、録音、プロデュース、楽曲提供を行うなど精力的に活動の幅を広げている。

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