INTERVIEW
2018年ベストアルバム
2018年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。
DJ KiM
Post Malone
iridescence
Various Artists
Nine Inch Nails
Deafheaven
Travis Scott
Lil Peep
Juice WRLD
『ruiner』- nothing, nowhere
近年ブームとなっているエモ/オルタナラップ、その中でも異彩を放つアーティストのアルバム。少し前のエモ/ロックを主体としつつもエモラップとしてのサウンドを確立していて、ヒップホップという視野を新しく広げたような感覚。
『Beerbongs & Bentleys』- Post Malone
フジロックでの素晴らしいパフォーマンスも記憶に新しいですね。彼の90年代オルタナロックへの愛が、現代のヒップホップのサウンドに完全侵食。「ジャンルの壁を越える」と本人が語っていたように、ヒップホップかポップなのかはたまたロックなのかという説明もジャンル分けも不要。
『iridescence』- BROCKHAMPTON
ヒップホップ広告代理店的集団というキャッチフレーズがしっくりくる、大所帯クルー/ボーイバンド。前作群に比べてキラーチューンこそ薄まったものの、サウンド面ではネクストレベルへの実験的な段階がちらほら見えたり(かと言って難解な曲はありませんし)、個々のスキルフルなマイクリレーはやはり痺れます。”SAN MARCOS”は今年のマイベストアンセム。
『Black Panther : The Album Music From And Inspired By』- Various Artists
フジロックに嵐を呼んだKendrick Lamar総監修による、映画『ブラック・パンサー』サウンドトラック。今の無双状態のKendrickだからこそ招聘出来たであろう豪華なラインナップのゲスト陣、によって繰り出されるキラートラックの数々。もはやサントラの枠に収まらない、まさに現行USヒップホップシーンにおけるリアルアベンジャーズ。
『Bad Witch』- Nine Inch Nails
ソニマニ/サマソニにて久々に降臨したNine Inch Nailsの最新アルバムにして、近年リリースされていた三部作の最終作。爆発力全開なインダストリアルサウンドな曲群、サタニックジャズ風、そして悪夢のようなダークアンビエントな曲までが僅か6曲に叩き込められたエクストリームすぎるアルバム。ライブもそうでしたが、2018年においても唯一無二。
『To Live Is To Die, To Die Is To Live』- PALM
関西のアンダーグラウンドから世界へと切り開いてきたハードコアバンドの、6年ぶり待望のニューアルバム。ハードコアもグラインドもデスメタルもストーナーもスラッジも、すべてが一体となって迫り来るカオティックな衝撃と生々しいサウンド。さらに怒り、迷いや自問自答までもを込めたシンプルな日本語詞が突き刺さる、アートワークも含め異形の芸術作品。
『Ordinary Corrupt Human Love』- Deafheaven
破壊衝動と静寂が絶妙な計算と比率である、というのがポストメタルにおいては結構重要なんですが、Deafheavenはその点においてとても信頼できるバンドです。今作はメタル回帰に向かった前作とは方向転換し、静寂パートの美しい時間が長く、実験的な要素も加わっています。10分超えの長尺曲が半分くらいありますが、その中間地点で、闇を切り裂くかごとく視界がパッと開ける瞬間のカタルシスたるや。メンバー曰く「自分達が退屈しない音楽を作ることが最も重要」とのこと。
『ASTROWORLD』- Travis Scott
彼の地元ヒューストンに実在したが現存はしていない遊園地がタイトルの元ネタ。それを架空の遊園地としてコンセプト/企画し、多方面から様々なプロデューサー/ゲストが参加し、ラッパーというよりキュレーターとしての資質が活かされたアルバム。ビートチェンジ、オートチューン、サンプリング、地元の先達へのリスペクトやシークレットゲストとして位置付けされた豪華なゲスト陣。アルバムをプレイしなければ遊びには行けない、様々なアトラクションが詰まった、とっ散らかってるけど間違いなくTravis Scottがプロデューサーの遊園地。
『Come Over When You’re Sober, Pt. 2』- Lil Peep
惜しくも昨年急逝してしまった、エモラップの先駆け/カリスマ・Lil Peepの急逝直後から噂されていた遺作。Lil Peep印のエモトラップ感もさることながら、まるでエモロックバンドのアルバムのオープニングかの如く幕を開けると本作。その他の曲でも、イントロのギターに合わせての歌い出しなんかは完全にロックバンドのそれだし、生前体現していたエモトラップとロックとヒップホップのクロスオーヴァーを更に一個上のレベルで表現しています。これから先も彼の新たな曲を聴けないのが本当に惜しい。RIP。
『Goodbye & Good Riddance』- Juice WRLD
Stingの”Shape of My Heart”を大胆にサンプリングした”Lucid Dreams”が話題になった新世代ラッパー。エモトラップの影響も確実にありますが、ビートアプローチが少し前のめりだったり、リリックのテーマも恋愛を主とした青いセンチメンタルなものが多いのが特徴。ドラッグや自殺も恋愛に敗れた結果、比喩的であり精神的なものとして書かれています。しかもまだ19歳、Stingの”Shape of My Heart”も曲を書く直前まで知らなかったそうな。
DJ KiM
BIO
大阪生まれ、大阪育ちのDJ。2014年にDJ SEOと出会い、彼が主宰するGROOVER/ALTER-NITEに加入。2016年からは田中宗一郎が主宰するCLUB SNOOZER OSAKAのサポートも務める。2017年には同世代の仲間とGEEKS AND FREAKSを結成、これまでに3回同イベントを開催。2018年1月には、NAHAVANDと共に初主催のオールナイトパーティ"Vandalism"を開催。ゲストに小林祐介(THE NOVEMBERS)を招聘した。2018年7月にはOlive Oil(OILWORKS)、環ROYをゲストを迎えた第2回を開催。同年11月よりNAHAVANDのバックDJとしてサポートメンバーに。
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