INTERVIEW
2013年ベストアルバム
2013年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。
スズキ エミリ が選ぶ2013年 ベストアルバム
Phoenix
jizue
Beach Fossils
the chef cooks me
Alfred Beach Sandal
1、 CHVRCHES/Bones of What You Belueve
2013年に出会ったなかでは最も“キラキラ”を感じ、年の後半、本当にハマったバンドでした。80年代の懐かしさと2010年代のドライな感じが絶妙なバランスでミックスされ、めちゃくちゃポップに仕上がったサウンド。おまけにボーカル女子・ローレンのルックスが抜群にキュート(でもつんけんしてない感じがまたナイス)。こういうのは、イギリス本国の街中を歩いている時とか、あるいはヨーロッパ行きの高度グイグイ上がった飛行機のなかで機内放送とかで出会えたらさらに最高だったな、なんて思いつつ毎日のように、代表曲『Gun」』を聴いていました。2014年もHostess Club Weekenderでまた来日されるそうなので、今度こそは見逃したくないです。さらに人気が出てほしいという願いを込めて。
2、 BOY/Mutual Friends
スイスとドイツからやってきた女子デュオの1st。2013年前半はこのクリーンでピュアなサウンドにメロメロで、朝一番によく聴いていました。ボーカルのヴァレスカの落ち着いた低めの声(日本人の女性だとあまりこのくらいの声の高さのポップソングの歌い手がいない気がするのです)と、職人肌っぽさを感じさせるベースのソーニャ。ふたりが揃ったときの見目の麗しさにも惹かれてインストアライブでサインまでしっかりもらって。笑 「Hope to see you again at some Japanese rock festival in the next year」と伝えたら「Sure!!」と言ってくれていたけど、さて2014年の夏フェスどこかで会えるでしょうか? 期待しています。
3、 Monsieur Periné /HECHO A MANO
ロマの音楽が大好きなんですが、これまで自分が聴いてきたものはバルカン半島のものが中心でした。でも2013年に出会ったこのバンド(ていうか楽団?)は、なんと南米コロンビア出身だというので本当に驚きまして。そもそもYoutubeで初めてMVを観た時にはボーカルの紅一点、カタリーナのオシャレさも兼ね備えた明るい実力ボーカリストっぷりに衝撃を受けました。マヌーシュ・スウィングの祖、ジャンゴ・ラインハルトが今の時代に生きて彼らを聴いたらなんて言うだろうなあ。日本でいえば中納良恵さんとか好きな方に、そして近ごろだとZAZが好きな方なんかにも絶対に聴いていただきたい一枚です。
4、 Predawn/A Golden Wheel
はじめて彼女のライブを観たのは確か3年前のフジロックフェスティバルの木道亭。以来魅了され続けてきたPredawnがついに1stフルアルバムを届けてくれた2013年は本当に嬉しい年でした。アメリカのカントリー音楽を昇華して、音はシンプルながらも完璧なまでに構築された独自ワールドへと導いてくれる彼女。本当はフィオナ・アップルのようにリアリストなのだろうけれど音はとてもドリーミー。夜、眠る前に聴くと絵本のような不思議な夢を見れそうな気分になる、現実と夢の狭間を行き来するのにぴったりな一枚。
5、 Masayoshi Fujita/Stories
もともとヴィブラフォンという楽器の音色が大好きなのですが、そこまでジャズなどに明るくないがゆえに、ミルト・ジャクソンの昔の音源を聴いてばかりいました。けれど2013年はこの方の作品に出会うことができて、ヴィブラフォンの印象がまたアップデートされて嬉しい限り。日本人ですが普段はヨーロッパを活動拠点にされているアーティストというエピソードをふまえると、聴いているだけでヨーロッパの冬の森の動物や自然を思い浮かべることができてしまう秋冬に聴きたい名盤だと思います。
6、 Phoenix/Bunkrupt!
『Entertainment』のMV(http://youtu.be/tBsRvthVhdw)でまず衝撃を受け、いやはや、Phoenix健在!と嬉しくなりました。みんな大好きPhoenixはいつでもおしゃれにポップのその先をゆく。リリース後はワールドツアーに出るものの日本の日程は発表されず、いつになったら日本に来てくれるんだろ…とやきもきしながら『Bunkrupt!』を聴きこんでまいりましたが、いよいよ2014年、来日です…!そして2014年はサマーソニックでも来日してくれると!嬉しい悲鳴!来日に際しなんとBunkrupt!“最強盤”というものが出ているようなのでそちらにリンクをしておきます。
7、 jizue/journal
京都のインストゥルメンタル・バンドjizue(ジズー)の3rdアルバム。とにもかくにも、2曲目『rosso』にjizueの現在形が詰め込まれています。情熱!!ピアノの片木嬢の強さがまたよい。そして『life feat. YeYe』では同じく京都を拠点として活動するYeYeをボーカルに迎え、これからが楽しみな展開も。ジャズを主軸としながらも、ロック好きがほとんどハードルを感じずに聴く…どころかライブで大盛り上がりできるjizueの音。2014年の各種音楽フェスなどでも彼らがさらに話題となってくれることを願ってやみません。
8、 Beach Fossils/Clash the Truth
2013年の夏頃だったでしょうか、このなかに収録されている『Daydream』をレコード店の店頭でたまたま聴きあまりにグッときてその場で試聴もせず購入してしまったのでした。ニューヨーク、ブルックリンのシューゲイズ・バンド、BeachFossils。なるほど、Wild Nothingsと同じレーベルだそうで、どうりでかっこいいわけです。The Drumsなどが流行して久しいですが、やっぱりこういう隙間スッカスカな肩の力が抜けてしまうような浮遊感と青さのあるインディ・ロックが大好きです。ブルックリン出身てとこがまたニクすぎる。オシャレでズルいです。
9、 the chef cooks me/回転体
2013年はシェフのライブを観るたびに感動していました。じつは10年前のデモからシェフの音はずっと聴いてきていましたが、この『回転体』を聴いたときに感じた“ひとつ向こう側へと突き抜けた感”は相当なものでした。アルバムには“楽団”感が溢れていて、やっとシモリョー氏が幸せな扉を開けた、という気がしたんです。楽曲のアレンジもさることながら、ボーカルの深みが出ているのが最高です。安心してすべてを放っていく準備が整った感のあるthe chef cooks meのこれからに幸あれ!2014年のライブツアーも楽しみです。
10、 Alfred Beach Sandal/Dead Montano
音楽好きの若き友人たちがこぞって「好き!」と口にするのを聞いて知り、12月に出たこちらを購入してみたところ、かなりクセになってしまいました。かつて自分が高校生とか大学生の頃とかにヌーヴェル・ヴァーグの映画を観て、言葉では説明できないけれど「やっぱりかっこいい!」と感じ、がんばってそれを理解しようとして他にもいろいろな映画を観たり、関連の書籍を読み漁ってみたりした時と同じような「なんだこれ!」的な感動がありました。ABSの素(もと)となった音楽を辿ってみたくなる、といいましょうか。ポップなのだけどとても複雑怪奇。cero やシャムキャッツなどと並べて語られることが多いABSですが、個人的に最も“自由”を感じられるのは彼の音です。未体験の方、ぜひ。
個人的に、美しくて、素晴らしい音楽まで奏でてしまう魅力的な女性陣にメロメロな1年でした。そういう意味ではもちろんHAIMも入れたかったのですが、10枚に絞るとなるとやはりこれら、ですね。THE BED ROOM TAPE、ブルーミャーク、Sigur Rósなども新譜が素晴らしくて……なんて、こうして辿っていくと、じつは“ロックバンド!!”という感じの跳ねているものを全然聴いていない昨今の自分に驚きます。ロック好きのはずなんだけれども。。
サブスクリプションサービスなども始まった2013年。まずはインターネットで世界のあらゆる場所から届けられてくる素晴らしい音楽たちをボーダーなんて感じずにたくさん体験してみて、そこからいろいろと辿ってフィジカルを買いにいったり、ライブに行ったりできる。今って音楽好きにはいい時代だなあ、と思った一年でした。『THE FUTURE TIMES』で編集をさせていただいているご縁でOIDの2014年ベストに参加させていただき、感謝しています!2014年も国とかジャンルとか関係なく聴き漁りたいと思っています。
スズキ エミリ
WEB
http://blog.livedoor.jp/emirisuzuki0824/
BIO
大好きな音楽や雑誌などの未来について、日々思案。メジャー・インディー/国内外問わず、素晴らしき出版物やウエブコンテンツ、音楽やアートが世に広く届くように願いながら、今日も新しい動きに食指を動かし、感情たっぷりに発信中。
Twitter:@emr_81
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