INTERVIEW
2013年ベストアルバム
2013年、今年リリースされたアルバムを中心にアーティストや音楽関係者にベストアルバムを選んでいただきました。
加倉伸也(OLIVER PEOPLES JAPAN) が選ぶ2013年 ベストアルバム
Wavves
Pleatures
Prefab Sprout
Where You Stand
The Strokes
Elvis Costello & the Roots
DAFTPUNK
水中図鑑
曽我部恵一
僭越ながら、縁あってこちらにベスト10を挙げさせていただくことになりました。よろしくお願いします。
今年は音楽愛好者にとって事件が多かったように思います。
特に自分に衝撃だったのはPrefab Sproutの復活の新譜とLOU REEDの死。
特にLOU REEDは高校生のころからのアイドルであったため、しばらくは死を受け入れられませんでした。
自分にとっては記憶に残る1年となりそうです。
1年を通して振り返ってみると、昨年以上にレコード屋に通った年でしたが意外に新譜のCDは少なく、
おもにアナログを新譜・旧譜問わず買った年でもありました。
買ったCDも過去の何周年記念とかDELUX EDITIONというものが多かったように思います。
また、マイブームとしては『NEW WAVE』がキーワードで、PUNK以降のPOST PUNKを多く聞いていました。PILやThe Pop Group、MAXIMUM JOY
からの流れでDUBも聞きはじめ、訳もわからずAMAZONでDUBのレコードを買いまくったりしてました(笑)
そんな中で以下のリストは、2013年に出た新譜に絞って、よく聞いた10枚を挙げさせていただきました。
順位は順不同です。
Dr.dog 『B-Room』
フィラデルフィアの6人組の8枚目。これ以前のアルバムは知らないのですが、個人的には今年ライブに行ったWILCOの近年の音に近い肌触りの音だと思います。音の基本にはカントリーやフォークなどのトラッドがあるのですが、要所要所でおかしな音が鳴っていて、スパイスとしてのローファイ感が何とも言えない良い塩梅です。
中でもDUBぽさを出したベース歪みまくりの曲やRAPする曲など雑食さが最大限に生かされた曲などに魅力を感じました。
Wavves 『Afraid of Heights』
このグループのことも良くは知らなかったのですが、結構前作がヒットしたようですね。
自分はBest Coastとのスプリットシングルで知りました。
ガレージパンク風のバンドながらアレンジやコーラスが凝っており、
尚且つ90'のグランジ色もあり懐かしくもあります。
またとにかくメロディが良く、テンポも良いので通勤の電車の中でよく聞いた1枚です。
ふざけているようで実は音楽オタクを感じさせ、繊細なように見せながらルックスは他のLAのバンドと比べオシャレからはほど遠いもので(笑)、
ちょっとつかみどころのないそんなところにも好感を持てます。
Pleatures 『Is This How You Feel』
オーストラリア出身のニューバンドのようです。オーストラリアのミュージックシーンはあまり情報がなくCDの流通もよくないのですが、
個人的には2年前ぐらいから注目していて、Royal HeadaheやTame Impala(1stの方が好きです)、Pond、Bearhug、
Gypsy & The Catなど主にサイケやガレージに寄った良質なバンドが多い様に思います。
そんな中、このバンドはちょっと異質で、80'色のする少しいなたい男女ツインボーカルの5人組。
所謂いま流行のフレンチエレクトロ風ですがタイトル曲を聴いてノックアウトされてしまいました。
とにかくカッコ良くセンスがいい。”Manic Baby”のPVをみると確信犯的な気もします。
来年ブレイクしそうな要注目なバンドです。
Prefab Sprout 『Crimson/Red』
実に待った4年ぶりのアルバム。決して多作なアーティストではないが、近年病に苦しんでる様でこうして新譜が出たことが嬉しかったです。
内容は今回も一人ですべての楽器を演奏していて若干チープ感はありますが、それを上回るパディ節全回のメロディは健在。
アコースティックギターとハーモニカの使い方が効果的でネオアコ世代の自分にはには堪らない音でした。
自分にとって、いつも変わらず心地よい音楽を聞かせてくれる唯一無二のアーティストといえます。
Travis 『Where You Stand』
久しぶりのアルバム。1曲目を聞いたとき、あれ?ちょっと雰囲気変わったかな、ちょっとバンドぽく無くなったかなと思いきや、2曲目に入り
それは払拭され最後までTRAVIS節満載でいっきに聞けてしまいました。
美しいメロディーと時折見せるフック、穏やかでメランコリックなアレンジ、そのどれもが心地よさを与えてくれるアルバムです。
自分は日本盤を買ったのですが、一番最後のボーナストラック”Ferris Wheel”が実はかなり良い曲で、製作者の意図と違うかと思うのですが
この曲を最後に聞くと、通常の終わり方より何度か上を向くことが出来る様な気持ちになり、日本盤がおススメです。
The Strokes 『Comedown Machine』
自分にとってSTROKESは1stでも2ndでもなく3rdが一番のツボだったのですが、これはそれを上回るBEST1。
前作の消化不良が、今回一気に解消されたようなまとまりのある内容で、
現代流に表現された'80NEW WAVE+ROCK'N'ROLLスタイルが心地よく、
現在進行形のSTROKESを明快に表現したアルバムになっていると思います。
4曲目の”Welcome To Japan”と10曲目の”Happy Ending”が特にお気に入りです。
Elvis Costello & the Roots 『Wise Up Ghost』
今年はグっとくるHIP HOPのアルバムがあまり無かったのですが、このコラボには驚きました。
しかもBLUE NOTEからのリリース!!
内容はコステロのボーカルが昔のように荒々しく、演奏はタイト。
サンプリングなどは抑え気味で、ROCK寄りのアレンジはコステロのボーカルを最大限に引き立てているように感じられました。
まあHIP HOPとROCKファンの自分にとって、好きなROCKアーティストがHIP HOPトラックをバックに歌うだけで最高なのですが。
この組み合わせのライブを是非とも見たいと思いました。
DAFTPUNK 『Random Access Memories』
最初聞いたときは??でDAFT PUNKらしさが減ったかなと思ったのですが、
気がつげは繰り返し聞いていました。
生音と打ち込みのバランスが絶妙で、病み付きになるまさに常習性のある音というのか、
見事罠にはまった感触です。
もちろん踊れる曲も多いのですが時折聞きこませる曲があるのが個人的にはツボで、
そのバランスが秀逸でした。
また今年クラブ活動(といってもオネエチャンがいない方ね)を復活させたのですが、
クラブでかかる率も高いアルバムだったと思います。
水中図鑑 『ふれるところ、ささるとげ』
このアルバムは夏によく聞いていました。バンド名に”水中”とあるだけに水中、深いプールの中で聞いているような音の質感が心地よく
また’90年代のシューゲイザーバンドに近い音もしています。
ただ昨今のシューゲイザーブームのバンドとは違い、ただノイジーなだけでなくツインギターの絡みが絶妙で、
特にタイトル曲の“ふれるところ、ささるとげ”などはPIXIESやDINOSAUR JR.などの影響も感じさせます。
GIL NORTONか、もしくはSTEVE ALBINIがプロディースした音で聴いてみたいと感じさせる、
この先期待大のバンドです。
曽我辺恵一 『超越的漫画』
ふと出かけた某レコード店で大音量で繰り返しかかっていて、そのシンプルな音とシンプルな歌詞、グルーヴに惹かれて思わず見に行ったらこのCDでした。
迷わずレコードを購入し、それ以来日々のサウンドトラックになっている1枚。
正直サニーデイサービス以降は聞いていなかったのですが、
これはまさに今聞かれるべくして生まれた音楽だと思います。
何かのインタビュー記事で、歌詞は日記の様に書いていたものがベースになっているとありましたが、
曲のところどころには日常生活に感じる違和感や
この時代だからこそのメッゼージが込められていてなんとも心に響くアルバムとなっています。
またMONO録音の音のざらつきがそれをさらに増幅していて、良い相乗効果をもたらしています。
続くシングル『汚染水』も必聴です。
その他の特筆として、ベストライブはWILCO。1stと近年のアルバムしか聞いていない状況で行ったのですが、とにかく素晴らしい内容で、
そのアーティストの曲をすべてというかほとんど知らなくても、素晴らしい曲と演奏さえあればライブは十分だということをこれでもかと思い知らされたライブでした。
もちろん帰ってからすべてのLPを買いなおしましたが(笑)
ベストリシューはThe Velvet Undergroundの『White Light/White Heat』とXTCの『NONSUCH』。
それぞれ思い出深いアルバムで一方はまだ音源が存在することに驚き、
もう一方はBLURAYの音に驚かされました。
加倉伸也(OLIVER PEOPLES JAPAN)
BIO
オリバーピープルズのアジア地区デザイン・企画担当。
OPデザインチームの一員として数々の企画・デザインを手掛ける一方、
ファッションデザイナー、ミュージシャンとのコラボレーションなども多く手掛ける。
3度の飯よりレコード好き。
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