INTERVIEW

――山本さんのこれまでの音楽遍歴は、どういう流れなんですか?
山本「たまたま家にサイモン&ガーファンクルのベスト盤があって、中学からそれをなんとなく聴いてました。中学からギターも弾いていて、学校の先生にレインボーを聴いている人がいて、その先生に"お前、ギター弾いとるんやろが、レインボーを聴け"って言われて。レインボーを聴かされて、全然これは良くないなと。でも、その先生はカッコよくて、外国の音楽を聴くことがカッコイイと教えられたんです。それからビートルズを聴き始めて、"これはイイ"と思って。それからお小遣いをもらうたびに、CD屋に行ってビートルズを買ったり、『rockin'on』を読んで載っているバンドのCDをいろいろ聴いたりしてましたね」
後藤「『rockin'on』の90年代は、本当によかった、写真もカッコよかったしね」
山本「80年代のバックナンバーも買い集めましたからね」
後藤「俺は、ノエル・ギャラガーの写真を綺麗にカッターで切って、コンビニのコピー機で拡大して、ポスターにして部屋に貼ってたよ。ピンナップのコーナーはすごい良かったから」
山本「良かったね。トム・ヨークが金髪でアトムのTシャツを着てたやつとか、すごいカッコ良かった」
――バンドはいつから始めたんですか?
山本「中学のときです。中学校3年生のときに、ライブハウスに電話して、『ライブさせてくれ』って言って」
後藤「早熟だよね」

――メンバーは?
山本「中学1年って、みんな楽器を始めるくらいの時期だったらしく、お前とお前とお前って学校の友達と一緒に組んで」
後藤「いろんなバンドに呼ばれて弾いてたんでしょ? ギター上手いからって」
山本「そうですね。学園祭では、大人気でしたね。ジミヘンを弾いたりとか」
――中学では、オリジナル曲は作ってないんですか?
山本「オリジナルはないですね」
後藤「最初にオリジナル曲を作ったのは?」
山本「The Cigavettesを始めてからだから、20歳くらいのとき」
後藤「曲を作るまでは、結構時間がかかったんだね」
山本「歌が得意じゃなくて、歌う人がずっといなかったから、自分の実力が試されるのが嫌で、ジミヘンとかバズコックスとかジャムとかばっかりやってて」
後藤「そっか、曲って歌いたい人じゃないと若い頃から作ろうってならないのか。ギタリストはそうなっちゃうんだ、面白いね、その話」
山本「MTRでインストみたいなのを2、3曲作ったけど、つまんないからそれからやってなかった」
後藤「あとは、幹宗はフロントマンなのに歌わないのも面白いよね。アー写(アーティスト写真)は、普通ボーカルのお兄ちゃんが真ん中にいそうなのに、幹宗が真ん中だもんね。ライブ来た人に、"歌わないの?"って言われたりするでしょ?」
山本「"あっ、ボーカルじゃないんだ"とか"お兄ちゃんは、こっちなんだ"って言われたりしますね」
後藤「ギタリストが出てきてインタビュー受けるのも、あんまり他にないしね」
――新作のインタビューでは、「曲作りに困ることはない」なんて発言もしていましたけど。
後藤「久々に登場したビッグマウスだよね、幹宗は(笑)」
山本「(笑)。いや、困んないですよ」
後藤「俺は、こういうビッグマウスは嫌いじゃないけどね(笑)。でも、この世代の人たちは音楽の偏差値みたいなのが高いと思うんだけど、どこに向けているのかがよくわからない部分はあるんだよね」
山本「そうですかね? 俺は結構、自分の音楽は広角な方だと思っているんですよ。どこにでもひっかかるはずって」

後藤「あとは詞についての考え方は、自分とは違うと思って下の世代を見ているんだよね。俺は日本語で曲を作っているんだけど、俺らより下の世代のThe Cigavettes、THE BAWDIESとかThe Telephonesとか英語で歌うバンドが多くて。彼らがどうして英語で歌っているかってところに、すごく興味があって。自分たちもバンドを始めた頃は英語で歌っていたから、わかる部分もあるけど、わからないこともあって。日本語で詞を書きながら、今になって思うこともあるし、どういう風に考えて曲を作っているんだろうって興味はあるよ」
山本「同じ世代で英詞で歌っているからと言って、特にシンパシーはなく。詞はうちのアニキが書いてるからね。お兄ちゃんは、モリッシー的だから」
後藤「俺とかは、ある種の現代性っていうかリアルに片足を置いてないと気がすまないんだけど、そういうのとは描いているところが違うんだよね。"いやBoy Meets Girlでしょ"みたいなロマンティックなところが、俺にはほとんどないから。今みたいにモリッシーって言葉も出てくるように、詞の書き方とかも意味合いとかも含め洋楽とかを参照しているけど、俺は、それをしていない。それは、面白いなって思って。幹宗と初めて飲んだときに、お兄ちゃんの歌詞のどこがいいって話をしてくれたから、その話をしたほうがいいんじゃない? 英詞でやっているバンドが、どう思ってやっているのかっていう歌詞の話はあんまりインタビューで出てこないしね」
山本「結構、取材で歌詞の話はしてるんですけど、あんまり載らないですね」
後藤「そうだよね。イギリスがどう、アメリカがどうっていうサウンドの話が多いもんね。でも俺は、歌詞の話は切り口として面白いと思うんだよね」
山本「歌詞は、本当に読んでほしいんですよね。お兄ちゃんの歌詞は面白いんで」
――歌詞は、お兄さんに一任しているんですか?
山本「そうです。歌う人が書いたほうがいいと思って」
後藤「新作の中で、いちばん気に入っている一節はどこなの?」
山本「7曲目の『My Girl』の"ねえ君は狂ってるの? 『私のことを歌ってよ』だなんてさ"っていうのが、いいじゃないですかね。おそらく、言われたんじゃないですかね(笑)。ここがキラーだと思いますね」
後藤「英語の歌詞の脇に、和訳が付いているのが不思議。それは、The Cigavettesに限らないんだけど、内容をわかってほしいっていうのがね。だったら、日本語で歌ったらいいじゃんっていう突っ込みは無粋なんだけどね。それとこれとは話が別だと思うし」
山本「英詞の隣に日本語詞は絶対載せたくて。自分が、ずっとそうやって歌詞カードを見ながら聴いていたんで」
後藤「それが原体験っていうのは、大きいかもね。俺は、詞がついてないCDを買ってたから、海外のアーティストの歌詞を気にし始めたのは、ここ何年かだよ。ビートルズだったら、詞も見てたけどさ。和訳は、幹宗がしているの?」

山本「俺とお兄ちゃんで、それなりの感じになるように。英詞と和訳を隣に並べているのは、英詞を見て言葉のリズムを感じながら、すぐ意味がわかるようにしたかったんですよ。俺は、そういう聴き方をしていたんで。英詞で書いている日本のバンドでリズムが悪い歌も多くて、俺たちはそうならないように乗せ方を勉強して作ってるんです」
後藤「The Cigavettesは、ちゃんと韻を踏んでいるよね」
山本「でも、踏み過ぎず崩れるようにしてますね。自然を装ってますけど、すごい頑張って作ってるんです」
後藤「それ、すごいわかるな。洋楽がルーツにあると韻を踏むっていうのは、意識するよね。ヒップホップみたいにガチガチじゃないけど、ちゃんと韻を踏みたいなっていうのはあるよね。それは、ノエル・ギャラガーの言葉"詞は韻を踏むもんだ"っていうのを受けてなんだけど」
山本「俺もそうです。『Some Might Say』の"Itchin' in the kitchen"とか(笑)。素晴らしいですよね。意味はあんまりないなって思ったけど(笑)」
後藤「ノエルは、すごく韻を踏むからね。オアシスの最初のころの歌詞は言葉遊びで、本人は意味なんてないよって言ってるんだよね。でも、大きな意味では希望を持つような言葉を選んでると思うんだよね。ディティールに関しては、言葉を選ぶときにサウンド的にいい言葉を選んでるんだよ。でも、無意味かって言ったらそうじゃないっていうのが、作詞の面白いところで。言葉自体に意味があるから、無意味ってことはない。それは、オアシスから勉強したよね。The Cigavettesもそういう感じがするよね。文学性がないわけじゃくて、気にしているように感じる」
山本「気にしてますよ。昔、買ったジミヘンのCDに歌詞カードが付いてなくて、歌詞を読みたくてジミヘンのスコア買いましたもん」
後藤「全体的な内容がどうとかじゃなくて、センテンスでクールとかクールじゃないとかを見ている気がするけどね。さっきの"ここのフレーズがいいですよ"とか言う幹宗の話を聞くと。俺よりはサウンド寄りのところから詞を見ているし。あとは、どういう風に自分たちの音楽を聴いてほしいと思ってるの? J-POP好きの人にも届かせたいとは思っているの?」
山本「なんとなく。ベイシティローラーズのように」
――そういう意味では、今度の出演される「NANO-MUGEN CIRCUIT 2012」は、ひとつのきっかけになるかもしれないですね。アジカンを目当てに来たお客さんも、ダイレクトにいい音楽には反応してくれる人たちだと思うので。

後藤「本当にそうだと思います。特にここ何年かは『NANO-MUGEN FES.』を続けてきた成果もあって。The Cigavettesっていいバンドだなって知ってもらうきっかけになったら、いいなと思いますね。いい音楽が世に広がっていくのは、リスナーとしての自分にとってもプラスだし、ミュージシャンとしてもプラスだしね。何年か経ってThe Cigavettesとフェスのトリを取り合えるくらいになったらいいですね」
山本「俺たちの音楽を聴いてほしいし、CDも買ってもらえるようないいライブをしたいですね」
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The Cigavettes
2005年4月、福岡にて山本幹宗(g&cho/ 弟)と山本政幸(vo / 兄)の兄弟を中心に結成。メンバーは、小田淳之介(g&cho)、篠崎光徳(b&cho)、戸高亮太(ds&cho)。2007年にミニ・アルバム『taste of the sun』でデビュー。2008年には「CLUB SNOOZER」福岡公演にレギュラー出演しながら、6月に自主レーベルより『Out Of The Race EP』をリリース。2009年9月にはUKロックの祭典「BRITISH ANTHEMS」に出演。同年、山本幹宗はくるりの全国ツアー「くるりワンマンツアー2009 〜敦煌(ドンファン)〜」にサポートギタリストとして参加し、話題を集める。2011年に上京、同年4月に1stアルバム『The Cigavettes』を発表。2012年4月、2ndアルバム『We Rolled Again』をリリース。同作を携えたツアーのファイナルで、7月12日(木)に渋谷O-WESTに登場する。 ・The Cigavettes OFFICIAL SITE |
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The Cigavettes
2ndアルバム『We Rolled Again』![]() 発売中!! / FABC-110 / ¥2,400(tax in) / FABTONE RECORDS |

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