INTERVIEW
'11年7月にリリースした初のフル・アルバム『ライジング』も好評のDr.DOWNER。そんなDr.DOWNERのメンバーのルーツを辿るシリーズ・インタビューを今月からお届けします。第一回目は、ボーカル&ギターの猪股ヨウスケが登場。"10代で1番聴いた1枚"、 "ロックに目覚めた1枚"、"バンドを始めるきっかけの1枚"、"今、自分の中で熱い1枚" というお題のもと、猪股が選んできた作品を通して、彼の音楽遍歴を紹介します。
(取材・文/撮影:only in dreams編集部)
――今日は、猪股くんの音楽遍歴に迫ってみようという企画です。生まれた育った環境が、影響してくることもあるかと思うのですが、出身は神奈川ですよね?
猪股「横須賀です。実家もそうだし、今住んでいるところもその近くで、ずっと横須賀で過ごしました」
――横須賀って、都会と言えば都会ですよね。
猪股「田舎って言えば田舎なんですけどね」
――CDを買いに行こうと思えば買いに行ける場所ですよね。
猪股「そうですね。田舎的な環境なんだけど、東京に出るにも1時間くらいだし。でも、住んでいるところは田舎だから、田舎的なセンスも持ち合わせつつ都会的な知識も得られる場所っていうか。横須賀とか逗子ってそういう場所なんだろうなって思ってます。横浜まで行くと都会なんだけど」
――ご兄弟はいらしゃいますか?
猪股「妹と弟がいます」
――猪股くんは、長男なんですね。お兄さんやお姉さんがいると、そこから影響も受けたりしそうですけど。
猪股「でも家にレコードがたくさんあって。昔のロックとかフォークとかアメリカのサザンロックとか。イーグルスとかジャクソン・ブラウンとかドゥービー・ブラザーズとかはっぴいえんどとか。リトル・フィートのレコードとかたくさんあって。そういうのは、自分で好んで聴いていたわけではないけど、家で自然に流れていたから聴いて育ってきて、少しは影響があるかもしれない」
――ご両親が音楽好きだったんですか?
猪股「そうです。父さんが、元々ドラムをやっていて。やっていたって言っても趣味程度なんですけど、だからレコードはたくさんあったんですよ。子どもの頃は、聴かされると"うぜぇな(笑)"って、思ってたんだけど」
――音楽の英才教育を受けていたんじゃないですか!?
猪股「そんなんじゃないですけど(笑)。中1か中2の誕生日プレゼントで、親からギターを与えられて。"楽器でも持っていれば、超暗い子どもにならないだろう"とか思ったらしく」
――ギターがあれば、脇道にそれないだろうという親御さんの願いもあって(笑)。
猪股「そうそうそう(笑)。それでギターを与えられて、その頃はミスチルとか好きだったから、そういうのを聴いてギターを弾いていました。その頃、進研ゼミのコマーシャルで奥田民生さんの『人の息子』って曲が使われていて、その曲をテレビで奥田民生さんがギター弾きながら歌ってたんですよ。それで、"いいな"って思って、民生さんのアルバム『29』を買ったんですよ。それには、『人の息子』は入ってなかったんですけど。それが自分の中で、昔から好きだったJポップとロックを繋げるきっかけだったんじゃないかと思います」
――猪股くんが中学生くらいのときに民生さんがソロで始動しだした時期ですもんね。
猪股「そうですね」
――ご両親がプレゼントしてくれたギターで始めて弾いた曲って何だったんですか?
猪股「アコギだったんですけど、オザケン(小沢健二)だった気がします。知り合いのおじさんでギターを弾ける人がいたので、チューニングの仕方だけ習って。あとは、教則本を買って」
――中学のときは、ひとりでギターを弾いているだけだったんですね。
猪股「そうです」
GROWING UP
Hi-STANDARD
――バンドを組み出したのは?
猪股「高1のときに、友達が"これヤベェよ!"って、Hi-STANDARDのCDを持ってきたんですよ」
――"バンドを始めるきっかけになった1枚"が、Hi-STANDARDだったわけですね。
猪股「そうそう。それよりちょっと前に、知り合いのおじさんに『ギターを始めたんだったら、こういうのあるよ!』って洋楽ミックステープを渡されて。そこには、ブラー、レッチリ(レッド・ホット・チリペッパーズ)、ニルヴァーナ、オアシスなんかが入っていて。それでニルヴァーナが、凄くいいなと思って。ニルヴァーナのCDを買ったんです」
Nevermind
Nirvana
――ニルヴァーナの『Nevermind』は、ロックに目覚めた1枚ということですね。
猪股「そうです。友達が持ってきたHi-STANDARDは、"これ速い、ヤベェ!"って思って、バンドを始めました」
――テンポが速いことが、バンドを始めることには重要だったわけですか?
猪股「そうそう(笑)。ニルヴァーナとハイスタは同じ時期くらいに聞き始めて、それからバンドをやりながらいろんな音楽を聴いていったんです。それから少し経って、夜中のアニメ『ベルセルク』を観ていて、主題歌を "これはヤベェ!"って思って。英詩だったから日本のバンドかどうかもわからなくて、調べたらPENPALSだったんですよ。それで、その主題歌『Tell me why』が入っているアルバム『AMERICAMAN』を買って、ずっと何年も何年も聴いていったんです。それは、ハイスタとかメロコアの流れとか別のところで聴いていて。いろんな音楽は聴くんだけど、実際自分がやっているバンドとは違う音楽を聴いていることも結構多くて。そこから、PENPALSから掘り下げていって、ペイブメントとかグランジの繋がりで、またニルヴァーナに行き着いたみたいになるんですよね。ニルヴァーナから掘り下げていったわけではないんだけど、多分ロックを聴いて"ヤベェ!"って思ったのは、結局は、ニルヴァーナの『Nevermind』になるんじゃないかな」
AMERICAMAN
PENPALS
――なるほど。PENPALSの『AMERICAMAN』は、10代で一番聴いた作品なんですよね。
猪股「そうです。CDが音飛びするくらいになるまで、聴いてましたね。ニルヴァーナの曲って、ずっと同じことを弾いてるのも多くて、これなら俺にも出来るって思ったんだけど、ハイスタは、さっきも言ったけど"速い、ヤベェ!"っていうのとメロディも良くて。その両方が混ざった感じが自分の中では、PENPALSだったのかもしれない」
――確かにPENPALSは、オルタナっぽさがありつつメロディもいいですもんね。
猪股「PENPALSは、10代の頃は本当によく聴いたし、今でも聴きますからね」
――バンドを始めるきっかけが、Hi-STANDARDだったっていうのは、やっぱり当時のシーンを考えても影響力が絶大だったんですね。
猪股「みんなが"やりてぇ!"っていうのをやったほうが面白いじゃないですか」
――メロコアが盛り上がって、後にAIRJAM世代なんて言われるバンドも多数登場しましたしね。
猪股「そうです。メロコア・キッズでしたよ。そこから、3人組のバンドを始めました」
Dr.DOWNER - DISCOGRAPHY -
ライジング2011.7.6 ON SALE!! / ODCP-001 / ¥2,100(tax in) / only in dreams ※6月29日(水)タワーレコード渋谷店先行発売 |
さよならティーンエイジ2010.6.23 ON SALE!! / ODCS-001 / ¥525(tax in) / only in dreams |
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