logo
角田 陽一郎(TBSテレビ バラエティプロデューサー)が選ぶ2015年 ベストアルバム

25─Adele

SUNRISE JOURNEY─GLIM SPANKEY

Trees of Light─Lena Willemark, Karin Nakagawa & Anders Jormin

Adventure─Madeon

No Place In Heaven─MIKA

HITNRUN Phase TWO─Prince

よみがえれ!キツネザウルス〜Bring Back The Dinos─Rafven

Bye Bye Hello─the telephones

American Beauty─Fall Out Boy

新宝島 豪華初回限定盤(映画「バクマン。」BOX) Single, Limited Edition─サカナクション

2015年は、悲しいこともたくさんあったけど、確実に今までと違う未来が訪れてきてるのが実感できた年でした。 音楽配信サービスが始まって、いろいろ物議を醸してるけど、音楽が素晴らしいのは、きっと不変で普遍だから、きっと今までの「パッケージ」というか、楽しみ方の「システム」が変わっていくだけなんだと思う。先日AWAでアジカンのマイベストのプレイリストを作ったら、みんなが聴いてくれて、それって、昔のマイベストテープをしこしこダビングしてた時の楽しさを感じました。

「25」 Adele
このアデルの“演歌感"が最高。彼女の“こぶし"をずーっと聴いていたくなる。待ってました!って言いたくなる。カナダの若き天才映画監督&俳優のグザヴィエ・ドランが1曲目HelloのPVを制作。アデルがドランに制作を依頼したらしい。このPVのなんとも言えない悲しいドラン色がアルバムを物語っています。情念を感じるアルバム。

「SUNRISE JOURNEY」 GLIM SPANKEY
僕らが2015年に主催したNEXTアーティストが出演する『オトナの!フェスNEXT 』に、いとうせいこうさんのレコメンで登場。もうリハーサル段階で松尾レミさんのボーカルにノックアウトされました。どんな曲も彼女が歌えばGLIM SPANKEYの歌になってしまう。僕はシングル「褒めろよ」の歌詞に年甲斐もなく刺激を受けて、でかい野望を持とうと思いました。 褒めろよ いつか掌返すの見たいなら 褒めろよ でかい野望で敵を味方に変えてしまえよ

「Trees of Light」 Lena Willemark, Karin Nakagawa & Anders Jormin
なにげなく出会ったネットの記事読んでたら、スェーデンのベーシストと民謡歌手と日本の25弦箏奏者のトリオ。聴いてみたくて購入。これって昔なら渋谷のCD屋さんで出会ってたんだろうな。今は全くと言っていいほどCD屋さんには行かない。行きたくても僕の街には無い。でもきっと音楽との出会い方が変わっただけなんだろう。 北欧神話みたいな世界の中で、日本の中川果林さんが25弦箏を奏でるのを聴いてると、実はクールジャパンって本当はこういうことなんだって思う。

「Adventure」 Madeon
これもネットの記事から。フランス・ナント出身の21歳。いや、若い!って思うものの尾崎豊は18歳でデビューしてるわけだから、そんなこと今に始まったことじゃ無い。その時出会った僕が尾崎よりたまたま年下だっただけなんだ。いやーかっこいい。EDMって僕より年下な音楽な訳で、むしろ年齢ってくくりで判断しちゃう自分を吹っ切ってくれた1枚。

「No Place In Heaven」 MIKA
大好きなMIKA先生の新作。もうこの圧倒的多幸感。もうおっさんなんでなかなかライブでもジャンプは体力的に辛いのだが、MIKAだとつい跳んじゃう。2016年に再来日するの、今から楽しみで楽しみで、仕事が入らないことを祈るのみ。

「HITNRUN Phase TWO」Prince
実は、プリンスが今年9月に新譜「HITNRUN Phase ONE」を出してたの知らないで、先週12月12日にこのPhase TWOが突如出たのをiTunesでダウンロード。いや、なんだこのあの頃のプリンス感は!!!まだ聴いて1週間だけど、80年代プリンス。当時中学生でベストヒットUSA見てた頃、僕はマイケル・ジャクソンよりプリンスだな!って決心した(どんな決心だ?)のを想い出す。

「よみがえれ!キツネザウルス〜Bring Back The Dinos」 Rafven
今年のフジロックで話題!!・・・だったらしい。行ってないから(悲)。行った方のライブレポ見て、購入。なんか、こんないろんな国のいろんな音楽と出会えるなんて、フジロック最高です。僕は別に日本が「強い国」であるべきだとは全然思わないんだけど、各国のミュージシャンを呼べるくらいの元気な国ではあって欲しいな。

「Bye Bye Hello」 the telephones
2014年の12月のライブで活動休止を発表した電話ズ。僕は前日にボーカルの石毛輝さんからこそっとメールで活動休止を聞いていた。そのライブ会場では、いつものようにイケイケで超盛り上がる観客の皆さんが、それを聞いた瞬間、誰一人声を上げず、会場は静粛に包まれた。あんな無音の瞬間は電話ズのライブで僕は体験したことがない。あの時の悲しそうなみなさんの顔が忘れられない。きっと自分が大好きなバンドが休止しちゃうなんて、それはもう本当悲しくて悲しくて、でも電話ズのファンの皆さんはそれから2015年の11月3日まで怒涛のライブ出演をこなす彼らを、本当にイケイケで盛り上げていた。素晴らしい&清々しいファンの皆さんです。 活動休止のバンドのラストアルバムがこんなポップなアルバムだなんて、イケイケじゃないか! また電話が圏外から復活するの楽しみに待ってる1ファンより。

「American Beauty」 Fall Out Boy
てことで、こちらは2009年に活動休止を発表して、2013年に活動再開したFall Out Boyの再開2作目は、もう圧倒的なクオリティ!!ガンガン感!!! 活動休止って悪いことじゃないんだって思わせてくれる。きっとバンドが進化するのに必要なプロセスなんだろう。 2015年は個人的にはあまりライブには行けてなかったのだけど、Fall Out Boyの3月のスタジオコーストのライブには行きました。洋楽ロックのライブって、これまた一味違った楽しみがある。歌詞やメッセージを超えて、音楽が突き刺さる感じ。

「新宝島 豪華初回限定盤(映画「バクマン。」BOX) Single, Limited Edition」 サカナクション
これはシングルです。厳密に言うとアルバムではありません。でも僕が選ぶレコード大賞、『2015年の角田レコード大賞』のシングル最優秀作品は、サカナクションの 「新宝島」。こんなにも今を表現していて、キャッチーで、懐メロで、売れ線で、勇気をもらえて、老若男女に支持されて(サビを口ずさんでる小学生と街ですれちがったことがある)、耳目に触れた音楽は無かったと思う。 映画の「バクマン。」も最高だった。角田アカデミー賞の作品賞は「バクマン。」です。この初回盤には映画のサントラが聞けるノンストップMIXが付いていて、これ聞きながら執筆すると上がる!上がる!!映画の中の高校生漫画家コンビのようにじゃんじゃん筆が進むのでした。

<選外、2015年最優秀アルバム賞>
Wonder Future / ASIAN KUNG-FU GENERATION

でもでもでも、今年最高のアルバムは、文句無しでアジカンの「Wonder Future」です!→ゴッチにヨイショしてるみたいなんで、選外にしましたが、これ本当圧倒的です。ずーっと聴いてました。それもシャッフルなどせず、1曲目の「Easter」から最後の「オペラグラス」まで、もうずーっとリピート。聞けば聞き込むほど、その疾走感にのめり込む。そして、詩の世界に入り込む。むしろ単純なビートだから、シンクロしやすいとでも言うのか、1曲1曲の世界の中に紛れ込んで、その世界の中の街を冒険しているみたい。好きな曲は全部だけど、「Wonder Future」が一番好きかな。どんな未来でも、誰の未来でも、きっとWonderに溢れてるから。


Profile
角田 陽一郎(TBSテレビ バラエティプロデューサー)
kakuta

WEB
http://twitter.com/kakuichi41
http://www.tbs.co.jp/otonano/

BIO
TBSテレビ バラエティプロデューサー
いとうせいこう/ユースケ・サンタマリアMCのオトナのためのトーク番組「オトナの!」(TBSテレビ水曜25時31分〜) YouTubeにてごらんになれます。
拙著「成功の神はネガティブな狩人に降臨するーバラエティ的企画術」
「「24のキーワード」でまるわかり!最速で身につく世界史」
「究極の人間関係分析学 カテゴライズド」
編著「オトナの!格言」、
「水道橋博士のメルマ旬報」連載中!


前のページへ戻る

Copyright(C) Spectrum Management Co.,Ltd. All rights reserved.