音楽はそれを奏でる、唄う人の血、肉であると同時に時代を映す鏡でもあり、
また聴き手にとっても何らかの影響を与え、その人の生きた軌跡を写し出す鏡だと自分は信じている。
そんなわけで、ココに選んだ10枚は2015年を振り返ったとき、自分が何を思い、
考えていたかを教えてくれる10枚になるんじゃないかと思います。
今年も数多くの新譜・旧譜をレコード/CDで買いました。ここに挙げた以外にもお気に入りはあるのですが
色々な場面で特によく聴いたものや、影響を受けたものを中心に選んでみました。
Jim O'rourke / Simple Songs
今までは何となく少し避けていたこの人の音楽にはまるきっかけになった1枚。
内容は'70年代のシンガーソングライターのアルバムの様な趣ですが、とにかく曲とアレンジが緻密で全く飽きさせない。繰り返し聴くうちにその世界観にもはまり、ついには過去のアルバム全部を揃え、2DAYSのライブにまで行ってしまいました。これからもずっと愛聴し続ける今年最大の収穫でした。
Death Cab For Cutie / Kintsugi
相変わらずの良いメロディに、アルバム全体を覆う張りつめた空気感と、バンドサウンド、
打ち込みのバランスがとても心地よかった1枚。
Death Cabってこんな音だっけ?と思ったのですがメンバーが1人抜けてたんですね。
オリジナルメンバーが抜けて寂しいですが、音は良い方に変化したと思います。
Alabama Shakes / Sound & Color
この人たちの事は全く知識なく、M2の先行シングルをどこかの音楽サイトで試聴して迷わずアルバムを予約しました。
ROCKバンドにしてはボトム、リズムが強くてVOCALが黒いな〜と思ったら黒人・白人混成バンドということを後で知って納得。ただよくあるソウルっぽいバンドというのとは違い、深いリバーブの中にしっかりROCKしているギターと黒いリズムが合わさって、今まであまり聴いたことのないサウンドでした。これはもうジャンルを超えたかっこよさ。
Wilco / Star Wars
ここ最近の作風を継承した内容かなと思いながら1曲目を聴いてびっくり。矢張りWILCOはやってくれましたね。
我々の期待をいい意味で裏切る、本当の初期に戻ったようなオルタナ感満載なアルバム。
つくづく懐の深い人たちだなーとうれしい気持ちになった1枚です。これからもついていきますよー。
ASIAN KUNG-FU GENERATION / Wonder Future
個人的には、アルバムごとの変化が毎度楽しみな数少ない日本のROCKバンドの1つです。
今回は初期に戻ったというよりは第3次ステージに上がったというイメージ。
前々作で得た詩と音の自然な一体感と、前作でのドラマ性、よりダイナミックになったサウンドと正に今だから成し得たであろうサウンドは、とにかく心地よく強い気持ちになれるROCK。今年繰り返し何度も聴きました。
Faith Healer / Cosmic Troubles
Courtney Barnett も良かったのですが、多分誰かが紹介すると思うので自分はこちらを。
カナダでTee-TahsというパンクバンドでVoの彼女のデビュー作。ほぼプロデューサーと2人で作られたというサウンドはVELVET UNDERGROUNDからの引用を全体にちりばめながらサイケでPOP。
更にアルバムが、1枚通してコンセプトアルバムの様に曲が繋がっていて、その展開が実に良いです。
またアルバム中、1番POPな2曲目が後半に行くにつれてどんどん壊れていくアレンジや歯並びの悪い自分の歯をあえてジャケットに採用するヒネクレ感など、只者ではなさを感じました。おススメです。
Ryley Walker / Primrose Green
アメリカの埋もれたシンガーソングライターの発掘再発盤かなと思い、久々にジャケ買いしたレコード。
Ryley Walkerの2015年の新譜となるこのアルバムは、FOLKとJAZZが混じり合った様な音ですがFOLKYというよりはエクスペリメンタルミュージックに近い感じ。
張りつめた空気感と1つ1つの楽器の使い方が絶妙で、実にカッコよい。ライブで観てみたい。
CORNELIUS / Constellations Of Music
純粋な新譜ではなく、近年のコーネリアスのリミックス、プロデュース、共演、共作をまとめたワーク集。
これが本人のオリジナルアルバムと言ってもいいくらいの統一感があり、張りつめた音の空間が心地良かった。
よく.Death Cab For Cutie、Alabama Shakesと一緒に聴いたりしてました。
META5のライブ以降、彼のギタリストとしての演奏が好きなので、そこをメインとしたオリジナルアルバムを是非聴いてみたいものです。
Astronauts Etc. / Mind Out Wandering
偶然みつけたAnthony Ferraroという人のソロプロジェクト。Toro y Moiのツアーサポートメンバーだそうです。
最小限の音で作られた、アコースティックで涼しげな曲をバックに全曲ファルセットで歌われていて、何とも言えない爽やかな音。Toro y Moiの新譜(最高でした)から装飾を取り払って、もっとシンプルにした感じで、その分、より曲の良さが際立っています。
Ykiki Beat / When the World is Wide
個人的にはここ数年、NEW WAVE・POST PUNK〜DUBとはまり、ついにはSKAまで行き着き、どっぷりその手の世界に浸かっているなかで知ったこのバンドは、今の気分にドンピシャでした。
とにかくセンスが最高にいいです。20代そこそこでこんなNEW WAVE感を出せるバンド、日本にはまずいないし、海外でもリアルタイムでは少ないのでは。シングル曲が話題だったようですが個人的にはそれ以外の曲にぐっと来ました。またインディならではの音の質感が、この音楽に更に良い効果をもたらしていて、このまま突き進んで欲しいと思います。
次作が楽しみ。
最後に2015年を振り返って。
今年もいろいろな音楽・人との出会いがありました。
仕事・プライベートに関わらずお世話になった皆様ありがとうございました。
来年はさらにパワーアップできるよう、また大好きな音楽と新しい仕事ができるよう頑張ります。
BIO
OLIVER PEOPLESデザインチームの一員として数々のデザインを手掛ける一方、さまざまなコラボレーションなども多く手掛ける。またファッションブランド、ミュージシャンのオリジナルなども多く企画・デザインする。