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後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) が選ぶ2014年 ベストアルバム

Sound and Color─Alabama Shakes

No No No─Beirut

Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit─Courtney Barnett

Choose Your Weapon─Hiatus Kaiyote

In Color─Jamie xx

Vestiges & Claws─Jose Gonzales

Laughing Nerds & Wallflower─NOT WONK

Dear Wormwood─The Oh Hellos

What For? ─Toro Y Moi

Ivy Tripp ─Waxahatchee


僕が選んだ今年の10枚です。

トレンドとか、シーンに与える影響とか、あるいは音楽そのものの新しさだとか、そういうことは音楽サイトや雑誌が主題として取り上げるでしょうから、そういった基準ではなく、2015年を振り返って、印象的だったなぁと頭に浮かんだアルバムを並べてみました。

世の中に発表される楽曲は年々増えて、すべてを把握するのが困難な時代になりました。いわゆる音楽評論家と呼ばれる人たちでも、興味の届く範囲ですら、網羅するには時間が足りないのではないかと想像します。だからまあ、今年の50枚、ましてや10枚を選ぶことに対する己の傲慢さを感じつつ、一方で、リスナーそれぞれの10枚なんていうのは身勝手に選ぶからいいんじゃないか!とも思うのです。

こういう状況では権威的なメディアの力は弱まっていきますから、それぞれのリスナーの身勝手な選択がものを言う時代になりましたよね。そういう意味では、音楽の未来はリスナーに委ねられていると思います。いつの時代もそうだったかもしれませんが、ひとりひとりが発信者にもなれる時代ではなおさらですよね。逆にこれからの時代の楽しみは、そうやって一度フラットにならされた土壌からこそ、相対的な物差しを飛び越える面白さを持った書き手や音楽が生まれてくる可能性が高いということではないでしょうか。

というわけで、これが僕の選んだ10枚です。どれも素晴らしい作品でした。ドキドキしながらレコードを買って、小躍りしながら聴きました。

Sound and Color / Alabama Shakes
とにかく音が抜群に良いです。僕の大好きなweezerのアルバム『ピンカートン』を手がけたエンジニアと、これまた大好きなブレイク・ミルズのプロデュース。骨太なR&Bとロックンロール。グラミーを獲る前に来日して欲しいです。

No No No / Beirut
ソロの制作でシカゴに行ったときに喫茶店でずっとかかっていたベイルート。やっと新しい作品が出ました。もう、首を長くして待っていました。今作も素晴らしいですね。本当に、どこの国の音楽かわからないような温度感が良いんです。

Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit / Courtney Barnett
オーストラリアから登場した新世代の吟遊詩人、と勝手に呼んだら怒られるでしょうか。こんな詩が書けるひと、早々いないと思います。佇まいも格好いい。来日公演を逃したことが悔やまれます。

Choose Your Weapon / Hiatus Kaiyote
こちらもオーストラリアのバンド。コートニー・バーネットしかり、テームインパラしかり、どうなってるんでしょうか、オーストラリアは。ジャズとソウルを横断するような、素晴らしい作品です。

In Color / Jamie xx
このアルバムは楽しみにしていて、ドキドキしながらレコード屋から持ち帰りました。最近は爺趣味に火がついて、こういうエレクトリックな作品はあまり聴かないのですけれども、格別に好きです、このアルバム。

Vestiges & Claws / Jose Gonzales
どこかもの悲しいアルペジオが印象的なアルバム。ビートルズの『ラバ-ソウル』のような牧歌的な雰囲気も湛えつつ、それとは違うエスニックな原風景を感じます。まあ、それもそのはず、アルゼンチンをルーツに持つSSWなのですが。

Laughing Nerds & Wallflower / NOT WONK
これはもうヤラれました。本当に格好いい。僕はこんな格好いい10代を送りたかった。そんなふうに思うバンドです。イースタンユースやブッチャーズを生んだ北海道からっていうのも、なんだかワクワクします。

Dear Wormwood / The Oh Hellos
これはもう、趣味の一枚です。LPは年明けなんですけれど、レーベルのDMで送られてきたサンプラー音源を聴いて虜になってしまいました。このあたりの音楽を共有できる人とは、一生の友達になれると思います。

What For? / Toro Y Moi
いままでの作風とは違うので、物足りないファンもいたかもしれませんが、どこか懐かしい歌モノが僕にとってはストライクでした。こういう作風のアルバムも作り続けて欲しいです。

Ivy Tripp / Waxahatchee
前作で、「音楽シーンを変えたりはしないけれど良い」とか失礼なことを書きましたけれど、しっかり時代に爪痕を残しているワグザハッチー。今作も相変わらず素晴らしいです。なんか貫禄が出てきました。


Profile
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
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ASIAN KUNG-FU GENERATION(Vo&G)
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