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古渓一道(フォトグラファー) が選ぶ2014年 ベストアルバム

・ Michael─Les Sins

・ Under Color of Official Right─Protomartyr

・ Singles─Future Islands

・ 佐々木健太郎─佐々木健太郎

・ This Is My Hand─My Brightest Diamond

・ Guitar─LOSTAGE

・ YOU─ART-SCHOOL

・ ペーパークラフト─Ogre You Asshole

・ Live in Tokyo─Gotch

・ Morning Phase─Beck
 毎年こういう書き出しから始めるのは自分の優柔不断さが出てるようでアレなんですが、まずは上の10枚に入っててもおかしくないアルバムについて少し書いておこうと思います。上のリストも下記も順不同です。
 Bombay Bicycle Club(ポップ万華鏡)、くるり(古今東西音楽世界旅行)、Iceage(Nick Cave的不良の匂い)、Kindness(前作同様、音の「間」と色気がヤバい)、Spoon(サウンドプロダクション最高)、FKA Twigs(視覚と合わせるとカッコよさ倍増)、Julian Cassablancas + The Voids(ダサかっこよすぎるセンスに脱帽)、La Sera(ルックスがタイプ)、St. Vincent(フジで対面撮影出来て感激)、トリプルファイヤー(気がついたらリピートしてて中毒性大)、Caribou(2作連続大当り)、Damien Rice(待望の新作。祈来日)、Sleaford Mods(ザッツ・イングランドなおっさんラップ。シングル集がおすすめ)などなど…。今年も10枚に絞るのは悩みに悩みました。

Les Sins / Michael
単純に、音やリズムが感覚的にめっちゃ気持ちよいということに加えて、このMVにも現れてる、そこはかとなく漂うユーモアと哀愁、そしてヌケ(間抜けの方のヌケ)具合がツボでした。最高。

Protomartyr / Under Color of Official Light
年に1枚は必ず出てくる、自分のルーツや核みたいなものを再確認させてくれる作品。Joy DivisionとかThe Fallとかのポスト・パンク好きや、心に茨を持った少年たちに響くであろうレコード。でも未だにバンド名をちゃんと発音出来ません。The Horrorsの新作も良かったけど再生回数はこっちのが多かった。

Future Islands / Singles
このDavid Lettermanでのライヴ映像を初めて観て以来、そのダサさ(ルックス、ダンスステップ、スタイリングひっくるめて)と、『シャイニング』でのジャック・ニコルソンのような狂った感じと、ロマンティックなシンセ・ポップの絶妙なミックス具合に目が離せなくなりました。FKA Twigsと並んでいま一番ライヴを観てみたいバンドです。

佐々木健太郎 / 佐々木健太郎
エヴァーグリーンとか、ゴールデンっていう形容詞をつけたくなる素晴らしいスタンダード・ポップス集。古今東西洋邦の様々なポップ・ミュージックへのリスペクトや愛情、そしてその歴史も詰まってるところも凄くいいです。あの国民的クリスマス・ソングと同じタイトルと手法で、全く遜色ない名曲を作り上げたその勇気と才能に大拍手。もしも将来自分にも子供が出来たら聴かせたい。アナログフィッシュのアルバムも期待通り素晴らしかったです。

My Brightest Diamond / This Is My Hand
去年挙げたSon Luxと同じく、Sufjan Stevens絡みのアーティストには当たりが多し。この人(とSufjan)の再来日も強く希望します。

LOSTAGE / GUITAR
アルバム・タイトル通り、まずギターの音がカッコいい。ギターだけじゃなくてベースの唸りっぷりもすごくよくて、タイトルが『STRINGS』でもよかったのでは?と思えるくらい、弦の鳴りがいい。「Nowhere / どこでもない」の「あのさ 少し休もうじゃないか」という歌詞に何度支えられ、その後に続くシューゲイズ的なギターサウンド(まるでFriendly Firesのよう)に何度震えたことか。 

ART-SCHOOL / YOU
キャリア最高傑作。初めて聴いて興奮して、速攻でFacebookでアーティスト本人にメッセージを送った記憶あり。

Ogre You Asshole / ペーパークラフト
そのライヴも含めて、Ogreの作品にはバンドの理想的な進化の形をいつも感じてます。ニュアンスは違うけどスーパーカーの中期以降に似た感覚というか。このバンドの毒っ気というかアイロニカルな空気(坂本慎太郎にもそれはある)がもの凄く好きです。

Gotch / Live in Tokyo
もし自分がミュージシャンだったら「バンドに入れてください」とお願いしにいきたくなるだろうなと思わせる空気感があるアルバム。喪失について歌ってるのに、より力強く楽しそうに鳴らしているという点でスタジオ盤よりこっちをピックアップしました。ライナーノーツも面白いです。佐々木健太郎のソロアルバムもそうですが、本業のバンドに対する信頼度も増すレコードだと思います。

Beck / Morning Phase
今年じんわりと始まった自分内アナログブームのきっかけにもなった作品。豊穣でゆったりしてて柔らかくてあったかくって…っていう、レコードで音楽聴きたい理由がそのまんま当てはまるアルバムだと思います。今回挙げた10枚はレコードでゆっくり聴きたくなるものが多い気がします。

 今年のベスト・ソングは迷わずSaint Pepsiの「Fiona Coyne」。もしギターを弾けたなら真似するに違いないファンキーで小気味よいカッティング。ポップで切なくて、なによりナード感が滲み出てるのがいい。Les Sinsもだけど、ユーモアとナード感大事。ナード感といえばWeezerの新作も久しぶりに良かった。

 ベスト・ライヴはフジでのArcade Fire。4年前に観たインタラクティヴMV(「The Wilderness Downtown」)を観て以来改めて感じてた「リスナーに寄り添ってる感」が、あれだけ巨大なエンターテインメントになっても失われてなかったことに感動。

 最後に個人的な来年の豊富を。今年はThe HorrorsとかSt. VincentThe BohicasBen Wattといった、海外の新旧フェイヴァリット・アーティストとの対面撮影もいくつか果たせましたが、まだまだ飢えてるので来年はもっとポートレート撮影を増やしていきたいです。もっと売れっ子になりたい。それから、新しいバンドとたくさん出会いたい。特にいま日本には本当に面白いアーティストが増えてきていると思う(その中でも、今年出会ったバンドではAwesome City ClubとNOWEARMANには期待しています)。そして、今年に引き続き、婚活。


Profile
古渓一道(フォトグラファー)
image_gotch
主に音楽関係の写真を撮っているフォトグラファーをやっています。音楽と同じくらいフットボールも大好きです。Twitterアカウントはhttp://twitter.com/k_kokeiです。
http://www.kazumichikokei.com

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