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後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) が選ぶ2013年 ベストアルバム

1.超越的漫画─曽我部恵一

Howlin─Jagwar Ma

Humming bird─Local Natives

6 Feet Beneath The Moon─King Krule

Fade─Yo La Tengo

If You Leave─Daughter

Days Are Gone─HAIM

回転体─The chef cooks me

Cerulean Salt─Waxahatchee

FL$8KS─Fla$hBackS


音楽シーンにとって何が発明で発展かという視点で選ぶと、こういう順位にはなるかどうか分からないのですが(そういう意味だとArcade Fireは外せないんですが)、そういうランキングは音楽誌に任せて、自分が好きだと思った10枚を選びました。ゆえに、順位はありません。でも、曽我部さんのアルバムだけは、今の日本に響くべき作品だと思うし、ソングライターとしての自分もリスナーとしての自分も、同時に背中を押されるような一枚だったので、1位にしました。

あとはThe Pastelsとか、Rhye、Justin Timberlake、Washed Out、Miguel(これ去年のリリースかも)、BRAHMANのアルバムもよく聴きました。Arcade FireとVampire Weekendの新譜も素晴らしかったですね。今年は良い作品が多くて、ベスト20くらいだと助かったのですが…(俺が企画しているのだけれども、笑)。

あとは、アルバム単位よりも楽曲単位で良いなって思うことが増えてきたんですが、やっぱりそういう時代なのかなぁと感じています。アルバムというアートフォーマットには愛着もあるけれど、やっぱりこの1曲!って気分も大事だなと。今年のプレイリストは後日、日記で公開しますね。

曽我部恵一 / 超越的漫画
今年のベスト。幻想としての「一般世間」だとか、ロックミュージシャンは政治のことは歌わないで欲しいだとか、またはその逆だとか、右だとか、左だとか、すべてを貫いて響く、辛辣だけれども愛のあるアルバム。

Jagwar Ma / Howlin
ノエル・ギャラガーが「全宇宙の未来はJagwar Maの新譜にかかっている」みたいなことを言っていましたが、期待を裏切らない作品でした。サイケデリックな音像がマンチェスターを想起させるけれど、なんとオーストラリアのバンド。Tame Impalaに続いて良いですね、オージー。

Local Natives / Humming bird
現在、世界で一番好きなバンドをあげろと言われたら、Local Natives だと答えます。陰りがあって切ないメロディとコーラスワークが本当にツボなんです。プロデューサーが変わって重厚かつ端正な音像になりましたけど、もう少しルーズな感じも聴いてみたいです。

King Krule / 6 Feet Beneath The Moon
イギリスのニュー・カマーの中ではぶっちぎりで好きでした。ロックファンのオヤジさんたちが狂喜するような懐古的な手法ではなくて、サンプリングやループ音源やエフェクトなど、HIP HOPとも接続するような現代的な手法で作られているところが良かったです。本当に素晴らしい。Border LineのDE LA SOULっぽいギターのループとか、最高。

Yo La Tengo / Fade
YO LA TENGOって、自分の周りのミュージシャンや所謂洋楽ファンたちのようには熱狂できずにいたんですが、このアルバムは本当に良かったです。地味と言われればそうかもしれないんですが、あるべきところにそれぞれの楽器の音が配置されているように感じます。楽曲から何から何まで、「良い仕事」で貫かれている一枚というか。

Daughter / If You Leave
こういうアメリカのインディっぽいドローンとした膜の中にいるような音像のバンドの中では一番好きです。クリーンでも歪んでいても、とにかくギターの音色が素晴らしいんですね。アンサンブルも格好良い。ボーカルの声も好みっていうことで、自分がポップミュージックに押されたいツボを全て押さえられたようなアルバムでした。

Days Are Gone / HAIM
EPから買ってアルバムを楽しみにしていたHAIMのアルバム。期待を裏切らない出来でした。本当にポップだし、それでいて尖った部分もあるし、全方位に意欲的というか、そりゃ売れますよね。普段は洋楽を聴かない人にも薦められるし、洋楽ファンにも「HAIMの新譜良かったよ」って言えるような作品、なかなかないので嬉しいです。

The chef cooks me / 回転体
本当に素晴らしいアルバム。ここ数年の鬱屈を吹き飛ばすように彼ら本来のポップネスが炸裂しています。そこにまた、ここ数年で獲得した音楽的な進歩が加味されて、文句なしの傑作だと思います。このまま淀むことなく突き抜けて欲しいですね。早く次の一手を観たい、聴きたい、そういうバンド。

Waxahatchee / Cerulean Salt
ネットサーフィンで見つけたWaxahatcheeの新譜。ペイブメントみたいなダルい演奏もギターの音色もボーカルの声色も全部ストライク。アルバム冒頭、Hollow Bedroomの出だしからイエス!って感じです。このアルバムで音楽シーンの何かが変わったりはしないかも知れませんが、俺、こういうバンドが大好きです。

Fla$hBackS / FL$8KS
これもネットで見つけて買いました。いやぁ、素晴らしい。これで10代だっていうんだから(プロフィールをちゃんと調べていないので、違ってたらすみません)恐ろしい。日本のHIP HOPも日本語ラップもスゴいところまで来ているんだなってことが分かりますよね。言葉と音楽の組み合わせの妙というか、アメリカの音楽をどうやって血肉化していくのかっていうことは、ロックでもパンクでもHIP HOPでも命題だと思うのですが、そういう意味で最もラディカルな現場はHIP HOPなんだなと何年も前から感じています。



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