TOSHI-LOW(BRAHMAN/OQU)
×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
──でもBRAHMANとアジカンって実は接点ないですもんね。この対談だって意外だと思う人が多いかもしれない。
TOSHI-LOW
「あの時しか接点ないもんね。普段かぶってないし。ただ、もともとそんな遠いバンドだとは思ってなかったけど。パンクではないけど、エモがだんだんギターロックになっていく時期に出てきたバンドっていうか。最初の頃とか叫んでたじゃん? ハスキンみたいだなってイメージがあって。これは全然悪い意味じゃなくて」
後藤
「はい。HUSKING BEEとは一緒にツーマンやったり。ただ、僕らって、両サイド、ギターとベースにはパンクの血が一滴も入ってないんですよ。ブルーハーツとかは通ってるけど、基本的にはUKロックとかが好きで。“AIR JAM"世代のCDとか多分1枚も持ってない。ドラムはもうハイスタのコピーバンドやるし“AIR JAM"行くし、みたいな感じですけど」
TOSHI-LOW
「そうなんだ。へぇー」
後藤
「僕は、パンクはいいと思ったら聴く、ぐらいの。セックス・ピストルズはわかんなかったけど、LAUGHIN' NOSEは好きとか。あとバッド・レリジョン好きだったり。でもBRAHMANとかAIRJAMシーンの人たちって、ちょうど世代がひとつ上、って感じで。ひと世代上って上手く絡むの難しくないですか?」
TOSHI-LOW
「難しいよ。中一のとき中二は嫌いだもん。いじめるし。でも中三は好きなの。可愛がってくれるから(笑)。たぶん歳が近いと意識しちゃうんだと思うよ」
後藤
「そうそう、間近に見てるから、よけい意識しますよね」
──でも、そういう壁も今回の震災で全部流れて。つまらないものが全部消えて、その人が何なのかっていう本質だけが見えるようになった。
TOSHI-LOW
「流れたね。っていうか、今まで何してたんだろうって思うぐらい」
後藤
「その人の本質は改めて感じますね」
TOSHI-LOW
「そう。その本質を見据えた上で音楽聴き直すと、聴き方も変わるしね。アジカンもさ、俺ゴッチのツイートとか見てもっかい聴き直したんだ。あぁ、この頃から嘘ついてないんだなって思った。要は売れるために体裁のいいこと言ったりしてなくて。そんなふうに自分の聴き方、感じ方が変わるから面白いよね。で、ツイッターでオッサンたちにイジラれてキレてるゴッチとかさ、覚悟できたんだな、っていうのがわかるし。もともと持ってた本質なんだろうけど、震災を経てわかりやすく見えるようになった」
後藤
「最初戸惑ってましたけど、なんか清志郎さんファンのオッサンにボンクラみたいな言い方されて、だんだんカチコーン!ってきちゃって」
TOSHI-LOW
「見てた見てた。ボンクラ扱いされてんの見てた(笑)」
後藤
「もう、ミュージシャンだからって音楽だけに限定しないほうがいいんですよね。だってもう突き詰めていくと、俺たちは原発のことしか歌えなくなっちゃうのか? みたいな話になるので。清志郎さんだってジョン・レノンだって別に何を変えたかはわかんない。そう言いたい気持ちはあるんですよ。反原発の歌を聴いて喜んでる中年の奴らはいるけど、冷静に考えたら、俺が原発の歌を作って原発なくなんのかよ? そうじゃねぇだろ? みたいな。だからだんだんね、こんなオッサンたちに、なんで清志郎さんを盾に偉そうな顔されなきゃいけないんだって思い始めて(笑)。別にお前は清志郎さんじゃねぇだろう」
TOSHI-LOW
「ほんとだよね(笑)」
後藤
「なんか、まったく無反省っていうか。あとは“フォークとかロックが昔は有用だった"みたいなことを言い出すオッサンもいて。いやいやいや! その成れの果てが今でしょう? って」
TOSHI-LOW
「ほんっとにそう」
後藤
「なんも変わってないんだよって。こういうことがもう音楽の無力さを証明しちゃってるというか。だったらもう俺がやるしかねぇ、って思った」
TOSHI-LOW
「今までがどうだったかなんて、ホントどうでもいいよ。それこそ人の繋がりだってそう。もう“ここから"どうするのか、ってことに論点を絞りたいし、そうやっていくべきだと思ってる」
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