後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)─2011.2.20─
「コンテンポラリー・エキゾチカ・ロック・オーケストラ」の頭文字をとって「cero」。彼らのアルバム「WORLD RECORD」はお世辞抜きで傑作だと思う。
田舎者の私からすると、彼らの音楽はとても都会的だし、現代的に映る。例えば、情報鎖国みたいな地方の田舎町から出て来た私は、なけなしのバイト代で買った数枚のレコードを参考にエモーションを炸裂させるしか仕方がなかった。でも、彼らにはあらかじめ豊かなレコード棚と本棚が身近にあったのではないかと想像するし(予備知識なしで書いているので偏見かもしれませんが)、いろいろなジャンルの音楽や文学にも自由にアクセス出来る情報網があったのだと思う。だからと言って、誰もがこんなに素晴らしいレコードを作れるというわけではないのだけれど、そういう要素(地理や世代や財産がもたらすアドバンテージ)が見事に結実しているので、素直に感嘆するしかないし、羨ましくも思う。もう本当に、清々しく嫉妬する。
本当に、名盤だと思う。
サンプリングや、様々な引用や、HIP-HOPやポップスや室内楽を横断するような音楽性、サウンド、メロディ、どれにもいちいちドキドキしてしまう。「凄いなぁ」とか「良いなぁ」って、もう普通にファンではないかと、そういうツッコミを自分に入れざるを得ないです。
こういうバンドこそ、もっと広く世に知れ渡って欲しいし、評価されて欲しいと思います。
とにかく、感動。
そして、なんだか我々の世代に引導を渡すような、そんな雰囲気もあるので、単純に「もっと良い音楽を作りたいな」と励みになります。いや、正直に言えば、ちょっと打ちのめされかかりました。そういうアルバムです。なんども言うけれど、手放しで素晴らしい。
1