nerisuke─2011.8.30─
8月28日。久しぶりに正座しつつも前のめりになりそうな姿勢でテレビに向かう自分がいました。画面にはWOWOWで生中継されたUFC134でのアンデウソン・シウバvs岡見勇信。PRIDEが消滅してから格闘技を観なくなった人は多いと思いますが、格闘技を愛してやまない人たちには夢にまで見た日本人のタイトル挑戦だったんです。パウンド・フォー・パウンド、人とは到底思えない強さに到達してしまった誰もが認める絶対王者に挑む岡見。その勇姿に久しぶりに奥歯をガチガチ言わせながら奇跡を願いました。
恵まれた体格、万全の対策、怠りない練習。化け物と呼ばれる王者は“そんな事は当たり前の事だ”と言わんばかりに2ラウンドで挑戦者を粉砕。
「何か」が足りないのか。でも存在すべてがその「何か」で構成されてしまっているようなアンデウソン・シウバと同じ土俵で相対した時、初めてその「何か」を感じる事ができたようにも思いました。その世界を見せてくれただけでも岡見にはホント拍手を送りたいです。
自分が“面白いな”、と思う音楽にも確かにその「何か」があります。当たり前の事を、当たり前にこなしたその先にある壁。それをサラっと越えてくる化け物というのは確かにいるんです。
今回紹介する Wild Flag
もその類のバンドです。
Sleater-Kinney というバンドでギター、ドラムをやっていたCarrie BrownsteinとJanet Weise
が がが中心となって結成されたバンドで、ファーストアルバムが遂にリリースになります。
9月のリリースに先駆けて、
nprにて無料視聴が開始されました。
先行で発表されていたアルバム1曲目”Romance
”のライブがこちら。
こちらはnprが公開した30分弱のライブ映像。
音楽全般というエンタメを考えた場合は当てはまらないと思いますが、こと”ロックンロール”というジャンルにおいては「何か」の塊のようなバンドです。
同じくSleater-Kinneyのメンバーだった
Corin Tuckerのソロが昨年リリースされたときも思いましたが、この3人は間違いなくそれぞれジョゼ・モウリーニョ(サッカーの監督)が言うところの
が言うところのが ”Special One” です。
この音源に正面から立ち向かって、突き放されてこそ、「何か」の輪郭が見えてくるんじゃないかと自分は思っています。
CSSが前作でそこに立ち向かった印象がありましたが、
最新作(こちらも無料試聴できます) ではその壁にぶつかってもがいている様子が胸に刺さりました。
岡見もCSSも、今できる最高のパフォーマンスを惜しみなく繰り出して挑みました。思いっきりジャンプしても、届かない。でも、もしかしたらその1cm上に成功はあったのかもしれない。だから見えなくてもジャンプし続ける。
格闘技でも音楽でも、自分はこういう勝負が観たい。
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