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THE FIVE GHOSTS
Stars

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藤本功一─2011.4.21─


ここ最近、「Googleなんかで検索結果の中に埋もれてしまいがちな名前のバンドって損をしてるよなあ」と思ったりします。とても良い音楽なのに、名前がシンプルというだけで検索結果に判りやすく反映されないのだとしたら、なんだかもったいないよねと。音楽を購入する手段が店舗からネット通販やダウンロードへシフトしていることもあり、余計にそう思ってしまうのかもしれません。

さて、今回紹介をするStarsもそんな"検索結果の中に埋もれてしまいがちな名前を持つ良いバンド"のひとつです。2000年に結成されたStarsはカナダ出身のインディーポップバンドで、男女のツインボーカルから紡がれる甘いメロディーと多彩なアレンジが特徴的。そんな彼らが2010年6月に発表した5枚目のアルバム『THE FIVE GHOSTS』について、遅ればせながら書いてみようと思います。

以前から好んでStarsを聴いていた僕の『THE FIVE GHOSTS』の印象は、「大人っぽくなったなあ」というものです。前作までのスイートなサウンドに内包された熱量みたいなものが薄れて、抑制の効いた感情の発露を自然と表現しているような雰囲気。だからといって彼らが決定的に変化をしたのかと言えばそうではなく、「Dead Heats」や「I Dies So I Could Haunt you」、「Fixed」なんかは、StarsらしすぎるくらいStarsなので、人間が少しずつ大人になるように、バンドがワンステップ成長したということなのかなあと思ったりしています。自分らしさを失わずに成長するなんて素晴らしいじゃあないですか!(拳を握りしめて力強く)

Stars - Changes (Uncensored) from Stars on Vimeo.


Reunion

Stars | Myspace Music Videos


 世に出される一般的な音楽は、たぶん皆さんが想像する以上に整理整頓されたものです。詳しく書くと途方もなく長くなるので簡単に済ませてしまいますが、音楽理論的に、演奏技術的に、周波数的に、バランス良くトリートメントされています。"商品"とする以上それは当然なのですが、しかし、トリートメントすればするほど、音楽の本質的な部分(初期衝動)から遠のいてしまうと僕は思います。整える作業は理性が司りますから、衝動の成分が薄まってしまうのですね。

僕がStarsを聴いていて良いなあと思う理由のひとつは、そのトリートメントの程度がポップスとしてちょうど良く感じることです。玄人受けしそうな流麗なアレンジの片鱗を見せたかと思えば、「格好良いからやっちゃえ」というようなフレーズもあったりする、その感じ。普段「JPOPは聴けるけど、インディーポップはちょっとなあ…」と思う人も、Starsを入口にすると割とすんなり入れるのではないかなあという意味も込めて、お勧めします!


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■RECOMMENDER

  • 藤本功一(2011.4.21)