青野圭祐─2013.10. 3─
ここのところ、僕のレコメンドの文が長くなりすぎる傾向にありましたので、今回は趣きを変えてできるだけ短めに、魅力をギュッと濃縮して書かせていただきたいと思います!
フィンランドから、エヴァーグリーンでセンチメンタルな轟音を響かせる、男女混合4人組バンドが登場しました!ここ最近の海外からの新人アーティストで僕が最も推させていただきたいこのバンド、The Lieblingsのサウンドは、まさしく、シューゲイザーmeetsパワーポップ!
早速、今回レコメンドさせていただく、彼らのデビュー・フル・アルバム『Take Us To Your Leader』の1曲め「It's All Gonnna Fall」のMVをご覧ください。
緩やかな、しかし、軽やかに歪んだTeenage FanculbやFountains of Wayneなんかを思わせるギター、そして
The Posiesを思わせるまでに超美麗なヴォーカル、とても感傷的なイントロです。そんな美メロから一転して一気にポップメロディはそのままにして轟音にもつれこみます!
Ringo DeathstarrやThe Pains of Being Pure at Heartなんかのシューゲイザー・リヴァイヴァルのアーティストなんかにも通じる強烈な爆音を、でもしかし、PosiesやTFC、Velvet CrushやMathew Sweet、The Lemonheadsなどの90年代のパワーポップの数々の名アーティストたちを彷彿とさせる溢れ出るパワーポップ・エッセンスでコーティング。
轟音とともに青い時代に帰るかのような、センチメンタルな情景がどんどん浮かんできます。
フィンランドといえば、一昨年の今頃にレコメンドさせていただいた、サーフィン・ポップ・バンド、
French Filmsが登場した国ですね。彼らは、そんなFrench Filmsとも関係があって、結成してすぐにその卓越されたメロディセンスからフィンランドの多くのインディー・レーベルから声がかかって、争奪戦の結果、French Filmsも在籍するGaeaというインディー・レーベルと契約することになったとのことです。ですので、French Filmsとはレーベルメイトの関係ですね。
現在、公開されているMVは残念ながら先の「It's All Gonnna Fall」だけですが、日本国内で彼らのCDをリリースする大阪のレーベル、Rimeoutさんがトレーラーを公開されています。
それがこちら。
うーん、ジャケットは良い意味で謎にちょいキモな感じなのに(笑)、どんどん映し出されるアーティスト写真はどれもオシャレだったりクール!
そして、アルバムに収録されたそれぞれの曲の素敵なポイントをギュッとパッケージングしたトレーラーで彼らの魅力が伝わるかと思います。
男性3人+女性1人というバンド構成からつい先日、レコメンドさせていただいた
Superchunkを思い出すこともできます。またメロウな曲では、同じバンド構成のThe Smashing Pumpkinsが思い出されるかも知れません。全編を通したノイズ感はDinosaur. JrやSonic Youthのようなジャンクな感じに近いように思います。
…とここまで、多くのアーティストの名前を挙げてきましたが、あえて語弊を怖れずに言えば、The Lieblingsは90'sの米国や英国のオルタナティヴ・ミュージックシーンに深く感化されてきたリスナー(かくいう僕自身もそうなのですが!笑)の方々に、より響くサウンドと言えるのではないでしょうか。パワーポップmeetsシューゲイズのサウンドのバックボーンとなっていると思しきものはオルタナ・エッセンスに満ちたものです。
その上で、彼らは古いサウンドを発掘するだけでなく、先に挙げたような現在のシューゲイズ・リヴァイヴァルのThe Pains of Being Pure at HeartやRingo Deathstarr(彼らが男性メンバーに紅一点の女性がいるバンドであるのと同様にThe Lieblingsも同様のメンバー構成となっています!)などのアーティストと共振するようなポテンシャルを感じられます。
それこそ僕が今までonly in dreamsでレコメンドさせていただいてきたアーティストで言えば、The Posiesはもちろん、
exloversや
Seaponyなどの魅力を感じ取ってくださった方にもばっちり、ハマるサウンドになっていると思います。
後藤さんがレコメンドされていた
Yuckにピンときた方にも同様です!
彼らは90'sのパワーポップのエッセンスを存分にたたえながら、それでいて、今のインディー・ロックシーンにも素晴らしい一味を付け加えてくれます。
最後に、先のトレーラーと同じくRimeoutさんがアップロードされた、彼らの日本のファンに向けたメッセージ動画を観てみましょう。
スマートな雰囲気の3人の男と北欧ビューティー、おちゃらけた感じですが、そのサウンドとのギャップも相まって可愛らしく映っています。素敵ですね。
90'sパワーポップ、オルタナ、シューゲイズにシンパシーを感じられる方は彼らから、また再びVelvet Crushだったり、Matthew Sweetだったり、Superchunkだったり、Lemonheadsだったり、Posiesに想いを馳せるのもよし。彼らから90'sミュージックはもちろん、現在のインディーロックシーンを辿るのも良し!素晴らしいバックグラウンドがあることが伺えるアーティストは、時代や世代をもこえて他の多くの素晴らしいアーティストへの橋渡しにもなると思います。彼らはその好例ではないでしょうか。
願わくば、来日してほしい!と思わんばかりです。
彼らのパワフルでどこか癒えない傷口を抱えるような轟音のポップ・メロディに包まれながら秋の夜長を過ごしてみるのはいかがでしょうか。
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