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SWANLIGHT
ANTONY AND THE JOHNSONS

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後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)─2010.10.27─

本当に今年買ったアルバムの中ではベストと言って良いほどにヤラれてしまっている。昨年リリースされたアルバム「The Crying Light」の底に沈殿しているかのようだった「悲しみ」のようなフィーリング、美しさに圧倒される傍らで、どうしても上手くそのフィーリングに歩み寄れないでいたのだけど、今作には本当に感情の全てを包囲されるように虜にさせられてしまった。何が違うのかということを、説明するのはとても難しいけれど、何か前作よりも精神的に開いた印象をを歌声や旋律やハーモニーから感じる。それは「ポップになった」という一言で片付けてはいけないものだと思う(※前作と同時期に書かれた楽曲ということなので、意図的に選り分けられたものかもしれないけれど)。

今作のトピックとして、まずはビョークとのデュエットが挙げられると思う。これが本当に素晴らしい。個人的に、ビョークの声に宿る「厳しさ」や「寄せ付けなさ」というか、簡単に言えば「得体の知れない怖さ(もちろん美しさを孕んだ類の)」みたいなものを感じ過ぎてしまって、長年彼女の音源を聴けないでいたのだけれど(金澤ダイスケ君が私との対談で言っていたことと同様の意味で)、似通う印象がありながらも「寛容」といった真逆のフィーリングを強く感じるアントニーとの声との相性がとても心地よく、本当に何度も聴いて、何度もグワァっと心を掴まれてしまう。次曲の「Salt Silver Oxygen」の美しさと言い、M9、M10はこのアルバムのクライマックスに相応しい。

プロフィールについては書ききれないので、外部リンクを。卑怯かもしれないけれど、ネットをフル活用ということで。

http://bls-act.co.jp/artists/antony

というわけで、本当は語るべき言葉がないというか、素晴らし過ぎて記事にするのもおこがましいというか、多少のためらいがあったのですが、皆に聴いてほしくてレコメンド記事を書いてみました。なんというか、私の語ったことの何百倍もの情報量でもって、感情が押し寄せてくる作品です。「聴いて実感してもらうのが一番良い」と言ってしまったら、レコメンド記事の意味がなくなってしまうのですが、そういうスケールの大きい作品です。(急に文体が「です/ます調」になるほど。笑)

再生ボタンを押したら、耳の直ぐ側でアントニーが歌い出すような、そういう録音の素晴らしさも感じて下さい。

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  • 後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)(2010.10.27)