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School Girl Distortional Addict 15th Anniversary Edition
NUMBER GIRL

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nerisuke─2014.6.11─


15年前はみんな車の中には宇多田ヒカルの『First Love』があって、どいつもこいつもヒッキーヒッキーうるせぇな、と唾吐きまくってた自分は、今『First Love』のリマスター買ってウホウホ言ってるこの姿を見てどう思うんだろう。

そんな呪詛を唱えるのもしょうがないと思えるほどに、その頃の聴覚のほとんどを占領していた存在がナンバーガールだった。サバ缶のようなヘッドホンを頭に乗せ、マチズモの塊のようなジョックス体型でブツブツ歌詞を口ずさむ姿で職質されなかったのは盛岡という温和な土地柄によるものが大きいはず。

なんで今更ナンバーガールかって、そりゃ15周年のリマスターが出るというお祭りもさることながら、ラジオでタマフルの「number girl特集 by Base Ball Bear小出佑介」 を聴いたことが大きいように思う。なんかね、ナンバーガールの話ができなかったっていうの、すごく共感したもんで。改めて聴き直してみようかな、と思ってびっくりしたけど4、5年聴いてなかった。いや、もっとかな? もう一生分聴いたからというか、聴かなくてもあの熱量が1秒かからずに脳内に溢れるようになってるからなのかな。



初めて聴いたのが『School Girl Distortional Addict』出た時で大学1年。だから大学の思い出のすべてとリンクしてる。もう切り離せない。うれしかったことはちょこっとで、あとはひたすら嫌なこと。でも、うれしいことがあった時はきっと聴かなっかったんだと思う。うれしい、楽しい以外の負の感情をどうにかして巨神兵のようになぎ払ってもらいたかった時(っていうか学生なんてそんな時間が大半なんだろうけど)にすがっていたのがあの音だったように思う。

みんなそうじゃなかったのかな?あんまりにも寄りかかっていた存在だからこそ、ある言葉を発するのがためらわれて語るに語れなかったんじゃないのかな。向井秀徳本人が口にしたからようやく言える言葉だけど、やっぱりナンバーガールはあの短い期間を共有した人々の青春だったんだなぁ。

あーー、恥ずかしい。書いてても顔赤くなる。笑

まぁ、ナンバーガールを語るに語れなかったという理由については、ナンバーガールというか向井秀徳がその後も1秒も進化を止めずにいたからということもあってかなと思う。2年前くらいに出たアルバムで正直、ZAZENBOYSが立ち止まったなぁと思ったからこそ語ろうと思えたのかも。個人的にはハウスからジュークへと移行していったりしてたらナンバーガールなんて語る余地はなかったかも。

ナンバーガールの何が凄かったか。好きすぎて客観視出来ないような気もするが、「日本のバンドである」っていうことに尽きるんじゃないかと思う。それまで日本のロックンロールはいい意味でも悪い意味でもヘロヘロだった。それが、胸をはって「日本、バッキバキやぞ!」って言えるようになった。アメリカにだろうがなんだろうが。それが誇らしくて誇らしくてたまらなかったのだ。ジャパニーズ・オルタナティヴっていうシーンは存在しなくて、ナンバーガールという”点”でしかなかったんじゃないかと思う。そのくらい『NUM-HEAVYMETALLIC』が到達した地点はとんでもない標高だった。今でも自分は海外で日本人が格闘技で戦う時は ”Num-heavymetallic” で入場すればいいと思っている。マジで「日本、なんか怖ぇ」ってなるから。System Of A Down 聴いたら「中東、怖ぇ」ってなるのと一緒でさ。

そういう訳でナンバーガールってだれ?っていう人は聴いて損はないので是非この機会に。今のバンドでナンバーガールの影響を全く受けてないっていうバンドを探す方が難しいと思うくらいです。Radiohead にハマった人がMAGAZINEの1st聴いて答え探しするみたいに好きなバンドのルーツ探しをする意味で聴くのも楽しいはず!



自分が一番聴いたのは『SAPPUKEI』というアルバムです。”TATTOOあり” という曲は未だに冷静には聴けないです。最近だと某携帯のCMが ”I don't know” の世界観をまんまパクってましたね。ナンバーガールを聴いてた世代がクリエイターとしてある程度の地位につけているっていうのも15年の歳月を感じます。
 

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  • nerisuke(2014.6.11)