yabori(BELONG)─2013.6. 9─
自らヘルメットを被り、ロボットのように振る舞っていたDaft Punkが表現したかったものは何だったのだろうか。『Random Access Memories』は生演奏が中心であり、今までのアルバムとはかけ離れた作品になった。シンセサイザーや打ち込みがほとんどだった前作とは打って変わって、バンドスタイルの演奏だけでなく、オーケストラも演奏しているという変貌ぶりには驚かされるばかりだ。おそらくアーティスト名を知らされないまま聴かされると、まずDaft Punkという名前は出てこないだろうと思う。
では、彼らはこのアルバムでリスナーに何を伝えたかったのだろうか。それは人間とロボットの違いではないか。機械では表現できない感情というものにフォーカスすることがテーマだったのだろう。Daft Punkのトレードマークともいえる、ロボットボイスは控えめにして、ボーカルの声を尊重している所に今作への自信が感じられる。飾らない歌声にこそ、人間の感情が最も宿るのだろう。打ち込みやシンセでは表現できない、感情の揺れ動き。これこそ彼らが今作で、一番表現したかった事ではないか。daft Punkがヘルメットを脱いで、最も人間に近づいたアルバムだと思う。
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