今回のレコメンドは、永野亮『はじめよう』です。
ご存知の方も多いと思いますが、永野さんはAPOGEEのヴォーカル&ギターでもあり、TOYOTAや資生堂、docomo、富士通などのCM音楽も手がけているので(サムソナイトのCMでは本人も登場していました)、その声を聞いたことがある人はきっと多いと思います。そんな永野さんのソロ・デビュー・アルバム。APOGEEとはひと味違った、アコースティックな手触りのする素晴らしい作品です。
このアルバムは、こういったWEBでのレコメンドに最適な作品でもあります。それは、まず、素晴らしいMVをすぐに観てもらえて、その世界を感じてもらえるからです。
まずはこのMVを観てください。
「つながるのうた」
めちゃめちゃ可愛らしくてユーモアもあって素敵なMVです。逆光の光が綺麗です。
もうひとつ。「はじめよう」
もうこれはアイデアの勝利のようなMVです。アナログな手法が最高です。
この2本のMVの更にいいところは、続編というか裏バージョン(タネあかし)もあるところ。
まずは、「はじめよう」の裏バージョン(必ず、上の正バージョンを先に観てから観たほうがより楽しめます)。
そして、これは絶対観て欲しい、「”もっと” つながるのうた」
http://www.robot.co.jp/tunagaru/
個人的に上半期のベストMVです。「つながってる」ことの楽しさを改めて感じさせてくれる特別バージョンです。
この一連のMV群だけでも、永野さんの音世界を感じ取ってもらえると思います。独特の声、「1234」のころのFeistにも通じるポップさ、ユーモア、そして、例えて言えば「セサミストリート」のような欧米の「みんなのうた」的なメロディの親しみやすさ(時折入る子供たちのコーラスによるところも大きいと思います)。
M7の「あらしのよる」では、以前にもレコメンドで紹介されていて、oid編集長との「LOST」でのデュエットでも知られるYeYeが、素敵な歌声(いつもより大人っぽく感じました)を聴かせてくれています。名曲。YeYeの世界にも通じるものを感じていたので納得のコラボレーションです。
「アコースティック」という形容詞を使うとき、自分は「温度(体温)」や「やわらかさ」や「光(陽の光だったりロウソクの光だったり)」といったイメージを思い出します。このアルバムはまさのそのアコースティックの魅力が詰まった名盤だと思います。そして、アルバムの中では異色な雰囲気を出している最後の曲でのラフで生々しいエレクトリック・ギターでの弾き語りが、何かをはじめるときの希望や喜びだけじゃなく、不安な気持ちの揺れを歌ってるようで、アルバム全体のふわっとした感覚をぴしっと心地よく締めているかのように響いているのがとても好きです。
これからの、ジメジメした梅雨の時期が苦手な人は、このアルバムでそのジメジメ感をしばし忘れてみるのもいいのではないかと思います。配信限定のアルバム『うたう ながの ギター』(よりシンプルな弾き語りのカヴァー・アルバムです)も強くリコメンドしておきます。永野さんの声が堪能出来ます。
最後に、冒頭でも書きましたが、永野さんはAPOGEEのヴォーカル&ギターでもあります。このバンドもおススメです。APOGEEも凝ったMVを作ってきたアーティストです(例えば、コレやコレ 等々)。知性のあるポップ・ミュージックが好きな人はぜひチェックしてみてください。