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SIMI LAB

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後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)─2012.2. 1─


神奈川県、相模原のHIP HOPグループ、SIMI LAB。

まずはMVを。







アウトサイダーである感覚や劣等感が裏返ってポップミュージックの起爆剤になることは、HIP HOPやロックやPUNKの歴史が証明している。で、そこを源泉にして彼らを語り始めると、どうしても人種の問題とか、首都圏の団地などが抱える問題とか、そういう語りづらいことに話が進んで(想像や妄想やレッテルを付加してしまう恐れもある)、音楽だけの話に留まらなくなってしまうし、何より彼らを語るだけのボキャブラリーを持っていないことを自覚しているので、レコメンド記事を書けないでいたのだけど、細かい理屈は抜きにして、いま10代のキッズたちに「オススメの音楽はありますか?」と聞かれたら、僕は彼らを紹介する。

「狂気の解剖学」。最高にクールだと思う。僕の中の10代がビンビンに彼らに反応する。15年前に出会っていたら、僕はギターを買わずにサンプラーとマイクとペンで退屈を塗りつぶすことに決めたと思う、間違いなく。

ちょっと脱線するけど、僕はオッドフューチャーが怖い。陳腐な言葉だけど日本の "リアル"とは明らかに源泉の違う(と感じる)エネルギーに圧倒されて尻込みしてしまう。アメリカの凄い箱みたいな何かを「ほら、見ろよ」と強引に見せつけられているような気分になって、目を背けたくなってしまう。

SIMI LABとは、もちろん世代も文化も違う場所に僕は居るわけで、彼らの "リアル" を代弁することは出来ないのだけど、彼らの音楽を聴くと、懐かしいような、近しいのだけど遠いような、もう少し直接的に言葉にするならば、僕が10代の頃の、PUNKやロックやHIP HOPなどの音楽やファッションも含めて、格好良い不良たち遠巻きに眺めて羨ましく思っていた頃の気分を思いだす。ヤンキー性のない不良に憧れ続けてきた僕のツボと、暗黒の青春時代を直撃する。

QNのソロでも思ったけど、攻撃性の中にちょっとした優しさや、生きることそのものについてきてしまう悲しみが宿っているところも、好きです。村上春樹が作品の中で「ビートルズは人生の悲しみを知っている」という表現をしていたと思うけれど、それと同じことを彼らの音楽から感じる。


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■RECOMMENDER

  • 後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)(2012.2. 1)