アナログフィッシュの新曲たちが素晴らしい。
思えば、下岡君の歌詞には「シティ」という言葉が多用されていた。僕らが生活する「街」のことだ。それは生活という最も身近な感覚でもあったし、大きな意味では世界そのものとして使われていたように思う。内側から眺めている視点、それでもどこか俯瞰しているような目線も持ち合わせていた。その視点が徐々に社会に焦点を合わせていくのは、必然のように感じたし、その言葉使いにはドキドキした。『Sayonara 90's』という曲にはシンパシーを強く感じたし、影響も受けた。同世代で最も意識している作詞家でもある。
感覚が冴えているミュージシャンは時として予言者のような曲を書いてしまう。RADIOHEADの『KID A』が暗澹たるゼロ年代を予言したように。
この曲は震災前に書かれた曲なのに、今日の我々に突きつけられている言葉のように感じてしまう。
今、僕らが聴くべき音楽だと思う。
ビデオでは紹介できなかったけれど、健太郎君が歌う楽曲も素晴らしい。健太郎君の叙情性が、下岡君の社会へのコミットやプロテストソングを担保している。そういうバランスも良い。そして、その叙情性こそが、何よりもこのアルバムのハイライトでありクライマックスになっている。
アナログフィッシュは10月10日に日比谷野外音楽堂でフリーライブを行うので、時間のある方は是非!!