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『NEW WALL / I want u to love me』
[Alexandros]

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古田琴美─2016.4.25─

そして、幕張メッセライブ映像には収録されず、ライブでは、まだタイトルも決まっていなければ、メロディも構成も歌詞も(ライブ時は全て英詞で披露)完璧な状態ではないまま、今作「NEW WALL」は「未完成の新曲」として初披露された。

”未完成の曲”なんて、普通だったら絶対に披露したくはないはずだ。しかし、彼らは
幕張メッセという広い会場で鳴らす開放感と共に、オーディエンスと「未完成の新曲」を創っていきたい、と、自身の新たな挑戦と決意を見せた。豪華なストリングスと共に披露された「未完成の新曲」=「NEW WALL」は、広い会場で鳴らせば鳴らすほど、多幸感に満ち溢れていた。昨年の夏頃からあったこの曲は、幕張メッセで鳴らされるべく、やっとの想いで演奏されたのだ。メンバーも、新曲を披露して初めてわかる誕生の瞬間をたくさんのオーディエンスと共に分かち合えて、とても嬉しそうだったのを鮮明に覚えている。

今作「NEW WALL」は、全世界で人気を誇る『テイルズ オブ』シリーズの新作アプリ「テイルズ オブ ザ レイズ」のタイアップ・テーマソング”。幕張メッセライブ後に完璧に完成した「NEW WALL」は目の前に立ちはだかる”新しい壁”を歓迎する意味を込めて、”Hello New Wall”と歌っている。”障壁”をも歓迎するのは、もはや彼らしかいないだろう。
 
思えば彼らは、バンド名を[Champagne]から[Alexandros]に改名した後にリリースされた「Adventure」でも”Hello”と歌い”いつだって 僕達は 君を連れて行くんだ”と歌っている。
 
「Adventure」MV
 
彼等は常に目の前にある壁を破壊し、突破して来た。

人生には、誰にだって突如として壁は現れる。

それがどんな壁かは人それぞれだが、その壁を突破出来るかは、その人自身にかかっている。

そして、その壁が大きければ大きい程、試される。

周りから何を思われたっていい、メンバーを信じ、自分達から産まれる音楽を信じて、欲だけを満たす事なく、着実に歩んで来た彼等は、今回「NEW WALL」と題した曲を産み落とした。

それは、彼等自身の新たな挑戦だ。

そしてメロディから多幸感が溢れているのは、彼等が今まで積み上げてきたものが少しずつ開花し始め、より自由に音楽を奏でる事が出来たという喜びだ。
 
最新アルバム『ALXD』で自身の音楽をより多くの人に届ける事が出来た。でもまだまだこんなものではない。彼等がデビュー前から掲げている目標は「世界一のバンドになること」。
 
今後、彼等の前にいつ、どんな”壁”が来るかは誰にだってわからない。

でもその”壁”はきっと、突破出来ない人の前には現れないはずだ。

これから彼等の目の前にどんな大きい”壁”が現れようとも、彼等は永遠に”Hello New Wall”と歓迎し、突き進んでいくだろう。
 
そして「NEW WALL」とは対照的な楽曲「I want u to love me」。
MBS/TBS系ドラマ「女くどき飯 Season2」の主題歌だった(放送は3月で終了)今作は「女くどき飯 Season1」でも「Dracula La」(「ワタリドリ」とのダブルAサイドシングル、5th Album「ALXD」にも収録)が主題歌だったので、もしや「Dracula La」の続編だったりもするのかと思っていたらその通り。当初その予定で曲を創っていた訳ではなかったそうだが、結果、ドラマ主題歌の話を貰い完成させたというエピソードも加えつつ、今回もやはり裏切られた、というより、むしろ期待以上だった。
 
ちなみに「女くどき飯 Season1」主題歌の「Dracula La」は[Alexandros]流パンクソングで、最近のライブではリリース当初とは桁違いの盛り上がりを魅せている。
 
「Dracula La」MV
 
今作の「I want u to love me」は既にライブでも披露されていて、音源とはまた違った憎らしいアレンジが加えられ、広い会場でオーディエンスの合唱と共に聴くのがまた最高に気持ち良い。
 
[Alexandros]の面白いところは「Girl A」「NEW WALL」「I want u to love me」という全く異なるサウンドを、全て同じ人達が創っているということ。「I want u to love me」に関しては、彼等の内面にあるヤンチャな部分が全面に押し出され、まるでおもちゃ箱の引き出しからそのまま飛び出て来たかのような、ユーモアたっぷりのキャッチーな楽曲。ラストにはプロの聖歌隊の子供達の合唱まで入り、歌詞は彼等の決意と遊び心を組み合わせた内容で、一筋縄じゃいかないところも彼ららしい、思わず”やられた!”と思わずにはいられない。
 
毎回、彼らの楽曲から様々な音楽要素が出てくること、そして最近ではそれを世に出した時にしっかりと結果もついてくることが嬉しくて仕方ない。もちろん知識や才能もあるけれど、大きな目標を持ち、背伸びせず地道に足元を固めながらいくつもの”壁”を突破して来たからこそだと私は思う。
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  • 古田琴美(2016.4.25)