「Glo-Fi」や「Chillwave」というムーブメントに括られている彼ら。そう書かれても、なんと読んだら良いのやらというひとの方が圧倒的に多いかと思います。それぞれ、「グロウファイ」、「チルウェーヴ」と読みます。この辺りの単語については、10年後には騒いでいる当事者たちも忘れるようなジャンル名なので、鼻クソをホジホジしながら聞き流してヨシ。こういうのは撒き餌みたいなものなので。(言語化するのが難しいというのもある)
バッキバキのメッキメキに握りしめたオニギリのような感じとは真逆な、音の粒子の粒子の間に適度な隙間が空いていて、優しいけれど割と厚手なシンセの音色。それを重層的に配置した上を泳ぎ回るような、オーセンティックでキャッチーなメロディ。「サイケ」とかがキーワードになってしまうとき、それが同時に他者を拒むための濃霧になってしまうこともあるのだけど、最近は「サイケ」をポップに、むしろリスナーを包む込むように使うアーティストが多くて面白いです。彼らの音楽からは、そういう開いたフィーリングを感じます。例えば、アニマルコレクティブよりも、ポップスとの距離が近いというか。
早速、新譜から一曲、試聴してみましょう。
■Photojournalist
良い!良いというか好き!やっぱり好きじゃない!改めて言い直すと、大好き!です、このバンド。
声もルックスもPVのこの感じも全て。別にローファイなサウンドに拘らなくても、良く分からないジャンル名に頼らなくても、スっと抜けてくるポップネスがある。実は、こういうエネルギーは誰もが持っているわけではないのです。ナチュラルに染み出してしまう類のものなのです。無理せずにポップであることって、本当はとても難しいのです。
N.Y.を拠点に活動している彼ら。十把一絡げに「ブルックリン」とか言いたくないですけれど、いろいろな音楽性を持ったアーティストがわらわらと出て来て、やはりニューヨークという街の磁場、エネルギーを羨ましく思います。ポップミュージックの新しいフィーリング、その主流の源泉が沸き出す穴でもあるのでしょうか。トレンドという言葉で括ってはいけない何かが、やはりあの街にはあるのだと思います。もう一度、行ってみたい。というか、ニューヨークに住みたい!
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