梶原綾乃─2012.8.23─
こんにちは、今回新たにレコメンダーとしての機会をいただけることになりました、梶原と申します!
フリーペーパーを制作したり、音楽配信サイトOTOTOYでわずかながら文章を書かせていただいております。まだまだ駆け出しのライター見習いですが、どうぞよろしくお願いいたします。
さてさて今回ご紹介するのは、不思議系電子ポップ・ユニット、Her Ghost Friend。先月発売された2nd album「Looking for Wonder(るきんふぉーわんだー)」です。
先月渋谷WOMBで行われたDeep Moat Festivalではじめてライヴを観てからというものの、すっかり恋してしまいました。DJ Obakeが生み出す星空のようにキラキラしたエレクトロニック・サウンドに合わせ、ふわふわと白いワンピースを揺らして、ニコニコと歌うShinobu Ono(MC)。当日はさらに最後の手段というユニットによる奇妙でヘンテコなVJも付いていて、「綺麗で可愛くて気持ち悪い(※褒め言葉)」という矛盾しまくり、ごっちゃ混ぜの空間が誕生していました。どこか女性版group_inouをも思わせるその面白さに病みつき。帰宅後もその強い印象が脳内から離れませんでした。
そんな先行イメージとは打って変わって音源では、わた菓子のようにふわふわしていてミルクティーのように甘い、とってもドリーミーな世界が楽しめます。ポップで耳障りのよいまろやかサウンドは、ピアノやストリングスは勿論、ファミコンサウンドまでも手の内とするDJ Obakeのトラックならでは。また前作『Her Ghost Friend』ではブレイクビーツのような要素も見られましたが、今回はより繊細なビートで、メロウなナンバーが中心です。
アルバム・タイトルのひらがな言葉が見事に表現しているように、脱力系でどこか幼いShinobu Onoのボーカル・アプローチ。女の子の"カワイイ"を惜しみなく詰め込んだ素朴な歌い回しと、聴く者を選ばないピースフルな目線。そこかしこに素人っぽさを感じる未完成な感覚はあるものの、それが大きな魅力として成立しているのです。この広い宇宙で、はじめて音楽に出会った時の、純粋な喜び。それを不器用ながらも全身で伝えようとしているのがストレートに伝わってきます。
まだ未発達の、ふんだんな想像力を秘めた彼女たちが描く音楽の地図は、どんどん広がっていくこと間違いなし。いったいどんなものになるんだろう? 行き着く先では、きっと私たちにさらなる音楽の喜びを教えてくれるでしょう。ぜひぜひライヴで、恋しちゃってください。
.
1