後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)─2013.2.26─
まずは、前作の曲を町中で演奏したビデオを観て下さい。
いやはや、素晴らしい。コンピューターで誰でも簡単に音楽が作れる時代になったからこそ、どういう人間がどういう方法で音楽を鳴らしているのかってことが、とても重要になったと思うのです。僕はもう5年くらい前から、そういう人間味(ヒューマニティ)にしか興味がないといっても言い過ぎじゃない。
そういった意味で、人間味が強く表出しているこの動画に魅力を感じて、というかわざわざここで言葉にするまでもなくグイっと引き込まれてしまうわけです。否応なく。素晴らしいバンドです、Local Natives。
そして、今作のリード曲である 「Breakers」を。
このビデオを観ただけでも、メランコリックなメロディとハーモニーが美しくて感動するわけなのですが、それを生で演奏すると更に良いんです、彼ら。そう、Local Nativesはライブが良いんです。「Breakers」をPitchforkというアメリカの音楽メディアでパフォーマンスしたビデオがこちら。
本当に良いですよね。続いて「You & I」という曲のセッションも
ヤバイ。冒頭の映像の作りがちょっと情緒的すぎる気もしますが、笑。
はっきり言えば、どんなにここで言葉を重ねるよりも、もう圧倒的に、この2本のビデオが物語ってしまうものってありますよね。音楽雑誌が生き抜くためには、この魅力を言語化する語彙や、この映像にはない別の文脈から言葉を重ねないといけない。これってとても難しいですよ。だって、ビデオを観てしまったら、分かるじゃないですか、この音楽の、メロディの、ハーモニーに宿るエネルギーが。それは悲しみかもしれないし、喜びかもしれない、あるいは言葉にできないフィーリングとしか呼べないものかもしれない。
でもね、本来、音楽によって伝わることの多くは、こういうフィーリングとしか言いようのない、言葉にできない何かなんです。言葉のある「歌」という表現形態ですら、言葉にできない感情を内包しています。
なんてもう御託って感じになってきてしまいましたけれど、笑。ああ、もう、このビデオを2本観てもらえたら、他に綴る言葉がないなって思うわけです、僕としては。
前作よりもスマートにまとまっていますね、今作は。アルバムとしてのまとまりがあるのはプロデューサーの力が大きいのだと想像します。とても洗練された作品です。だけれどもなんでしょう、オリジナルよりもライブ音源(ビデオ)にグっとくるんです。
もしかしたら、音源には入りきっていないのかもしれあないですよね。まだまだ底が知れない、そんな気もします。本当に素晴らしいバンド。ここ何年かのイチオシです。本当に新譜を楽しみにしていました。
前回の来日公演も素晴らしかったですし、今回も観たいですね。フジロックで観たい(ホワイトステージと苗場食堂でアコースティックとか)、そんなバンドです。
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