後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)─2013.8.13─
JAGWAR MAの新譜『Howlin』が素晴らしい。
例えば3曲目の “The Throw”という曲、最初のヴァースの後の間奏でサイケな膜の中からスネアが浮かび上がってきて、その後の2回目のヴァース、1分14秒くらいでベースが重なってくるところはなんだろう、これ。すっごいもったいぶったアレンジだけど、この瞬間に、魔法みたいに恋に落ちてしまう。キックは太さを増していき、トライバルビート(を意識した打ち込みね)が登場して、もう自然と身体が動いてしまう。
“The Throw"
例えば、8曲目の“Man I Nees”はリアム・ギャラガーに歌わせたいくらいのオアシス感。御本家元オアシスのノエルも大絶賛するのはなんとなく頷ける。完全に系譜として、マンチェスターの流れを意識しているもの。まあ、JAGWAR MAはオージーなんだけど。
“Man I Need”
いやいや、嫌いなところを探せってほうが難しい。サイケ一色ではなくて、“Let Her Go”みたいなキラキラしたギターロック的なサウンドアプローチもあるから、またそこに惹かれてしまう。終盤、“Did You Have To”の甘い感じも本当に良いし。いやいや、本当に良いアルバム。
何となく懐かしい感じもして、自分が90年代に恋い焦がれた洋楽の匂いを思い出す。汚いアパートの映りの悪いテレビデオでビートUKを観ていた頃が甦る。
でも、ちゃんと2010年代のサウンドだと思う。いやぁ、今年のベスト候補。
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