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後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)─2011.1.31─

※このレコメンド記事は2010年にアップしたものを、加筆して再掲載しています。

正確には2009年の年末に本国アメリカでリリースされているアルバムなので(日本盤は2010年の8月)、レコメンドするにはかなり遅い。(実際に、twitterにて「良い!」という旨のコメントを今年に入ってからツイートしたところ、なんと海外の方から英語で「遅いよ!」というリプライを貰った。笑。)でも、このレコメンドコーナーは、リリース前の音源のレビューを載せる雑誌のそれとは違う機能を持たせたいので、こうしてリリースしたあとでも気に入ったものは取り上げていこうと思っている。新譜が消費されてしまうスピードも、近年では格段に上がっているものね。発売時には出会えなかったけど、何年もあとにビビビ!と電流が走る通称「ビビビ盤」も沢山あることだし。

 



さて、このLocal Natives、音源だけを聴いたらば「流行のブルックリン系(※N.Y.のブルックリンを拠点に活動しているアーティスト達のこと)?」という印象なのだけど、実際にはロサンゼルスを拠点に活動している彼ら。L.A.という言葉で連想するサウンドは、西海岸の風景を思わせる雰囲気だったり、湿度が低めのカラっとした音像だったりというのが一般的だと思う。でも、彼らはちょっとそういう感じではない。どことなく湿り気がある。

美しいコーラスワークを中心に据えたバンドたちが、ゼロ年代の終盤から、アメリカのインディロック(簡単に説明すると、新しい概念を産み出そうとするアティテュードを持ったロックバンドたちのこと)の主流になっている。それは、恐らく人間の人間たる部分に宿る魅力だったり、芸術性だったり、エモーションだったり、そいうことにアーティストたちが意識的になっているのだと思う。コンピューターが音楽制作の中心に据えられる時代になったからこそ、逆にそれを扱うひとのエネルギーに焦点があたる。それは当然の流れだ。声はそのひとがそのひとであることの、あるひとつの象徴であり、エネルギーそのものなのだ。

だから、ただひたすら美しいコーラスワークが降り注ぐ「Shape Shifter」には、新しいエモーションが宿る。西海岸直系の所謂「エモ」バンドたちのエモーションが「動」ならば、これは言わば「静」のエモーション。だけど、その熱は圧倒的に高い。青い炎が赤い炎よりも高温であることに似ている。そして、この温度はインスタントなものではなく、じんわりと時間をかけて僕らを温めてくれる類のものだ。だからこそ、信用できる。

こういう音楽が新人チャートで3位にランクインする懐の深さ、それがアメリカの良いところ。そういう土壌って、森林で枯れ葉が幾重にも時間を掛けて降り積もっていくような文化の積み重ねによって作られるのだよね。世界で最も多様な音楽がレコード屋に並ぶ日本。だからこそ、こういった音楽の多様性を担保するような土壌がこの先にどんどん分厚くなっていって欲しいと、私は思う。

これは必聴盤です。今年の個人的TOP5間違いなし!!!

オフィシャル(http://www.thelocalnatives.com/videos.php)ではPVも視聴可能なので、是非!

願わくは、単独での再来日を希望!(フジロックでは、日程の関係で見逃した。涙。)

 

追記。来日決まってた!!嬉しい!!

http://www.smash-jpn.com/band/2011/01_localnatives/index.php

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