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Strange Utopia Crazy Kitchen
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yabori(BELONG)─2012.8.19─


こんにちは。音楽メディア『BELONG』の代表のyaboriと申します。今回縁あって、レビューを書かせてもらうことになりました。まず簡単に紹介させてもらいますと、『BELONG』とは “洋楽への扉” をコンセプトとした、フリーマガジンとWebを連動させた音楽メディアです。レビューを書く内容は洋楽、邦楽問わず良いと思ったものを書いていきたいと思います。最近では邦楽のインディーズに注目しているので、その辺の音源を中心に書いていきます。
 
それでは今回のレビューです。





なんとモーサムらしいジャケットなんだろう。『Strange Utopia Crazy Kitchen』を初めて見た時、そう思った。彼らを構成していた極端さ、混沌、ギャグ要素…全てが揃っているじゃないか。
 
見た目から圧倒的に振り切れた感のある今作は、ハードロック路線を突き進みながらも、予期せず打ち込みが襲いかかってくる音の滝のようなサウンド展開。その上にかつてないほどの鬼気迫るテンションが全体を覆い、聴き手でさえも油断できない。まさにメーターが振り切れた暴走機関車のようだ。曲調もグランジロックから、New Orderを思わせるメタリックなギターとテクノサウンド、果てまでメタルとニュー・レイヴが正面衝突したような曲まで。
 
そんな行くところまで行ってしまった本作は、彼らが過去に出した名盤『スーパーナイス』、『ロッキンルーラー』に匹敵するアルバムだろう。革命的なビジョンを提示するような怪作ばかり作ってきただけあって、彼らは今までに何度も解散の話が出てきたそうだ。これができた背景にはもはやこのレベルのものを作ることでしか、バンドとしての結束を保てないくらいのレベルに来ているのかもしれない。アーティスト同士のエゴとエゴのぶつかり合い…それがこのアルバムの正体ではないだろうか。というかそれこそがモーサム・トーンベンダーなのだろう。
 
今作は決して聴きやすいアルバムではないが、音楽家としての覚悟や突き抜けた感は過去最高であることに間違いはない。


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  • yabori(BELONG)(2012.8.19)